とりわけ、反省を活かしたところで
バターになんかなるわきゃ、ない。
そりゃ、セレブってクラスになりゃ、ぐるぐる回るだけでバターになんのかもしんねえけどよ。
パンケーキにバターって、欠かせないよねっ。
*
おもいかえしてみますれば。
去年のいまごろも、駒沢公園に
とある村のかたがたが大集合した。
あのころは、はじめましてなかたも多く。
超絶人見知りをいかんなく発揮して
ムクチヒロシって感じで無言でどぎまぎしてた。
てーいさんに「あんた誰?」っていわれたり。
初対面のSugiさんにビビったり。
ふらっとさんにやけに他人行儀だったり。
対人恐怖症的にどぎまぎしてんのは、
いまも寸分たがわねえんだがなっ。
*
去年のおんなじころの、駒沢公園。
そこでデカいチョンボを2つ、しでかした。
ひとつが、自己紹介。
「きょうは走る気、ありませんっ」その捲土重来を期した。
朝、自己紹介でほざいた。
マジ、なめてる。
一所懸命、企画してくだすった幹事さんを、侮辱してるとしかおもえない。
ほざいた直後に、やっちまったなとおもった。
なにおれ、そんなとこでジャクリーヌ全開さしてんだろう。
というのが、表題。
きょうのオハナシ。
*
朝、9時まえ。
駒沢公園に着くと。
みなさんもう、集まっていた。
あわてて用意をしつつ。
たかしさんにご挨拶しに行く。
この日のダンドリをいろいろしてくだすったし。
陣地をつくってくだすってるし。
なにより、たかしさんの。
キロ5で30kへのゲキアツな想いを
「バッチリチリバツ、サポートさせていただきまっせ」
ってえと、上からっぽくてアレだが。
共有してる感じを伝えたいのもあって。
*
で、歩み寄る。
「たかしさん、おはようございます!」
「きょうは、よろしくお願いしま・・・」
*
言い終わるか終わんないかのうち。
たかしさんが号令をかける。
みなさんが輪になって集まる。
たかしさんの右隣に、借りてきたようなクソバカシネカス。
「みなさん、おはようございます」
「では、せっかくなんで自己紹介でもしましょか」
*
お、おうよ。
場には30人弱のかたがた。
とある村のイベント的なことに初参加なかたも
何人かいらっさる。
ジツに、適切な行為だ。
*
だが、ちょっと待て。
ちょっと、待てよ。
「チョッマテヨ」(キクタク)
「チョット、チョットチョット」(ザ・きくっち)
ってていで、チョトマテクダサーイ
が、おのれの胸にこだまする。
*
だってアレじゃないすか。
こういうのってたぶん、
幹事のたかしさんがハナを切る。
そこから、どっち回りなの?
時計回り?
どろぼう回り?
右? 左?
ライト? レフト?
どっち?
