キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

ブーメラン三者面談 その1

中学校が夏休みに入ってすぐの7月下旬。
三者面談にいってきた。

家庭訪問とか面談とか系は
むかしからなぜか、おれの役割になってる。
中学の三者面談を親の立場で初体験してきたが (2017/07/27)



今年のムスメっこの担任の先生は、
中1のときとおんなじ。
30になるかならないかの、体育教師。

体育教師ってっても
おれらが中学生のときのような、昭和の
「なんかあったらぶん殴る」的なんじゃ当然なく

さわやかなイケメン。
ユキさんがなんか女に還る、ていどの。
官九郎さん・全力さん系。

たしかにそのスジだけあって
正論くせえことしか言わないが
でいて、ほどよく、すごく熱血。



この日の一番手だったキクチ家。
10分ぐらい前に教室に向かうと
教室の前で先生と出くわした。

教室に入り、
窓からお外を見ながら
言葉のツギホ的な会話をする。

「テニス部の部長になったじゃないすか」
「先生、おれね」
「これはムスメっこにとって」
「とってもいいことだとおもってるんです」
「チャンスだ、と」



3階にある教室。
体育館の向こうのテニスコートから
走ってこっちに向かってくるムスメっこが見ゆる。

視線をあげると。
ちょっと先に、じぶんの出た中学の校舎も見ゆる。

ムスメっこの教室とか
狛江駅前のホールとか。
狛江市のちょっと高いところに上ると
川の向こうにあるじぶんの出た中学が見えて
いつもとても、不思議な気持ちになる。

いらねえ風景描写ぇ。



「ボクも、そうおもってるんですよ!」
窓の外を見ながら先生は、言う。

おっ。
担任の先生のムスメっこを見る目と
おれのムスメっこを見る目が
まったく一致してたぜ、よかったぜ。

そういうことを確認したくて臨んだので
きょうの面談は実質、もうおしまい。
なようなもんだ。



ムスメっこが教室に着いて
三者面談がはじまる。

「三者面談」ってのはむつかしい。
上記リンクの去年のやつにも書いたが

「先生とおれ」の面談ならば。
子どもの学校やおうちでのようすとか
お互いの教育スタンス的なものを
タイマンで同ベクトルで、
すり合わせることがでける。

ところが、子どもも同席してると。
先生がおれに話してることも
おれが先生に話してることも
相手に話してるていで、ぜーんぶ
ムスメっこに向けた言葉になっちゃう。



いちおう、話をくり返してみる。
「今回、テニス部の部長になったことは」
「ムスメっこにとって」
「とってもいいことだとおもってるんです」
「これはチャンスだ、と」

ムスメっこは
いい意味でもそんなよくない意味でも
わりと、いいこちゃんで。

勉強もスポーツも、そこそここなす。
が、承認欲求とか前に出ろ精神みたいなものが
ビックリするほど、ない。



いまの中学の授業って。
これはおれがビックリしたから書いてんだが。

じぶんが中学のときみたいな
「ひたすら先生の言うことを聞き
板書をノートに写す」形式じゃなく。

生徒に考えさせたり、
手を挙げさせて答えさせたり、
何かをまとめて発表したり、
というシーンが、激増してて。



なのに、ムスメっこは。
授業参観にいっても
ぜったい手を上げないし。

直近のやつなんか、
「次の時間は発表にあたっちゃったから
てめえらは絶対に帰れ、観るんじゃねえぞ」
ってやんわりと言われる感じで。

学校やクラスの役割的なことにも
いっさい、手を上げないんだそうで。

なので。
代が変わるとき、パイセンの指名で
部活の部長になったってのは
何らかのきっかけになるんじゃねえか
これはムスメっこにとっていいチャンスだ。
っておもったしだいで。

