ってこと、誰でも1つ2つあるよね。
というオハナシ。
*
1ヶ月ぐらい前、茨城に出張した帰り、上野の焼き鳥屋でボスがおもむろに
こんなことを話し出した。
中学生のころのある日、昼下がり、家にいると
雷とともに夕立がやってきてさあ。
ぼくは台所にいたんだけど、いきなり
ポップアップトースターからラジオが聴こえてきたんだよ。
そんなのもう、みすみす笑いの神に生贄をささげるようなもん。
出張に同行した、むかしいた会社の大先輩にあたるAさんは、おれと
「ハイハイ、そうでちゅか。そんなこと、ありまちゅよねえ」
みたいな感じで、茶化しまくってた。
ボスは
「いや、ホントなんだって!」と
半分笑いつつも半分大マジで、顔を真っ赤にしながらおれらを説き伏せようとしたが、
残念ながら説得しようとすればするほど、おれらの茶化しが加速するだけだった。
*
しかしそのうち、Aさんがまともに乗っかりだす。
齢50ながらフシギちゃん要素を内に持ちつづけるAさん。
自らの「誰にも信じてもらえないけど、自分は確かにみた」話をカイチンしはじめた。
「ボクの“トースターのたぐい”なんだけどね、・・・・・・」
といったぐあいに。
そのうち、笑いの神とお酒の神様があいまって、
「“トースターのたぐい”って名前でエピソード集めて本出しゃ、売れるんじゃね」
と、話がおもわぬ方向に発展しだす。
映画化だって夢じゃねえぞ、と。
誰だって1つや2つもってるもんだから、
あるあるネタ的に、共感ポイントはあるでしょうよ、と。
*
ちなみに、おれの“トースターのたぐい”は10数年前。
ある夜、御徒町から銀座線の末広町のほうに、
近未来のニョボと細かい路地を歩いていた。
住宅街、というか昭和な家々が建ち並ぶ
横丁という言葉がぴったりはまるような一画。
すると、数m先の民家がやけにショーウインドーになってて、明るい。
近寄ってみると、間口いっぱいに照らされたブラックライトのなかに、
無数のウサギの人形。
三三七拍子で笛を吹き太鼓を叩くウサギちゃんたち。
よく、おもちゃ屋の店頭なんかにある、アレが
リズムを合わせるでもなく、三三七拍子を乱打してる。
しかも、中央は少し窪みになっていて、
そこには特大のウサギちゃん。
ショーウインドーの間口は3m、奥行きは2mぐらいだった。
*
近年まれに交わされるキクチ家の夫婦の会話でも、
いまだに「あれは確かに現実だよね。だっておれら2人でみたもん」
って、お互いをナットクさせ合う。
ただ、冷静に考えれば考えるほど現実離れした光景だっただけに、
もはや、夢でも現実でもどうでもいい、
とおもいはじめてもいる。
そんな“たぐい”。
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きのう、ボスが出社するなり、おれに転送してきたメール(↓)。
すげえ執念。
いや、ホント、悔しかったんだろな。
これを見ろ。
某、阪大卒、電気専門家、の友人からの答えじゃ!
----- Original Message ----- From: ***
To: ***
Sent: Saturday, September 08, 2012 9:01 AM
Subject: ラジオの怪
ボス さま
返事遅れてすみません。
結論。十分に可能性はあります。私の知っている実例では、物置小屋からラジオが聞こえた
というもの。あるいは、鶏小屋というのもありました。どちらも屋根がトタンというのがミソですが。
再現は困難でしょうが、偶然が重なれば、あり得ます。