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「先憂後楽」って言葉がある。
goo辞書によると
せんゆう-こうらく【先憂後楽】
意味
常に民に先立って国のことを心配し、民が楽しんだ後に自分が楽しむこと。北宋の忠臣范仲淹(はんちゅうえん)が為政者の心得を述べた言葉。転じて、先に苦労・苦難を体験した者は、後に安楽になれるということ。▽「憂」は心配すること。
出典
范仲淹「岳陽楼記(がくようろうのき)」
いちんちにやるべきこと、やりたいことが
いくつかあるときは
やなことから片づけちゃったほうがいいよ。
そんなような意味。
と、解釈してる。
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この言葉に出合ったのは、大学受験のとき。
浪人した春先、いまごろのことだった。
「国社英は好きだし、
ふつうにベンキョーしてりゃなんとかなりそうだし、
むしろ黙っててもやるんだケド、
数学と理科がどうもキライで。
でも、行きたい学校は
数と理がチョー大切なんだよね」
伯父にこう相談したところ、
「そもそも行きたい学校と合ってる学校は別問題じゃね」
「むしろ得意な3教科に絞って、そっちをどんどん伸ばしたほうがよくね」
と、正論ジャスト・コレ・ズバリな集中砲火を浴びつつ
いろいろ端折って
「先憂後楽って言葉、知ってるかい?」
と教えてもらった。
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「最初にキライな数学をやっちゃったあと、英語なり社会をやるようにすれば?
“例えば、数学はかならず1時間で片づける。ソレが終われば好きな教科に取りかかれる”
って決めれば、いろいろ能率も上がるんじゃね?」
目からウロコが落ちた。
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まあ、数と理はノー関係な学校に行ったので
結果的にまったくムダな時間を費やしたんだがな。
あとそもそも、ベンキョーそのものが嫌いなので
教科に好きも嫌いもへったくれも、あったもんじゃなかったんだがな。
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先憂後楽。
やなことを先に片づけちゃう。
そうすりゃ、気持ち的にもラクだ。
ハイ、正解。
んなこと、アタマじゃわかってる。
わかっててもやらねえからこその憂い
なんである。
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夜。あと1時間か1時間半がんばっとけば
明日の打合せは大船に乗った感じで臨める。
というきょくめんがあるとする。
あと少し、がんばっといたほうがいいに決まってる。
わかってる。
でも、きょういちんちもがんばった。
ぼちぼち、ひと息つきたいタイミングでもある。
そこに「どうよ?」とお誘い。
こんな場面。
おれはオトコだから、ウタゲ行っちゃうでしょ。
もしおれがオンナだって、ウタゲ行っちゃうでしょ。
アナタだって
オトコでもオンナでもどっちでもどっちでなくても
ウタゲ、行っちゃうでしょ。
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「明日1時間だけ早く出て、その分やりゃいい」
と固く決意して
「帰宅したらちょっとやるかも?」
ってカバンに資料入れて、自宅メールにファイル送って
あげく、すっかりウタゲを楽しんで
家でカバンもメールもまったく開かないばかりか
翌朝、いつもとおんなじ時間に出社。
おれのバカバカバカーっ。
そういう、いままで何十年も進歩なし、そのものが
憂い、なんじゃねえのか?
次からはバッチリキメるぜ。
って、けっきょく次もその次もおんなじことくり返すのが
いろんな意味での憂い、なんじゃねえのか?
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マラソン後の不摂生強化月間
ウタゲをなおいっそう推進しなければならない。
ガーミンヌ620をゲッツしたぜ
をひとに見せびらかしたくてしようがない。
前シーズンのジョグまとめを
書きかけのまま放り出してある。
次シーズンのジョグの野望も
早くアップしたい。
クライアントに
気の重い電話をかけなければいけない。
取材したまま締切がまだ先の原稿
せめてテープぐらい起こしとかないと。
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さてきょうのおれは上にあるうち
どれを片づけ、どんな憂いを帯びたまま
ウタゲに臨むんでしょーかっ?