ジャンケンでは、パーしか出さない。
20年ぐらい前にそう決めて、
わりと忠実に実行してる。
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おれがそんなどす黒い陰謀のもちぬしだとはつゆ知らず、
正々堂々とグーで挑みかかり、
涙を飲んだかわいそうな人もいたことだろう。
たとえば、
「クルマが来るまで誰か1人、目印として30分ぐらい道端で立ってなきゃいけない。真冬の超どしゃ降り」
「くそムカツく上司の社会の窓が全開なんだけど、誰かが知らせてやらなくちゃ。これからデカいプレゼンがあるのでいくらなんでもかわいそうだし、おれらも同類みたいで恥ずかしいし、ぜったいにとりたい仕事でもあるし」
みたいな、
じゃんけんでごくたまにある
「すごく地味なんだけど、負けてそれをやらされるのはマジでイヤだ」
を決めるきょくめんで。
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パー職人も、誕生のしゅんかんはたぶん、そんなんだった。
異常にもみあげが長くて、異常にプライドが高い後輩と
「すごく地味なんだけど、負けてそれをやらされるのはマジでイヤだ」
を決めるきょくめん。
忘れてしまったが、たぶん
「負けたヤツがコーラを一気飲みat ファミレスのドリンクバーの10何ラウンド目」
とかそういう、吐いて捨てるほどくだらないことだったのは、間違いない。
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コーラの一気飲みって
ビールとか酒と違って逃げ道がないので、
あんがいつらい。
いくら飲んでも酔っぱらえないうえに、
げっぷが無限に出てくる。
あと、真夏でもカラダが驚くほど冷える。
当然、水分で腹がガボガボになる。
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あ、これはもう、
「パー職人。誕生のきっかけはコーラ対決だった!」
ということにしてしまおう。
そんな流れで、以下。
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シチュエーションとしては、こういう(↓)。
○すでにお互いに、10杯近く飲んでる。
○カラダの調子もおかしくなってきた。
○どちらが勝ってもぜったい、何の利益もない。
○だから2人とも、実はやめたくてしようがない。
○でもたぶん「そろそろやめようぜ」と言ったほうが負け。
○一番の屈辱は相手に負けること。という場の空気感。
○「しょせんネタじゃん」というオブラートで包んでるから、よけいにタチが悪い。
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進退きわまりすぎて、
考えるよりも早く、
音声が喉を伝わって口から出てきた。
「おれはもうパーしか出さないから、あとはおまえにまかせる」
そのとき、
根性と体力頼みから、腹のさぐり合いへ。
あらたな次元の勝負が幕を開けた、のであった。
それまでの低次元を覆す、超低次元で。。。
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