そんで、にょうぼうはチャリで、キクチはジョギングのかっこうで走り出した。
にょうぼうは移動、あるくのもチャリ漕ぐのも人並みはずれて遅くって。
その人並みはずれたチャリ漕ぐ遅さが、いまのキクチのジョギングするペースとちょうどいいぐあいに噛み合い、あたかも仲のいい夫婦かのように、見ようによっちゃカッちゃんと南かのように、伴走しながら進んでった。
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川向こうに渡るのに、河川敷が工事中で通れないってんでふつうの道路を通って、橋のつけねのつけねの交差点から坂を上って橋を渡るコースをたどった。
橋って、地味に起伏っていうかかまぼこ状?になってるじゃないすか。
敵はチャリで橋の後半は下りでしぜんに速くなるから、下り坂で手加減されるのがなんかくやしくて橋の前半までが勝負だってんで、橋のつけねのつけねの狛江高校の交差点からペースを上げてにょうぼうを引き離しにかかった。
そしたら、キクチのペースが想像以上に上がらなかったかにょうぼうが意地になってついてきたのかのどっちかかどっちもかで、にょうぼうは上り坂でもベッタリくっついてきて。
なんだなんだ? 片時たりともおれさまちゃんと離れたくないのか?(メダパニ)
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とおもったりおもわなかったりしつつ、下り坂で手加減されるのがくやしかったからムキになってペースを上げたら、下り坂は橋の終わりで終わりじゃなくって、その先500mぐらいなだらかに下ってるのをなぜか呼吸が血の味するぐらい必死に逃げて、その1kは4分を切っててビビったし。
それでもにょうぼうはベッタリくっついてきて、あまつさえキクチに気をつかうかのように随所でブレーキ音ナドを鳴らして調整してくれてるみたいで、ああ、そんなに片時たりともおれさまちゃんと離れたくないんだなあなんておもうよゆうもなく、屈辱感的なものにまみれた。
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そうこうする間に、橋(一連の下り坂まで含む)を渡りきるとすぐ区役所で、にょうぼうはモンスターがすぐ見つけられて、ぶじ倒せたようだ。
デメタシデメタシ。
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が、ここでそのまま引き返すのはちょっともったいない。
いや、別ににょうぼうといたいとかじゃなく走行距離的にももう少し走りたいし、川の向こう側の町をうろちょろすることは川を渡ればすぐなのにわりとないゆえ。
ってんで、もう少し遠まわりすることにした。
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目的地は2つ。
1つはこないだ閉店したっていう向ヶ丘遊園のダイエーがどうなってるか見に行くこと。もう1つは20年ぐらい前まで住んでた家を見に行くこと。
ダイエーは、いまいる区役所から数百mぐらいの小田急線を跨いで、おんなじぐらいの距離を向こう側に進んだとこにある。ダイエーから府中街道を渡ればむかし住んでた家。いずれも遠くない=にょうぼうもついてきてくれる、ってんで。
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って気軽に進んだんだけど、住んでた20年ぐらい前とは沿道の店がガラッと変わっててあんま懐かしさを感じられなかったし。
第一目的地のダイエーもただの閉店後の工事中の廃墟って感じで、そのダイエーは小4のクリスマスにはじめてファミコンを買ってもらった思い出ぶかいダイエーなんだが、おもわず写真も撮らずにスルーしちまった。
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第二目的地のむかし住んでた家は。
去年の夏ぐらいにいっしゅん走る気を見せて裏山のコースを開拓してたころ、通ってみたら取り壊しの最中でクリビツテンギョーしたとこまでは知ってて。
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その家ってのは一軒家の借家で、高3の夏から25歳まで住んでて。
25歳のときに狛江に超絶豪邸を買って引っ越したわけだが、わりとデカい家で。
にょうぼうとおつきあいし始めたときはまだそこに住んでたから、にょうぼうもその家のことはよく覚えてて。だからこそ、独りよがりになりすぎない思い出として、いっしょに行ってみようぜって行ってみたんだけど。
跡地には建売住宅が3軒建ってて。
住んでた家のガチのデカさに気づかされてビビった。
にょうぼうも「さ、3軒も建ってるよ!」ってビビってた。
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そんなこんなできょうの目的は達成しちゃったんだが一方、おうちにチャリ&ジョグで帰るにはいまきた道を帰るのが一番近道なんだけど、また向ヶ丘遊園の駅前の商店街を人混みをかきわけながら通るのもアレだし、ほかに近い道がないんで、中学校まで出て川沿いに帰ってこようってことにした。
いや、それも別に「おれが出た中学校ココ!」ってにょうぼうに独りよがりな思い出を見せつけようってんじゃなく、わかりやすい道をたどると稲中から川に出るのがいちばん近めでわかりやすいってだけで。
クルマをもってたころは稲中の近くにあるスーパーにもよく行ってたから、いまさらにょうぼうに「ココ!」って言わなくてもよく知ってるし。
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で、その通り道には中学校のときにすきだった女の子の家があって。
その女の子はすげえ寄付金がかかる高校に進んじゃうようなガチお嬢で、1ブロックぜんぶ敷地みたいな広大なおうちに住んでたのに。その1ブロックがすげえ分譲されてて、実はそれがこの日いちばんのサプライズだったんだが、そんなことにょうぼうに話してもどうなるもんでもないので黙っておいた。
。。。って、そもそもこの一連ただの日記すぎていらねえ情報しかないけど、書いてて楽しいからまだつづく。
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なおロンのモチ、キクチはその女の子にはまったく相手にもされなかったもよう。
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ある朝、学校に行ったらすげえビミョーな空気になってて。
なんでかなあっておもってまわりの子に聞いたら。
その前の日の放課後、誰かがその子に「キクチが気に入ってるらしいよ」って勝手にバラしちゃって、その子が「それはキモすぎてちょっと。。。」ってなったらしくて。
おれ、何にも悪いことしてないっていうか微動だにしてないのに、以後、喋ってもくんなくなっちゃった。
なんだよその中2にはキビしすぎる欠席裁判w