夏休み直後の三者面談のつづき。
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というわけで、ウォリアーズは選択肢から完全に削除。
関東には国公立の薬学部は2つしかないということもあり。
ポセイドンが第一志望。
ただ、関東っていうしばりをなくせば。
国公立でもポセイドンに縛られる?ことなく、
ホーネッツとかトライデンツとか、パルーカスもありますよね。
ギャングスターズはまあともかく。
トライデンツを視野に入れて梃子にして夏休みがんばってみては?
と、担任の先生が言う。
まさかの、担任の先生とちまきさんとのコラボ爆誕。
「おれもそういう選択肢あるんじゃないかってきょう言おうとおもってたんす!」
クソ父親がいきなり前のめりになる。
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「ま、秋にまた、経過を見て詰めましょうってことで」
「こうしろとかああしろではなく」
「あくまで私が申し上げたことはただの案の一つですから」
「選択肢がこれだけあるんだってことだけ頭に入れといてください」
ってんで、夏休みの三者面談は終わった。
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いいのよ、何にせよ。
それでムスメっこのモチベーションが高まってくれさえすればいい。
そんでもし希望どおりいったら予定よかだいぶ早い親離れだけど。
もう覚悟できてるし。
夏休み、本人なりに目一杯がんばってくださいな。
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夏休みもずっと。
家で勉強したくないムスメっこは、予備校の自習室や近所のカフェに籠ってた。
いいんっすよ。
本人が目標に向かって、やりたきゃ勉強すりゃいいし。
勉強してるって名目で、サボってあそんでてもいい。
でも。
地元のカフェで勉強してたら中学の同級生がいっぱい来て、どうしてもおしゃべりしちゃうから場所変えたみたいなことをたびたび言ってたし。
目つきがちゃんと受験生ぽかったし。
あまつさえそういうところで変な見栄的なウソをつくタイプではないので、本人なりにがんばってるんだろうと。
がんばりと結果は必ずしもリンクしないかもしれないけど、それはただの結果だからどうでもいいってんで、変に口出しせずロムって(昭和ぇ)遠くからながめてるだけにした。
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一点、少しだけ気になったのは。
夏休みの終盤、中学のおともだちが立てつづけに超絶豪邸にお泊まりに来たことだ。
むろん、そういう息抜きは必要である。
受験生である前に一介の青春真っ只中の17歳である。
ただ、そのおともだちたちは夏休み前だか夏休み中に進路が決まったらしい。
その解放感を目の当たりにして、じゃっかん気分が揺れちゃったってのはあるのかもしれない。
(と、推薦受けたいって言い出したあと、にょうぼうと耳打ちあったりしたっけな)
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ただ、くれぐれも言っておかなくてはならないのは。
それとこれとは話が別で。
どの道を選ぶかはあくまでもムスメっこしだい。
おともだちうんぬんではないということ。
いらねえ情報をぶっこむと。
なによりそもそも。
クソ父親オブは小学校卒業と同時に隣町に引っ越し、高校は私立に行くことになってしまったので。
(小学校の同窓会に行っても、それはすなわち持ち上がりの中学校の同窓会で「あれ? おめえキクチ、西中にはいなかったよな?」ってなるし)
(成人式は中学の同級生が集まったんだが、「そういえばキクチってナニ小だったの?」「た、高津小。。。」ってんでイマイチ切り込めなかったし)
(彼らが一堂に会する? ことをちょっと楽しみにしてた県立高校には行かなかった?行けなかった?ので)
(クソ、アテストめ!)
(とどめに、高校時代は教室で時計の短針の動きを見ながら独りでノリ弁を食うような超絶人見知りのボッチに進化してたので)
けっきょく「地元」を確立でけなかったってのが悔悟だったゆえ。
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後年、ラッキーなことにてめえに子どもがでけたとき。
最も大切にしてきたのは、ムスメっこには確固たる地元を確立し、そこに根ざしてほしいってことだった。土地自体にも、人間(おともだち)関係的にも。
そんで、いまんとこそれはうまくいってる。
ムスメっこにとって一生の宝物になってるはず。
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。。。
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夏休みが終わってちょっと経ったある日曜の夜。
「コレ申し込んでほしいんだけど」
ムスメっこが共通テスト(センター試験の後釜みたいなやつ)の振込用紙を突き出してきた。
「平日はあたし忙しいから、ダンナやっといて」
にょうぼうのムチャぶりで翌朝、郵便局で受験料の2万円を払い出した。
「予告なしで2万円のムチャぶりは痛いぞ!」
「今月のおれのお小遣いマイナス2まんえーん!」
おもいつつも。
いよいよムスメっこの未来を拓くステージが本格的に始まるんだな。
ちょっとワクワクしもしてた。
がんばれムスメっこ!
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しかししてその数日後、ムスメっこから「推薦受けたい」という予期せぬ内容のLINEがすっ飛んできて局面がガラッと変わる。
まだつづくのかよな上に、既出とだいぶんカブってるな!