おととい。記憶ロストする数時間前、
生まれて初めて銭湯というところに行った。
番台って実在するんだな。
というのが、銭湯の感想。
(ガチで「時間ですよ」のコント小道具かとおもってた)
「生まれて初めて銭湯に行った」というのは
じぶんの中で何かが終焉を迎えた
(あるいは開始した)ぐらいのささいな一大事で。
とりあえず、驚かれるじゃん。
「えーっ、銭湯行ったことねえの???」とか。
それがたった1回でも行っちゃったってことは
ゼロか100かで言えばもう100の部類で
二度と「行ったことねえ」には戻れない。
だからどうだってんじゃない。
そうだっていうだけのことだ。
*
おれはひとつ、あなどってたことがある。
怪盗紳士さん。
レースで替えのパンツを忘れた
ということを以前、ブログで書いてらしたような気がする。
ヒッジョーにおいしいネタ。
「普段着のシャツを忘れた。あるのは汗でベチャベチャの臭いTシャツだけ」
とかに比べれば、大したダメージもない。
外から見えるもんでもないし
しらっとノーパンでいりゃ、いいだけ。
むしろ「おいしいネタができたぜ!」
って、ほくそ笑む。
「忘れたじぶん、でかした!」すら、おもう。
おれなら、ね。
*
おととい。
生まれて初めての銭湯。
脱衣所。
汗を流し、服を着ていると。
ガラッ。
浴室から出てきたのは、怪盗さん。
おれの隣で体を拭いている。
体を拭き。
荷物をまさぐる。
もう一度、まさぐる。
「マジかよ。。。」
パンツを、忘れたらしい。
風呂に入る前。
脱衣所で服を脱ぎながら
「替えのパンツ、忘れちゃったりなんかしてね」
とか、軽口たたいてたのに。
パンツを、忘れたらしい。
*
ぎゃはははは。
また、やりやがった。
ひとりを除いて、大爆笑。
ひとりだけ、ガチマジ凹み、してる。
「なんでだよ、マジかよ。。。」
「しかも生ケツにズボン履いてるとこ、浴室の中からいわさんに見られちゃいましたよ。。。」
*
「(後で合流する)新妻さんに持ってきてもらえばいいんじゃないすか?」
「いや、出先から直行なんすよ。。。」
「あ、コンビニで売ってるんじゃないすか」
「そうっすね。。。」
「まあ、ノーパンでも困ることないですし」
「そうっすね。。。」
焦点が定まってないこと、数時間後の誰かのごとし。
うつろな感じで、銭湯を出る。
銭湯から酒場まで歩いて10分ぐらい。
酒場と逆方向にコンビニ。
「あ、コンビニ寄ってきますんで。。。」
と、怪盗さん。
数メートル進むと、おれらの進行方向にも
コンビニが見えた。
「怪盗さーん、こっちにもありますよー、コンビニ!」
「はい。。。」
*
ネタとして忘れたパンツなら
あすこまで落ち込むことはないだろう。
怪盗さんは、パンツを忘れたことを
周りがおもっているより
そうとうな重大事ととらえてることがわかった。
あなどってた。
すげえ誠実なひとだ。
いや、別に。
「パンツ忘れたことをネタにできるひとは誠実じゃない」
ってわけじゃないが
パンツ忘れたことをあすこまで落ち込むなんて
あるライン以上に誠実じゃなきゃ、できない。
怪盗さんはすげえ誠実なひとなんだなあ
って、おもった。何となく。
*
酒場の入り口に一番乗りし
女性陣や酒場から合流するひとを待ってると
怪盗さん・オブ・チョー晴れやかな顔で登場。
「パンツ買えました?」
「はい!」
「ひょっとして、もう履いてます?」
「はい!」
よくわかんねえけど。
怪盗さんのパンツそのものかパンツの中身には
カレの元気っていうか活力を司る機関があって
それは管制塔っていうか司令部みたいなもので
怪盗さんの「正体」みたいなもので
たとえ四肢をもがれたとしても、
「この私を倒さぬかぎり、私は何度でも復活する!」
ぐらいの怪盗中枢なのかな。
とか妄想してたら、何だか楽しくなってきた。
おれも結婚したくなってきた。