「コンピューター」とかの「ー」。
伸ばす音。
音引き(おんびき)とか長音符っていうんだケド。
たまにやってくる。おれに。
音引き(ー)省くブーム。
ド文系なので、理系っぽさがカッコよくみえちゃって。
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理系のひと、あるいは理系的な現場って
なんで音引き(ー)を省くんだろう。
「コンピュータ」「センサ」「サーバ」「モニタ」「具志堅ティナ」とか。
省かれるのは主に単語の末尾なんだが
そうでなくても容赦なく間引かれてることもある。
「塩化ビニル」とか。
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○文字数を減らすため
○数字の「1」。ハイフン「―」、マイナス「-」と紛らわしくなるから
○原語の発音に忠実にしてあるから
なんていう説があるが
どれもホントっぽくもあり、どれも後づけっぽくもある。
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たしかに
「文字数を減らす」なんて、合理的だ。
理系的合理性バリバリだ。
工場の配管とか配線のたまらない機能美。っぽい。
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たしかに「紛らわしく」もならない。
むかし『~のバカ力』
っていうタイトルの新書があって
どう考えても「ばかぢから」って読むんだケド
おれには「馬鹿か!」って読めて
ひとたびそう読めちゃうと
もはやそうにしか見えない。ということもあった。
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たしかに
「原語の発音に忠実な記述」は、近年の流れでもある。
「ジョージ・ハリソン」なのか
「ジョージ・ハリスン」なのか
いまだにわからねえんだよなあ
は措くとしても。
「金正日」が日本語読みの
「きんしょうにち」じゃイワカンがあってやっぱ
「キムジョンイル」がシックリくるように
「きくちひろし」がどっかの外国で
「フカキョン」って読まれてたら
誰だよそれ? ってハナシになる。
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ついでにさらに関係ないケド。
「原語の発音に忠実」
などとぬかしておきながら
英国を「イギリス」と呼ぶことに
誰も異論を唱えないってすげえなって
しみじみおもうブームも、たまにくる。
ボキャブリ部門、ぶっちぎりで日本史上最強だ。
イングリッシュ→エゲレス→イギリス
最強キャブラー。もとい、キャブラ。
ナイス、ご先祖様!
*
ハナシを戻す。
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たまにおれのもとに
「省くブーム」が降臨する。
合理的とか区別つきやすいとか、原語に忠実とか。
リクツじゃねえ。
なんだかカッコよさげじゃんか。
アタマよさげじゃんか。
知ったふうな口を利けそうじゃんか。
ふだん「ビニール」「モニター」
で慣れてるからこそ訪れる
「ビニル」「モニタ」の、いわく言いがたいイワカンというか、ギャップ。
イワカンというかギャップというか
かゆいところにビミョーに手が届かないこの感じが逆に
ブームゴコロをつんつん後押しする。
たまんねえ!
もとい、たまんね!
*
「オバーサン」を「オバサン」って言ったら
言われたひとは「あらあら!」なんて頬を紅く染めるんだろうね。
「ババー」を「ババ」って言ったら
婆あと馬場の区別がつかなくなって、
全国のジャイアントさんや馬場さんや高田さんがパニクっちゃったりすんだろうね。
「バーバー」(床屋さん)と「バーバ」(おばあちゃん)
も参戦しちゃったりなんかして
もうわけわかんなくなっちゃうんだろうね。
「アンタはバーバなんかじゃない。ババーよ!」
「ナニよ。早くそのカミソリで顔剃りしなさいよ! 気持ちいいんだから」
「アッポー」
「オリックスとヤクルトでサード守ってました!」
「次は、新大久保、新大久保」
などと。
*
ああ、スッキリした。くだんねえ。
もとい、くだんね。
くだんなくね? って言いまわしも
理系発祥なのかもねん。