「走ってるとき、お腹がすいたりしないんですか?」
前日夜、いとこの嫁さんに訊かれた。
いやいやいやいや。
「給水所のほかに給食所ってのがいくつかあって」
「パンとか飴とかフルーツくれるんだぜ」
「そうそう、つくばマラソンは」
「30kすぎにおしるこエイドってもあるんだぜ」
言ったら、「おしるこ」というキラーワードに
いとこの嫁さんとにょうぼうが反応した。
いいなあ、おしるこ食べれるのかあ!
*
しかし5秒後。
いとこの嫁さんが世紀の大発見をす。
「でも、おしるこにありつけるには」
「そこまで30何k走ってかなきゃいけないんですよね?」
「なら、いまここで1000円出してもおしるこ食べたいです」
ド正論!
コロナが落ち着いて、4年ぶりに茨城の伯父宅に前泊した。
土浦駅に着いたら売店にレンコン麺が売ってて。
いつも、かすみがうらマラソンの参加賞でくれるのでとても楽しみにしてるんだが。
たとえば、ただレンコン麺を食したいのであれば、ここの売店で買やいいんじゃん?
っておもったのとたぶん、おんなじようなことだろう。
*
マラソンに関して。
キクチは、去年のつくばマラソンまでで。
じぶんのやりたいことはもうすべてやり尽くしちゃった。
なので、今回。
「ひさびさに伯父たちに会える」はあるにせよ。
マラソンそのものに対する想いが皆無っていうか
目標が何にも据えられなくて。
モチベーションのアップ?維持?
という意味で、とても困っておった。
つまり。
「今回、何がなんでもこれがしたい!」と。
「42.195kもの距離を走る大変さ」との
等価交換が成り立たないでいた。
*
そんな日頃の超絶鍛錬の成果が出て?
20k手前で脚が完全終了した。
ハーフ過ぎと26kぐらいの給水・給食所で。
ゴミ箱の脇に佇んで、ポカリとアイスシューだか冷凍ブルーベリーをむしゃむしゃ食べてたら。
ゴミ箱の係をしてたボランティアのおばちゃんと仲よくなっちゃうシマツ。
「じゃ、そろそろ行きますわ!」
「あ、そう! がんばってねえ!」
なーんつって。
コーリンラブ!
*
27k地点でタイムを確認して。
「残りをキロ6でもサブフォーはできる」
ってわかって少し油断したんだけど。
次の1k、つくば市役所前のスライドに出る前の。
大通りからカントリーロードを上ってゆく道。
ナチュラルに6分15ぐらいかかって、緊張がはしりはじめた。
*
いくらなんだっつったって。
(といっても、個人的な尺度でしかないんだが)
マラソンで4時間かかっちゃうと、ちょっとなあってなる。
かたや。
完走さえでけりゃ、別に
4時間かかろうが何しようが
誰にも迷惑かかるわけじゃないし、どうなるわけでもないし。
ともおもってる。
ってんで、でもそれなりにがんばって。
6分台を見まくるぐらいで推移してた。
残りどっかの時点で「どうしても4時間は割りたくない」っておもったときのために?、残りをキロ5分40(サブフォーペース)に戻せば何とかなるかも的なラップで進んでった。
つまり。
「マラソンで4時間かかる」と
かからないためにいま、何がなんでもがんばってみる
の、等価交換がじぶんのなかで成り立っていなかった。
*
そんなこんなで。
おしるこエイドの手前だったかな?
ちょっと過ぎたとこだったかな?
残り10kを切ったあたり?
沿道にマル夫妻がいらしてるのを発見した。
なんとなく、ごちる。というかグチる。
「いまもう、サブフォーぎりぎりっす。。。」
「サブフォーがんばれー!」
って声を聞いて、じぶんのなかで急によくわかんない等価交換が成り立った。
たぶんこの時点で。
残りをサブフォーペースでいけば、なんとかサブフォーにすべり込める。
ぜったいに、何がなんでもサブフォーはしたろう! と。
*
。。。
*
そこまでもう十分びっこをひいてたんだが。
とりあえず、ふだんのフォームで走ることにした。
たぶん、痛くてびっこをひいてるんだけど。
そのびっこをひいてることに引っぱられて。
気持ちまで「おれキツいんだ」で支配されちゃってるような気がして。
で、ふだんのフォームに戻すと。
キロ5分15ぐらいではイケる。
ただ、脚が終わってるのは事実だから。
少し経つとまたびっこに戻っててキロ6分15ぐらいになってる。
ふだん→びっこ→ふだん→びっこ
を20回ぐらいくり返して、ゴール。
薄氷のサブフォー死守。
死守?
タイムを目指してこんなにがんばっ(て達成でき)たのははじめてかも。
*
一方。
ゴールした瞬間はむちゃくちゃうれしかったものの。
はたして。
「ろくすっぽ練習もしないでマラソンを走る」
という行動には、いったい何の意味があるんだろう?
ふつう。
「ろくすっぽ練習しない = マラソン走らない」
「ちゃんと準備しました = マラソン走ります」
のどっちかで等価交換なんじゃねえの? と。
今後の身の振り方をちょっといろいろ考え直してみる。