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映画を観て、書きたいことはたくさんあるんだが
何を書くのが適当であるか
しかもネタバレにならない程度で。
と、ない脳みそを搾った結果
なるべく手短かにいってみようとおもう。
![image](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kikuchiroshi/20181224/20181224195352.jpg)
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この映画があると知って。
前エントリーでほざいたとおり
血湧き、肉踊ったわけだが、
ひとつ懸念してたことがあった。
「どれだけ知らない情報が出てくるか」
ということであった。
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池田高校の話って、すでに。
さまざまなメディアで語り尽くされてる感がある。
なので、言いかたが間違えてるかもしれんが
いまさら特攻上がりでうんぬんとか
山あいの子どもたちに大海をうんぬんとか
さわやかイレブンがうんぬんとか
水野畠山がすごかったとか
そういうのはここではいいよっておもってた。
映画監督は、蔦監督のお孫さん。
「であるからこそ」目線の新情報を知りたい。
たとえば、ウェブサイトだかに
「よくおもってなかったひとの告白も取り上げた」
的なことが書いてあったので
それがどういうことで、どう扱われるか
ということに、非常にキョーミを示してた。
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前者(監督は蔦監督のお孫さん)でいえば
蔦監督というよかキミ子夫人に
多くスポットライトが当てられている
というところが、ものすごくよかった。
キミ子夫人というのは
いままであまたある
蔦監督ドキュメントモノをみてても
話しかた、語り口がものすごくロジカルで
聡明な女性だなあと関心があった。
それが存分にみられた。
youtubeから拾うと、たとえばこういう。
4分45秒からのと、7分過ぎの。
ちなみに、次エントリーでは
7分過ぎのことについてほざこうとおもってる。
上映後の挨拶でもおっしゃってたが
蔦文也というより蔦文也&キミ子の物語。
むしろ主役は奥さんじゃね?
という感じになってた。
夫唱婦随とか、甘っちょろいもんではない
女傑。
ひとつネタバレになってしまうが
この映画は、キミ子夫人の生命の
終わりとともに、終わる。
晩年、痴呆が進み、耳も遠くなったなか
ありし日の蔦監督のことを話しはじめ
どんどん雄弁になっていく。
「監督はとにかくいいひとすぎた」
とくり返し言ってたのが、印象的だ。
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後者(蔦監督をよくおもってなかったひとの告白も取り上げた)
については、サプライズだった。
「え? そこ?」という。
白川進(蔦監督の参謀というかパートナー)
というひとが
「(桑田清原がいた)PLに破れたとき
(前人未踏の夏春夏三連覇を逃したとき)
ほんとうに燃え尽きたんだとおもう」
と言っていて(ネタバレ、ね)。
そのあとも数年はセンバツで優勝したり
まだ強かったので
いやいやいやいや、っておもったんだが
たしかに、ナットクできた。
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じゅうぶん長えじゃねえか、このエントリー。
しかもこの辺境クソブログ。
読んでくださるとしたらマラソン関連のひとが
大半だから、たぶんまったくキョーミねえぞ。
もうちょい、つづける。
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そんな感じで。
全編、期待を寸分も裏切られることなく、
それどころか、という感じで楽しめた。
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水野の代のキャプテン、江上に。
「おまえはアマチュアでがんばれ。
間違えてもプロに行こうとおもうな」
と言いつづけてたってあたりのエピソードも
グッと来るものがあった。
あ、江上ってのは前年の夏、
早実の荒木大輔をめった打ちにする端緒の
ツーランをかっとばした強打者。
いわゆる「荒木大輔、鼻つまむ」を
やらせたひと。
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「水野はカレーが嫌いだった」
ってことから展開するキミ子夫人の持論も
魅力的だった。
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これもネタバレっぽいが、冒頭。
梶田のことを語るキミ子夫人のシーンから
この映画、本編がはじまるってとこで
一気に引き込まれた。
梶田っていうのは、86年の
センバツ優勝投手、ね。
池田高校が語られるうえで、ふつう
いちばん最初に出てくるタイプのひとではない。
にもかかわらずな、あたり。
っていうか、ここで取り上げてんの
夫人の言ばっかじゃねえか。
おれ、どんだけキミ子夫人、大すきなんだ。
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。。。
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表題のことを忘れそうになった。
「蔦監督のすごいところ」だか
「蔦監督から学んだところ」
だかって質問に対する、教え子のこたえ。
甲子園に出るまで20年。
それから甲子園で優勝するまで10余年。
壁にはね返されたりいろいろしながら
蔦文也というひとは池田高校の監督を
「つづけつづける」。
30数年、気が遠くなるような
とてつもない年月。
それだけ「つづけつづけ」れば、
金属バット普及による「ツキ」が向いてくる。
(たしか「時代が追いついてくるということもある」って言ってたのかな)
ことがあるかもしれないし、
ないかもしれない。
でも「つづけつづけ」なければ
ツキが向いてくることもなかったわけで。
その信念の揺るがなさというか
意志の貫通力って、じぶんみたいな凡人にだって
どこか見習えるとこあるんじゃねえかな、と。
あ、「ことがあるかもしれないし」以下は
おれが勝手におもったこと、ね。
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この映画では出てこなかったが
ごくふつうの公立高校であるからには
教師は数年に一度、異動する。
蔦監督は、本人がかけあったんだか
教育委員会(?)のはからいだったんだか知らんが
普通科、定時制・・・
という「異動」をくり返すことによって
池田高校の教師・監督でありつづけた。
ってエピソードをどこかで読んだことがある。
そういう、いい意味で
いい加減で大らかな昭和という時代。
そんなノスタルジーにも浸りながら
いまの時代だったらこういうひと
ぜってえ出てこないだろうなあとおもいつつ。
逆に、もし蔦監督がいまバリバリだったら
どういう野球をみせてくれるのかなあと
想いを馳せつつ。
映画館を出て、
「出先から戻りました」ってていで
いそいそと職場に戻ったんであった。
つづく。
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そうそう。この映画。
東京での上映は明日(4/15金)まで。
公式サイトによると。
4/16~22は、名古屋で
5月には大阪で公開される。らしい。
らしい、ですぞ!
無料。
というのも、高野連の映像って
商用目的で使っちゃいけないんだから
なんだとさ。
むつかしいことはわっかんねえケド
こういう縛り、だっせえ。
じゃあ「熱闘甲子園」のDVDは
どういうリクツなんだよ? っていうね。
おれ、カネ出して買ってるぜ、っていうね。
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なお、もう遅いかもしれないがヒント的には。
上映は12:15から。
10:10から整理券がくばられる。
東京の劇場、キャパは80人強。
ほぼ10:10には整理券の配付が終了する。
おれが行列に並んだのは9:20。
28番目、だった。
そんくらいだとまだわりかし席が自由に選べて
5列目中央ぐらいの絶好のポジションをとれた。
とれました、とさ。