高橋慶彦っていう元プロ野球選手の話にほおおっておもったという話。
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城西高校のエースとして甲子園で活躍した高橋慶彦は、ドラフト3位で指名され広島カープに入団する。
カープのスカウトは高橋を、ピッチャーとしてではなく走力を高く評価して獲ったわけで、入団と同時にバッターに転向。
脚を活かすため、スイッチヒッター(左右両打ち)の練習をはじめる。
生まれてこのかた、右でしか打ったことのない高橋。
結論から言うと、猛練習で左打ちを会得し、4年目にはショートのレギュラーに定着。
以後、俊足巧打のリードオフマンとして(超絶プレイボーイとしても)黄金期のカープで一時代を築くわけだが。
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スイッチ転向を命じられたとき。
「野球を始めてからいままで右打席で振ってきたスイング数を、3年でやればいい」と考えたそうな。
すげくね?
(「野球を始めてからいままで」とか「それを3年で」は記憶があいまいだから正確かどうかは疑問だが、言わんとしてるのはだいたいそんなんようなこと)
たとえば野球を始めたのが9歳だったら、18歳までの9年間を3年でだから3倍。
13歳だったら、6年間を3年でだから2倍。
ロンのモチ右打席の練習もやるわけだから、右打席が1倍だとしても通常の3〜4倍はバットを振ることになるわけで。
まあ、それは措いたとしても。
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「そういう、数字に置き換えるという考え方もあるんだあ」
ほほおって、感心した。
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細かいことを考えれば。
単純に(高校とは比べものにならないレベルのプロで)、がんらいの右打席でも通用するかどうかわからない高卒ルーキーの段階で。
よしんば右打席と同レベルになったとしてもプロに通用するかどうかはわからない。
とか。
実際になにかスキルを身につけようとしたら、「それに費やしたすべての生活をひっくるめた経過時間(説明か日本語かどっちもかがへったくそすぎるぇ)」もたぶん重要な要素になるはずで。
たとえばトレーニング以外のぼーっとしてるときに、「こう振ればいいんじゃないか?」とか「こういうアプローチはどうだろう?」ってひらめいたりしてそれを試行錯誤したり、うまくいったときにはちょっと間を置いて頭のなかで熟成させる? ことって案外大事じゃないすか?
一定の時間を置いたときふと「ああ、コーチはこのことを言ってたのか!」って気づくことがままあるように。
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そういうのをぜーんぶとっぱらって。
まずは「3〜4倍振ればいい」って、シンプルな数字に置き換えちゃ(って実行して身につけちゃ)う。
とかく、物事を勝手に複雑に細分化して考えたり、逆に(シンプルじゃなく)安易に考えちゃいがちなキクチにはそれが刺さったわけですよ。
こういう考え方って。
マラソンを走るひとにも参考になるかもしれないし。
あるいは、まったく参考にならないかもしれない。
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。。。
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上記と一見矛盾しちゃうかもだが。
先週、ふらっとさんというひとと話す機会があって。
ふらっとさんって特にここ2〜3年、一般の市民ランナーとしてはできうるであろう上限の距離を走り込んでるらしいじゃないすか。
以前の倍くらいの距離を踏んでおる。
そんでいい齢して(!)、もとからクソ速えのにいまもマラソンのタイムをずんずん縮め続けておる。
それはとりもなおさず「シンプルにふだんの走行距離を伸ばした」が要因のひとつであることは間違いないんだろうが、それだけであろうはずはない。
きっとつなぎジョグしながらも、「もっと速くなるにはどうしたらいいんだろう?」を考え抜いて突きつめなすってるんであろうことは想像に難くない(慣用句ぇ)。
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あ、これは酒場のオフレコトークのたぐいでさらしちゃまずいのかもしんないケド、勢いでさらしちゃうと。。。
2次会の酒場にて。
「傍目にいつもコツコツまじめに走り込んでて」
「でも、なぜか結果に結びついてないひと」の話になって。
というか、キクチが「○○さん、おかしくないすか?」って着火的に話を振ったらば。
「もうちょっと、ここをこうすればいいのになあって常々おもってるんすけど」導火線的に話を振ってみたらば。
「おれもそのひとには言いたいことがある」
まんまとふらっとさんがノッてきてw
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でもまあ。
(いまや2時間35分ぐらい?で走る)ふらっとさんが言ったら、へんな上から目線になっちゃって感じわりいだろうし。
キクチが言っても、「ろくすっぽ走ってもねえクソシロートがナニ知ったようなことほざいちゃってんの?」ってなるだろうから。
黙ってようってことで決着がついた。
「うんうん、それがみんな平和だよ」って。
「そうですね、彼が努力の実をむすんで大ブレークする日をおれらは楽しみにして待ちましょーよ」って。
ザ・ことなかれ主義!!!!
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「そういえば、知り合いに」
「たとえばペース走やるとキロヨンで30kとかふつうにこなしてて」
「練習どおり走り切れれば、いますぐ2時間45分ぐらい出せそうなのに」
「マラソン大会になると、なぜかいつまで経っても3時間すら切れない」
「なので、『あああ、このひとはそういうザンネンな星の下に生まれてきたひとなのかもなあ』っておもいました」
「ってひとが、遠いむかしにいたんすけどね」
ふ「それおれじゃんか!!!」