三者面談にいってきた。
家庭訪問とか面談とか系は
むかしからなぜか、おれの役割になってる。
⇒中学の三者面談を親の立場で初体験してきたが (2017/07/27)
*
今年のムスメっこの担任の先生は、
中1のときとおんなじ。
30になるかならないかの、体育教師。
体育教師ってっても
おれらが中学生のときのような、昭和の
「なんかあったらぶん殴る」的なんじゃ当然なく
さわやかなイケメン。
たしかにそのスジだけあって
正論くせえことしか言わないが
でいて、ほどよく、すごく熱血。
*
この日の一番手だったキクチ家。
10分ぐらい前に教室に向かうと
教室の前で先生と出くわした。
教室に入り、
窓からお外を見ながら
言葉のツギホ的な会話をする。
「テニス部の部長になったじゃないすか」
「先生、おれね」
「これはムスメっこにとって」
「とってもいいことだとおもってるんです」
「チャンスだ、と」
*
3階にある教室。
体育館の向こうのテニスコートから
走ってこっちに向かってくるムスメっこが見ゆる。
視線をあげると。
ちょっと先に、じぶんの出た中学の校舎も見ゆる。
ムスメっこの教室とか
狛江駅前のホールとか。
狛江市のちょっと高いところに上ると
川の向こうにあるじぶんの出た中学が見えて
いつもとても、不思議な気持ちになる。
いらねえ風景描写ぇ。
*
「ボクも、そうおもってるんですよ!」
窓の外を見ながら先生は、言う。
おっ。
担任の先生のムスメっこを見る目と
おれのムスメっこを見る目が
まったく一致してたぜ、よかったぜ。
そういうことを確認したくて臨んだので
きょうの面談は実質、もうおしまい。
なようなもんだ。
*
ムスメっこが教室に着いて
三者面談がはじまる。
「三者面談」ってのはむつかしい。
上記リンクの去年のやつにも書いたが
「先生とおれ」の面談ならば。
子どもの学校やおうちでのようすとか
お互いの教育スタンス的なものを
タイマンで同ベクトルで、
すり合わせることがでける。
ところが、子どもも同席してると。
先生がおれに話してることも
おれが先生に話してることも
相手に話してるていで、ぜーんぶ
ムスメっこに向けた言葉になっちゃう。
*
いちおう、話をくり返してみる。
「今回、テニス部の部長になったことは」
「ムスメっこにとって」
「とってもいいことだとおもってるんです」
「これはチャンスだ、と」
ムスメっこは
いい意味でもそんなよくない意味でも
わりと、いいこちゃんで。
勉強もスポーツも、そこそここなす。
が、承認欲求とか前に出ろ精神みたいなものが
ビックリするほど、ない。
*
いまの中学の授業って。
これはおれがビックリしたから書いてんだが。
じぶんが中学のときみたいな
「ひたすら先生の言うことを聞き
板書をノートに写す」形式じゃなく。
生徒に考えさせたり、
手を挙げさせて答えさせたり、
何かをまとめて発表したり、
というシーンが、激増してて。
*
なのに、ムスメっこは。
授業参観にいっても
ぜったい手を上げないし。
直近のやつなんか、
「次の時間は発表にあたっちゃったから
てめえらは絶対に帰れ、観るんじゃねえぞ」
ってやんわりと言われる感じで。
学校やクラスの役割的なことにも
いっさい、手を上げないんだそうで。
なので。
代が変わるとき、パイセンの指名で
部活の部長になったってのは
何らかのきっかけになるんじゃねえか
これはムスメっこにとっていいチャンスだ。
っておもったしだいで。
話が一歩も進んでねえぇ。。。
*
「2学期がはじまったらすぐに、ですね」
先生が語りはじめる。
去年もそうだったケド。
先生もおれも、ザ・語りたがり。
ひとの話を訊くよか、てめえの考えを
カイチンしたい、おんなじタイプだな。
ってのは、よおくわかる。ピーンと。
ってのは、措いても。
*
「2学期がはじまったらすぐに、ですね」
「文化祭があるんですよ」
「クラスの実行委員を決めなきゃってんで」
「でも、なかなか決まらなくって」
「希望するかどうかの紙を出してもらったら」
「ななこにやってもいいの△がついてて」
「ボク、ななこにチョー薦めたんですよ」
「でもな、ななこは」
「やっぱり、前に出てこようとしない」
「というか」
「どうしても及び腰で。。。」
お、おう。
わかったぞ!
*
これは、アレだ。
おれがムスメっこが来てから
バカみてえに反すうした
「テニス部の部長になったことは」
「チャンスだとおもってるんです」
てのの、リプライズだ。
この先生は手を変え、品を変え、
ムスメっこに新しい地平を
みせてあげなきゃってなってくれてる。
よおおおおく、わかりました。
教師って、すげえな。
あ、「教師」ってからげかたが
正しいのかどうかは措いても。
少なくともこの担任の先生は
クラス全体とクラス一人一人を見渡し
各人のことをちゃんと考えてくれてるタイプだ。
ってことは、あらためてわかった。
*
先生もおれも。
ムスメっこに伝えたいメッセージは共通してる。
「とりあえず、食わず嫌いをやめて
目の前にあるものを食ってみな。
ひょっとしたら苦手だとおもってたものが
すげえうめえかもしんねえよ」
*
ムスメっこの中2の生活は
このままいけばたぶん、安心だ。
先生がそういう風に接してくださってるかぎり
親として心配することはない。だろう。
「でも、部長っていってもさあ」
「熱血でぐいぐい引っ張るタイプとか
全体をうまく調整するタイプとか」
「たぶん、いろいろあるから」
「ななちゃんに合ったタイプを」
「1年かけて見つけてけばいいとおもうんだ」
とか、しゃらくせえとじぶんでおもいつつ
なんとなくもっともらしいフォローをしておく。
*
「食わず嫌い」
「じぶんに合ったタイプ」
しゃらくせえとおもうじぶんの口先を
いっぽうで第三者のように訊きながら
「こ、これは」
「ムスメっこじゃなく、おれ自身におれが言ってる」
途中ではたと、気づいた。
*
じゃあ、おれは。
食わず嫌いを「人生経験」ってウソコで包んで
テキトーに類型化して、食ってねえんじゃねえか?
「じぶんにはこれが合ってる」
人生経験ってウソコで包んで
ほんとうにやるべきことから、
目をそむけてや、しませんか?
たとえば、この面談が終わって走るとして。
「いまいちばんやりたくないけど大事な練習」を
言い訳せずに、やれますか?
「週末にがんばります」じゃなく
「いま、帰ったらやれます」か?
それと、おんなじっすよね。
ブーメランだ。なかなかの切れ味の。
*
。。。
*
「ところで、夏休みですが。。。」
「宿題に『高校見学』があるのはご存知ですよね?」
「え、ええ。。。」
*
きょうびの中2って、それがふつうらしい。
就職活動前の「インターン」とは
ちょっと違うけど、似たようなニュアンスで
ネット予約して、親同伴で高校見学をする。
人気校になると「マラソン大会の0次関門」ぐらい
エントリーから数10分~数時間で
枠がいっぱいになっちゃう、らしい。
「ななこは、どこに見学いくか、決めたの?」
なぜか黙り込む、ムスメっこ。
父親たる、昭和世代のおれが、
ハッタリをカマす番がきた。
つづく。
が、ブーメランについてはもう書いちゃったから
「つづかない」かもしれない。
「つづける」にしても、おめえ、
これ以上、渋滞に渋滞を重ねてどうすんだ?
ニーズ度外視にも、ほどがあるなこれ。