気取りたくなっちゃったわけですよ。
マニュなんたらのハーフマラソンなわけですよ。
味スタで、ですよ。
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おうちから味スタまで、10kもないわけですよ。
ハーフマラソンが9:30からだから、8:30ぐらいにおうちを出て、キロ6ぐらいでポクポク走ってこうと気取ったわけですよ。
起きて、そそくさと用意するわけですよ。
「走りに行くの? あれ? きょうはリュック背負ってくの?」なんて言われるわけですよ。
ギクっておもったので、声に出してギクッと言ってみたわけですよ。
「帰りは昼すぎになる。おれは、昼すぎに、なるっ」って宣言するわけですよ。
てめえ、4時間も走るのかよ。それはどういうからくりだって言われるわけですよ。
にょうぼうのiPadを取り上げて、くだんのブログエントリーを開いてみせるわけですよ。
「これでも喰らいやがれ!」とばかりに、ですよ。
でも、そんなこというとぶっとばされそうなので実際は、「でしょ。これは行かないわけにはいかないでしょ? でしょでしょ?」なわけですよ。
よくわかんないケド、下手にでて気取ってみたわけですよ。
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味スタに着いたら、9:40ぐらいだったわけですよ。
ハーフマラソンは7.03kぐらいのコースを3周するわけですよ。
1周目かえってくるには、まだ20分ぐらいあるわけですよ。
からげると、くそ中途半端な時間なわけですよ。
スタジアムの入口(周回のおわり)で待ちかまえることにしたわけですよ。
黄色いかっこうをしたひとばかり探してたわけですよ。
カレは、黄色いランシャツを着てるとおもいこんでたわけですよ。
待てど暮らせど、来ないわけですよ。
10:05(35分経過)しても来ないので、仕切り直すことにしたわけですよ。
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周回コースの3k地点まで行ってみることにしたわけですお。したんだお。
気取れるかな、とおもったわけですよ。
2周目だから、10k地点ぐらいってことかな、なわけですよ。
調布飛行場の滑走路脇、うんざりするほど真っすぐな道の真ん中へんでですよ。
待ちかまえることにしたわけですよ。
ほどなく、青いチャリンコルックをキメたカレが、不意に現れたわけですよ。
カレがおれをハッケンして、おれはカレをハッケンできてなかったわけですよ。
おれがあいつであいつがおれで。
って言ってみたくなっただけなわけですよ。
あわてて写メしてみるわけですよ。

スイマーだけに、体幹がしっかりしてて、うらまやすいフォームなわけですよ。
ドピーカンだし、気温が高いし、風もそれなりにつおい、歓迎したくないコンディションなわけですよ。
直線の終わりまで、1kちょい、気づかれないように後ろをついてってみるわけですよ。
なかなかきつそうなわけですよ。
リュックに忍ばせたデオドラント大作戦を、2度ほど気取りながら渡してみたわけですよ。
でも、シートを渡しただけなので、ジャマになっただけかもって気になって、夜もねむれないわけですよ。
12k地点まで、斜め後ろで側道をストーキングしてたわけですよ。
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3周目は伴走を気取っちゃおうかなとおもったわけですよ。
滑走路脇の直線の入口、16k地点ぐらいで待ち伏せしてたわけですよ。
カレにとっちゃ、キツさの絶頂って感じの時間帯なわけですよ。
側道はまだるっこいので、コースにインしてみたわけですよ。
すぐ前に出て、ペースメーカー気取ってみようとおもったわけですよ。
でもおれにはペースメーカーは向かねえなって、痛感したわけですよ。
なぜなら、「このペースが妥当なのか? 前にいてジャマくさくねえだろうか?」ばっか考えちゃうわけですよ。
あとあと。「ひょっとして苦しくて歩きたいのに、よけいなことしちゃってんのかな」とかおもっちゃってるわけですよ。
気を使ってピタッと後ろをくっついてくれるので、風よけぐらいにはなりてえなとおもうわけですよ。
それすら、はなはだ若花田、ギモンなわけですよ。
「やらない善よりやる偽善」みたいなことが、アタマのなかをぐるぐるぐるぐる、まわってるわけですよ。
押し付けがましいにも保土ケ谷バイパスとか、おもってるわけですよ。
なんかきょう、ダジャレひんぱんじゃね。
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ラスト3kぐらいまで来たわけですよ。
中腰でデジイチを構えてるチャンネーが、前方で視界に入ったわけですよ。
「あれ? コッコ姫?」ってツイストしながらシャウトしちゃったわけですよ。
ジャストコレズバリなわけですよ。
図らずも、ですよ。
おれがムネコフさんに気取ってサプライズしたつもりが、ですよ。
姫がおれにサプライズした、という結果が残ったわけですよ。
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コースの設計上、選手しか通れないとこにいったので、いったんカレと別れたわけですよ。
「こっちを通れば、スタジアム内への近道なのだ」って、姫が言うわけですよ。
気取ってついてくしかないわけですよ。
アタリマエのように、駆けってくわけですよ。
姫はオレンジが似合いすぎるわけですよ。
「つぶつぶみかんちゃん」と世界ランクトップタイ、ぐらいなわけですよ。

姫は陸連のひととか運営のひとしかいない、パンピーが入っていきづらいところをぐんぐん入ってくわけですよ。
豪胆っていう言葉が、アタマんなかで点滅してるわけですよ。
おかげでゴールラインのすぐ横に陣取ったわけですよ。
全力を絞り尽くして、カレがゴールしてくるわけですよ。
本人は不本意かもしれんが、じゅうぶんナイスランなわけですよ。
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いいもん見してもらいましたんでしたとさ、なわけですよ。
ゴール後、とりあえず3枚目のデオドラントシートを渡してみてはみたものの、ですよ。
テイクしにいったのにけっきょく、ギブされっぱなしだった気がするわけですよ。
。。。