朝8時。家を出た。
イエーーーーーイを、出た。
キクチとかいうヤツが騒いでた
「オネカン」とかいうものに行くためだ。
*
集合は9時。
南武線の南多摩っていう駅。
南武線に乗り換えるまで
あたしは勘違いしてた。
キクチは、小田急線の和泉多摩川に住んでるっていう。
クソ辺境で来週の土曜、
「ダーハダカおじさんを探しに行きましょう」
と、騒いでる。
その発着も和泉多摩川、だ。
そんなわけでうっかり
「和泉多摩川」に行きそうになった。
*
南多摩。
和泉多摩川。
どっちも「多摩」って、つく。
マギワラシイ。
多摩川。
二子玉川。
和泉多摩川。
京王多摩川。
南多摩。
多摩川沿いは、マギワラシイ駅だらけだ。
あまつさえ、きょうのオネカン。
「たま」さんもいらっさるっていう。
「多摩」って字を見すぎて
軽くゲシュタルト崩壊してるところに。
もう「たまさん」だか「多摩さん」だか
わかんなくなってキタヨ。
*
そんな絶体絶命のピンチをくぐり抜け。
なんとか南多摩駅に、着いた。
着いたーーーーーーっ!
平成のビートルズこと「多摩」
もとい「たま」なテイで。
おっと、奇遇ですなっ。
*
きょう参加するであろうかたがたも
集合時間には、バッチシ集まっていた。
バッチリチリバツって感じだ。
バッチシチシバツって、カンジダ。
ただし、1人を除いて。
旗振り役のキクチとかいうヤツ。
「南多摩にはコインロッカーもないので
荷物置き場代わりに、クルマ出しますよ」
ナドト。
エラソーなこと言っといて、遅刻してヤンノ。
*
来たとき、どういう言いわけをすんだろう。
あたしはアタマのなかでチャンピオンシップを開催した。
大本命は
「道が混んでて」
対抗は
「ちょっと迷っちゃって」
「どうも信号運がわるくって」
あたりだろう。
出オチのネタをテヘペロする可能性も、アル。
「お化けに遭っちゃって」
「入れ歯が見っかんなくって」
「途中でうんこもらしちゃって」
「フカキョンが行かないでってすがりつくもんだから」
とか。
あ、うんことか言っちゃった。おほほほほ。
*
なんていうあたしの気持ちをヨソに。
キクチは「あ、すんません」とボソッと言っただけ。
声が小さすぎて、聴き取れもしなかった。
謝るんならせめて
「ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ」だろ。
*
ともあれ、みんなで走りだす。
2、3kは平地でぽくぽくと。
さんざん降り続いた雨もやんだ。
マジ、あたしの晴れオンナっぷり、パねえ。
雨は降ってないし、ドピーカンってホドでもない。
わりと絶好のジョグ日和。
気持ちい。
*
しばらく進むと、目の前に坂が見えてきた。
「ここからがスタートですよ」
気分がもりあがってくる。
駄菓子貸ーし。
もとい、だがしかし。おほほほほ。
坂がはじまるや、みなさんスピードアップ。
ん?
(マラニックじゃ、なかったの?)
みなさんの姿が、どんどん小さくなる。
*
あんまり遅れすぎたら、
メーワクかけちゃうかも。
アタマにクエスチョンマークを浮かべたまま、本気だす。
「わたしもマラニックだとおもってましたよ、にゃははは」
たまさんが足並みをそろえてくだすった。
多摩さん、やさすい。
それにしても上り、キツイ。
(マラニックじゃ、なかったの?)
という心の叫びは。
「マラニックじゃないの?」
「マラニックなはずだっただろ!」
「マラニックじゃねえのかよ!」
「マジ、コロス!」
しだいに、音をともなっていった。
*
1つめの坂を上り終えてからは。
ゆるやかな下り坂をふたたび
みんなでゆるゆるジョグ。
「マラニックじゃないのお!?って、4回いってましたよねっ!」
テメエ、数えてんじゃねえよ!
もとい、あんた、ないわよ!
おほほほほ。
キクチ、マジ、コロス!
おほほほほ。
「4回くりかえすぐらい、重要項目だってことですよねっ」
ひこさん、オモシロイ!
*
2つめ、最後の上り坂。
歩かず、走りとおす。
がんばった!
あたし、がんばった!
休んでると。
「最初の坂の頂上から右に曲がって
平坦な道をちょっと進むと、ここに出るんすよ」
ムムム。
ソレを早く言ってってばよ。
言えってんだよ、おほほほほ。
キクチ、マジ、コロス。
ワリト、イマスグ、ココデ。
おほほほほ。。。
*
そんなこんなで。
ぶじ走り終え。
スーパー銭湯も気持ちかったし。
パンケーキもおいしかった。
帰り道。
みなさんは西方面へ帰る。
あたしだけ東方面。
方向がいっしょだから、沿線の駅までクルマで乗せてってくれるという。
キクチ、いいとこあんじゃん。。。
コロスの、延期。
*
まあ、あれだな。
クルマでどんなおもしろいトークが展開されるのかとおもいきや。
子育てどうしてるだの
平日の朝はどうしてるだの
受験たいへんですねえだの
マジメなハナシしかしねえでヤンノ。
せめて、「措く」とか言えよ。
せめて、「ビール飲みながら運転していいすか?」ぐらい、カマせよ。
なーんつって。
にしても、ダーハダカおじさん。
気になる、気になるぅ。
*
※参加くだすったとある美女ガー目線でイッてみた。
が、言動およびココロの機微はロンのモチ
あくまでもフィクションであーる。