*
とんでもねえタイミングで。
とんでもねえとこに位置してしまった。
位置して、しまつた。。。
*
おれは、たかしさんの右隣。
*
どろぼう(右)回りなら。
いきなりの出番降臨。
たぶん、たかしさんはネタをカマすであろう。
そりゃ、幹事権限的に。
こういうことを見越して。
行きの電車で、それなりの用意もしてきてる
んだろうし。
そうしたらおれとて。
何かをカマさなければ、ならない。
ねば、ならない。
に、しては。
考える時間がなさすぎる。
「ペースメーカーをする」
ということに胸いっぱいで。
あっぱいうっぱいえっぱいおっ、って感じで
自己紹介なんか、想定してない。
*
あまつさえ。
トークが国宝級に得意ではない。
人の目を見て、話せない。
○中学の同級生の披露宴に呼ばれて。
○なぜか、友人代表のスピーチをすることになって。
○キンチョーがゆきすぎて。
○出番が来るまでにガンガン飲んじゃって。
○いざ、スピーチとなったら。
○酔いとアタマ真っ白が同時に押し寄せて。
○しどろもどろになったうえ、黙りこみ。
○披露宴を台無しにした。
説明が長えぞ。
はともかくとしても、
そんな栄光の歴史をスネに抱えてる。
ぐらい。
*
じゃあ、時計(左)回りなら、どうか。
1人10秒としても、出番まで5分。
考えるじかんはじゅうぶんに、ある。
とはいえ、大トリだ。
おれの自己紹介によって。
爆笑の渦なり
「よーし、きょうはやったるぞ」なり
なんらか、紅白駒沢合戦の
サブちゃんなりアッコ
的な盛り上がりを見せなければならない。
*
どっちにしても、荷が重すぎる。
いまからでもいい。
たかしさんのトイメンあたりに、しらっと
横入りしたい。
でもでも。
そんな度胸は、ねえ。
なら。
どうせなら、いきなりより。
オーラスのほうが、いい。
よしんば、大トリにふさわしいことが
言えなくても、最低限。
「キクチと申します。
キロ5のペーサーをさしていただきます。
みなさん、きょうはよろしくお願いしますっ」
で、いい。
それでとりあえず、場は流れる。
よしんば、カタコトで
「キクチ。
キロ5ペーサー。
ヨロシクっ」
でも、いい。
そうだ、それでいいんだ。
逆に、硬派っぽいかもしんないぜ。
ヨロシクっ!
*
パニクり始めてると、たかしさんがはじめる。
キロ5で30kに燃えてる、たかしさん。
「たかしと申します!」
「きょうはキロ6でっ!」
むむむ、そう来たか。
うーん、わかったわかった。
安定の、爆笑の渦だ。
さすがだ。
さて、だ。
じゃあ、ここからどう回すの?
右? 左?
左? 右?
左で、おなしゃす。
左って、言ってください。
左って、言えやゴルア!!!
。。。
「では、ここから左回りでっ」
*
うおおおおおお!!!!
乙女(おれ)の祈り、通じたー!
神って、いるーーーーーー!
いざとなったら、
「キロ6のキクチです」
って、パクっちゃえばいい。
ばかりか。
ヒトサマのご挨拶をパクるスキだって、あるっ。
それも、いいな。
よおおおおっしゃあーーーーー!
たかしさん、ホント、ありがとう。
ありがとう、ごーざーりーまーすーるーう。
スミからスミまでずずずずいっとおお
エビゾーな、ていで。
*
こうして、日本(こまえ)に平和が訪れた。
かに見えたが。
こまえの平和は長くは続かなかった。。。
*
「たかしと申します!」
「きょうはキロ6でっ!」
「では、ここから左回りでっ」
「ま、最後にキクチがおもしろいこと言ってるくれるでしょうから」
ぐぬぬぬぬ。
神は、いない。
たかしにがみ(敬称略)って感じだ。
*
そこから、5分。
おれは、うつむきつづけた。
「おれ、どーする? どーする、おれ?」
おまえはホセメンドーサか。
ってぐらい、真っ白。アタマが。
ヒトサマのあいさつなんか、
パクるどころのさわぎじゃ、ねえ。
ビタ一文、耳に入ってきや、しねえ。
だんだんだんだん、
おのれの番が近づいてきてる
ということだけは、かろうじてわかる。
刻々と、近づいてくる。
輪になってるヒトサマが、タイムショックのコウ
1秒ごとに点灯してく、赤い光みてえだ。
何を言ってんだか、わかりづれえな。
そんくらい、パニクってる。
*
「キクチと申します」
蚊の鳴くようなボイスで、張り上げたった。
あとは、何を言ったか、憶えてねえ。
何を言ったか、憶えてねえが。
何かを言ったあと。
「なに言ってんだコイツ」
って感じの数秒の静寂をはさんで。
憐れみの失笑が起きた。
ということは、かすかに、感じ取れた。
*
こうして、おれの
「バレンタイン30K@駒沢公園」ははじまった。
いや、はじまる前に、終わっちまったのか?
つづく。