昼すぎ。
ちょっとした人生の岐路になりかねない。
みたいなことにコッツンコした。
どうなるかどうするかは、わからない。
答えは出てるケド、ちょっとカマトトぶることにした。
おれッドブル、翼を授ける、ぐらい。
*
社会に出て2年目だったか。
夏のはじめ。ひょんなことから同級生とハナシが盛り上がった。
「今度、ひさびさに大学の授業、出てみねえ?」
「行ってみよう行ってみよう!」
どうせ出るならアサイチ、1限がおもしろそうだぞ。
なんつって、土曜に学校の西門前に集合し
一般教養の哲学の講義にもぐった。
どうせだからって、大教室の最前列真正面を陣取って。
マジメにノートを取ったりして。
懐かしさついでに、学校の最寄り駅でお茶をして
どうせだからって、夜まで時間をつぶして。
そのまま飲みに行った。
*
あんがい、楽しかった。
同級生オンナとは。
卒業してからもよく、仲間うちでテニスをしていた。
ザ・オトモダチ・オブ・オトモダチ。
飲みながら、近況を話し合う。
「さいきんどうよ?」
この齢ごろの「さいきんどうよ」は
カノジョカレシ的なハナシを振る、意味でしかない。
「うーん、音沙汰なしかな」
「そっか、ガンバレよっ!」
おれは同級生オンナのサチ的なことを、ココロから応援した。
*
飲んでるうち。
演劇を観るのっておもしろいよね。
みたいなハナシになった。
「じゃっ、今度いってみよーぜ」
ちょうど、おれの大すきな戸川純が新国立劇場に出るってんで、いってみた。
芥川龍之介の、羅生門。
*
演劇がおもしろかったので
そのまま飲みに行った。
「さいきんどうよ?」
「あいかわらず、音沙汰なし」
「てめえ、早くサチ、つかみやがれっ」
「お、お、おうよ。キクチのほうは?」
「おれにサチなんか、あるわけねえだろ」
「ふーん」
まあそんなの枕詞みたいなもので。
みた演劇のハナシで盛り上がり、居酒屋を出て、おうち帰った。
*
たしかに楽しかったケド。
コウ、ふたりでジツのないハナシしててもしようがねえよなあ。
あいつ、早くサチつかみゃいいのになあ。
まあ、またそのうち、テニスで会うこともあるだろう。
本人がその気になりゃ、そこそこモテんだろうに。
まわりにオトコはいねえのか。
おれなんかと遊んだりするとか、よっぽどヒマなんだな。
*
数週間後、ケータイを機種変更することにした。
ここらへん、どういうきっかけだか忘れたが
その同級生オンナと電気屋にいくことになった。
いろいろ探しまわって。
新宿で、カッコいい青色のケータイをせしめた。
解約→新契約をすると
端末代タダ、だったころ。
電話番号が変わることなんか気にしてないので
一定期間使うと、ガンガン機種変してた。
「じゃ、わたしのケータイ鳴らしてみて」
「お、おうよ」
「よし、新番号もろた!」
ケータイが新しくなると、なぜか機嫌がよくなる。
せっかくだからって、飲みにいくことにした。
*
「さいきんどうよ?」
「あいかわらず」
「てめえ、早くサチ、つかみやがれっ」
「お、お、おうよ。キクチのほうは?」
「おれにサチなんか、あるわけねえっつってんだろ」
「ふーん」
会話、それしかねえのかよっていう。
あまつさえ。
数週間しか経ってないのに、「さいきん」もへったくれもねえじゃんか。
*
ただ。
なんだか、この日はやけに酒がうまい。
話しながらなんともなしに同級生オンナをながめる。
こいつ、早くサチつかみゃいいのになあ。
本人がその気になりゃ、そこそこモテるんだろうになあ。
おもった。
*
そして、ふとおもった。
「ん? 見知らぬ馬の骨のもとに行くには、ちともったいねえんじゃねえか?」
アズスーンアズそうおもうやいなや。
なんだか急に、照れてきた。
ほろ酔いも手伝って。
か、何だかわけわかんねえが。
筆談をしようということになった。
おれのたばこに、筆ペンで書き込み合う。
夜も更けた、場末の居酒屋。
会話もせずに、タバコにペンを走らせるふたり。
なにしてんだろう。
*
。。。
*
そして、いまに至る。。。
人生の岐路はそうやって、予期せぬところから訪れる。
そういうもんだ。
*
。。。
*
狛江駅からの帰り道。
歩きながら、そんなわけのわかんないことを想い出してた。
おれはなに、キョライしてんだろう?
そして。
言うにコト欠いて、なに、ほざいてんだろう?
並び順、テキトーwww(↓)。