話が一歩も進んでねえぇ。。。



「2学期がはじまったらすぐに、ですね」
先生が語りはじめる。

去年もそうだったケド。
先生もおれも、ザ・語りたがり。
ひとの話を訊くよか、てめえの考えを
カイチンしたい、おんなじタイプだな。
ってのは、よおくわかる。ピーンと。

ってのは、措いても。



「2学期がはじまったらすぐに、ですね」
「文化祭があるんですよ」

「クラスの実行委員を決めなきゃってんで」
「でも、なかなか決まらなくって」

「希望するかどうかの紙を出してもらったら」
「ななこにやってもいいの△がついてて」
「ボク、ななこにチョー薦めたんですよ」

「でもな、ななこは」
「やっぱり、前に出てこようとしない」
「というか」
「どうしても及び腰で。。。」

お、おう。
わかったぞ!



これは、アレだ。

おれがムスメっこが来てから
バカみてえに反すうした
「テニス部の部長になったことは」
「チャンスだとおもってるんです」

てのの、リプライズだ。
この先生は手を変え、品を変え、
ムスメっこに新しい地平を
みせてあげなきゃってなってくれてる。

よおおおおく、わかりました。
教師って、すげえな。

あ、「教師」ってからげかたが
正しいのかどうかは措いても。
少なくともこの担任の先生は
クラス全体とクラス一人一人を見渡し
各人のことをちゃんと考えてくれてるタイプだ。

ってことは、あらためてわかった。



先生もおれも。
ムスメっこに伝えたいメッセージは共通してる。

「とりあえず、食わず嫌いをやめて
目の前にあるものを食ってみな。
ひょっとしたら苦手だとおもってたものが
すげえうめえかもしんねえよ」



ムスメっこの中2の生活は
このままいけばたぶん、安心だ。
先生がそういう風に接してくださってるかぎり
親として心配することはない。だろう。

「でも、部長っていってもさあ」
「熱血でぐいぐい引っ張るタイプとか
全体をうまく調整するタイプとか」
「たぶん、いろいろあるから」

「ななちゃんに合ったタイプを」
「1年かけて見つけてけばいいとおもうんだ」

とか、しゃらくせえとじぶんでおもいつつ
なんとなくもっともらしいフォローをしておく。



「食わず嫌い」
「じぶんに合ったタイプ」

しゃらくせえとおもうじぶんの口先を
いっぽうで第三者のように訊きながら

「こ、これは」
「ムスメっこじゃなく、おれ自身におれが言ってる」
途中ではたと、気づいた。



じゃあ、おれは。

食わず嫌いを「人生経験」ってウソコで包んで
テキトーに類型化して、食ってねえんじゃねえか?

「じぶんにはこれが合ってる」
人生経験ってウソコで包んで
ほんとうにやるべきことから、
目をそむけてや、しませんか?

たとえば、この面談が終わって走るとして。
「いまいちばんやりたくないけど大事な練習」を
言い訳せずに、やれますか?

「週末にがんばります」じゃなく
「いま、帰ったらやれます」か?

それと、おんなじっすよね。
ブーメランだ。なかなかの切れ味の。



。。。



「ところで、夏休みですが。。。」
「宿題に『高校見学』があるのはご存知ですよね?」

「え、ええ。。。」



きょうびの中2って、それがふつうらしい。

就職活動前の「インターン」とは
ちょっと違うけど、似たようなニュアンスで
ネット予約して、親同伴で高校見学をする。

人気校になると「マラソン大会の0次関門」ぐらい
エントリーから数10分~数時間で
枠がいっぱいになっちゃう、らしい。

「ななこは、どこに見学いくか、決めたの?」
なぜか黙り込む、ムスメっこ。

父親たる、昭和世代のおれが、
ハッタリをカマす番がきた。


つづく。

が、ブーメランについてはもう書いちゃったから
「つづかない」かもしれない。

「つづける」にしても、おめえ、
これ以上、渋滞に渋滞を重ねてどうすんだ?


ニーズ度外視にも、ほどがあるなこれ。