にょうぼうはペーパードライバーでクルマでは基本的にただの同乗者なので、川向こうにどういう店や施設があるかはだいたいわかってるけど、その途中、ふつうに道を走ってるときにいまどこらへんかとかはわかってない。
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そんな彼女にしてみれば、ただキクチについてきてるだけであとどんくらい進めば川に出るのかがわからないわけで。
小川的なもの(彼女目線)を越えたときに、痺れを切らしたけどあくまでちなみに的な感じで「ココはどこらへんなの?」って訊いてきたので、キクチは黙って左前方を指さす。
見覚えありまくりのケーキ屋さん。
狛江に支店があるケーキ屋さんの本店。
「寄るよっ!」って言うから、こちとらも諸手を挙げてジョギングを休止した。
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むかし住んでた家を過ぎたとこで、キクチはすでにへたばりはじめてたのに。
それからというもの、なぜか進行方向の信号がずっと青でぜんぜん合法的に休めなくって。でも何の理由もなく休憩したりあるいたりするのはくやしかったし、にょうぼうに見くびられるような気がしたので、ぜえぜえ言いたいのも押しとどめてクールなていで走ってた。
ケド、青信号がもう心底憎たらしくて「おれは陛下かよ」って心のなかで毒づきながらいやいや走ってた。
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あ、都市伝説かわかんないケド言うじゃないすか。
セキュリティ的な意味で、皇族のかたがたがクルマで移動するときはとまんないようにすべて青信号になるよう調整する。的なやつ。
むろん、にょうぼうはキクチごときが止まろうと歩こうとノー関心だろうから見くびるとかただの被害妄想100だし、言うに事欠いてナニ陛下気分になってんだよっていうね。。。
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ケーキ屋さんでは、「栗山」っていう一段上のモンブランみたいな限定商品?をえらんだ。
店員さんには「この杉浦、いや八重樫、じゃなくて尾花?梶間?、いやいや栗山で」っていう、一世一代の超絶抱腹絶倒GAGをカマそうとおもったが、それが店員さんを喜ばせるとは到底おもえなくって、胸におしとどめといた。
青息吐息をものともせず、ナイス判断!
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そんで、店内があんま密になるとアレだってんで外に出てお会計してくるにょうぼうを待ってて。
このケーキ屋さんって去年かおととしのいまごろ、駐めるときにブレーキとアクセルを踏み間違えたんだかでクルマがお店に突っ込んで、お店のガラスが粉々になっちゃった事故があったんだけど。
それを踏まえて車輪止めが前よか、だいぶ高くなってるような気がするんだ。
ってにょうぼうに伝えたら、気のせいに決まってんだろって一蹴されたでござる。
なんで八重樫とか尾花は寸止めできたのに、車輪止めのことはおのれの胸にしまっておけなかったんだろう?
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で、ケーキ屋さんでたっぷり休憩したはずなのに、キクチはもうけっこう疲れてて、超絶豪邸まで残り4k弱をほうほうのていで走り切った。
おうちまで残り300mぐらいでほとんどクルマが通らない、センターラインもないやっと対向車がすれ違えるていどのバス通りの信号が赤になってて。
右見て左見て、もう一度右を見ても視界にクルマは見当たらないのに、「交通ルールを守るのは当然だろ!」って謎のイキりを発揮して、青信号になるまで膝に手をつきながらゆっくり待ったりして、ぶじおうちに帰れましたとさ。
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合計9kちょい。ほぼ平地をごくポクポク。
驚くほど疲れたし、心肺もガタガタになった。
「やっぱ、週に2〜3回は断続的に走らないとね」実行可能性はともかくとして、おもうだけおもった。
調子に乗って裏山とかに乗り出さなくって、ホントよかったケド。
4ヶ月後にマラソンとか、どうやったら走り切れんだぜ?
が、キクチのいまの現在地。
チャンチャン。