(キ)ある意味の、人間性コンテストー!
―あ、ダーハダカおじさんのつづき、ですね。 ====
*
(キ)おれは、超絶人見知りなうえに。
アタマの回転がノロすぎて、アドリブがまったくききません。
たとえば。
家族がおれに何か売り言葉をほざいたとします。
「ん?」
でも、すぐにはテキトーな買い言葉がおもいつきません。
「ミョーに、ヘンだな」
程度の、ちょっとしたイワカンを抱えつつ。
そのまま、ジョグをしに出かけて。
ゆっくり、20kぐらい進んだところで気づくわけです。
「ソレ、ひどくね?」
―は、はあ。
(キ)残り10kぐらい。
コトの真理をつかんじゃったおれは
走りながら、怒りに震えるわけです。
わなわなわなわな。
残り10kぐらい。
あらゆる買い言葉をおもいうかべます。
罵詈雑言バリバリって感じで。
このクソバカ。家に帰ったらおぼえてろよ。と。
*
(キ)でも、家に帰ったころには。
売り言葉から数時間、経っちゃってます。
もう、場の空気が全面的に変わっちゃってる。
おれがいくらまっとうな怒りを抱えて。
一分のスキもスキスキスーもないロジックを携えて。
おれのロンパールームで家族をロンパしようとしたとて。
「てめえ、いまさら何言ってんだ、あーん」
ってハナシです。
「言いたいことがあんなら、その場で返せよバカヤロコノヤロ」
「いつまでもジメジメジメジメ考えてやがって、ったく、おっとこらしくねえな」
ってハナシです。
むしろソレのが、正論じゃね、もはや、ぐらいの。
*
(キ)ことほどさようですわよ、ってことです。
ダーハダカおじさんが気になりはじめて、かれこれ4、5年。
おれは、ずっと、カレをそういう感じで見守ってきたわけです。
―ん?
(キ)ラブストーリーは突然にやってきます。
そういうものです。
求めてやまないとき。
その求むるものは影もカタチも現わしません。
では、その求むるものはいつ現れるか。
まだ、求めてもなんにもいないときに、突然に、サダンリーに、です。
*
―んん?
(キ)ダーハダカおじさんを求める旅路。
全長20kちょい。
前回、7月は20k、脱水症になりながら求めても、待ち人は来たざりませんでした。
でも今回、まだ5kも進んでない、さてこれからだって場面で。
現れちゃった。。。
―おおっ!
(キ)幹事的なものを買って出ていたおれは
すっかり、ぬかっていました。
もしおれが古墳時代に生きるひとだったら、
額っ田のおおキミって名乗っちゃうぐらい。
ぬか漬けだったわけです。
「みんなで楽しくジョグしよう」
「なんだか美女ガーもいっぱいいるし」
「ペースは適切か?」
「速すぎたりはしてねえか?」
「キクチダセーとかおもわれてやしねえか」
そんなことを考えつつ、やっと巡航がサマになってきたころです。
5kも進んでないころっちゃ。
「ちょっと余裕も出てきたし」
って、人目をうかがってキョロつくのもやめて
視線を前方にぼんやりとさせつつ
泰然自若的なていをとりはじめたとき。
もう、現れちゃった。
*
(キ)どんだけ、知らんフリをしてスルーをカマそうとしたことか。
なにしろ、実体を知るものはいまのところ。
地球上におれしかいない。
「おれがそうだといやあ、そう」
「ちがうといやあ、違う違う、そうじゃない」
ってもう、カミサマ状態なわけです。
ビルドアップもダウンも、おもいのまま。
ぐらいのカミさま。な、はずです。
―それは一度スルーして状況をうかがいますよね? ふつう
(キ)でもおれはテンパってしまいました。
あまつさえ、アタマの回転がのろすぎて、アドリブがきかない。
「あっ、やべえ。おじさん。。。」
反射的につぶやいてしまいました。
―とうとう正式認定のときがやってきたわけですな
(キ)すぐ取り消そうとしました。
でも、ココロとうらはらに周りのひとに向かって言ってしまうわけです。
「あれが、あれが、あれが」
呼吸のスーを忘れて、ハーをくりかえすのみ。
新鮮なオートゥ―をとり入れることなく
脳みそがどんどんシーオートゥ―で満たされていくのがわかります。
サンケトゥ状態。
こうなったら、後の祭りです。
そしてこのあと。
信じられないような光景がくり広げられたのです。
とぅどぅく。
―えええっ!?