キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

とにかく披露したがる。

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最近のスポーツ中継は、実況アナウンサーが露骨に勉強不足なことが多い。

なあんてことをいいはじめたら、
もう完全にこうるさいオジサンなんである。

ケンノン・マイ・セルフ。
ただ、実況がうるさすぎたり的外れすぎたりすると、
そのスポーツの面白さも半減どころじゃなくなるのは確か。

スポーツ実況ってそんくらい、すげえ大切なやくわりだとおもう。


表題は、「ランナーズ」2012年1月号での羽佐間正雄さんのコラム。
元NHKで、ロス五輪の男子マラソンなどを実況した名アナウンサーらしいんだが、
申しわけないことに、おれはよく知らない。

ただ、言ってることには首肯しまくった。
聴く側でなんとなく感じていたイワカンが、
伝える側のフィルターをとおすと、明確になる。

該当部はこんな感じ。
 昨今のアナウンサーは、自分が取材して得た情報を、とにかく披露したがる。実況とは文字通り「実際の状況」を伝える仕事であり、予習の成果を発表する場ではありません。TPOによるものです。10個つかんだ情報のうち、2~3個出せれば上等。それも、レース展開に則した内容でなければ、無用のものと考えるべきですね。



まあ、線引きが難しいもんだいではある。
受け取る側の好みといっちゃえばハイソレマデヨ、なわけだ。

例えば、アテネ五輪の男子体操での実況。
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」
は、おれはすばらしいとおもってる。

ただ同時に、「これ、あざといと感じる人もいるだろうなあ」
とおもったのも確か。

みたいな。



「打ったー」だの「ゴ~~~ル」だのといったムダな絶叫というか、
騒音。なぞは、語るに値しないので、措く。



ゴルフ中継で「入れ~」とかいうギャラリーとか
大相撲で「カ・イ・オー」なんていう客もどきは、
もう腹立たしさしか覚えないが、このコンテキストとはまったく関係ないので、措く。



おれが、上の引用箇所を読んでて頭に浮かんだのは、
サッカーの実況でよく見かけるある場面。

出どころは同一人物だとおもうんだが、
パスを受けた選手の名前を全部呼ぶ、あれ。

小さなパスをつないでいる、その選手の名前をいちいち出す必要性は、
サッカー音痴なのかもしれないが、まったくわからない。

たんじゅんに
「耳ざわりきわまりねえ」
「アナウンサーの公開オナニーじゃん」
とおもいつづけてるんだが、
オトナなニホンゴでいい換えると、引用部になる。

予習の成果を発表する場ではありません。

マジ秀逸。
一部の隙もない正論。



なんつうか、たぶんにキレイゴトなんだが、
シゴトって相手に喜んでもらうためにやるもの。

自分の存在感をアピールしなければならない局面も、確かにある。
それは否定できない。

でも、
「存在感アピール」が「相手喜ばす」に一歩でも先行しちゃうと、
もうサービスが成り立たなくなっちゃう。
というシーンが、わりと少なくないような気がする。



ジブンの胸に手を当てると、なんだかチクチクする。
おれだって、
「細かいパス受けた選手の名前全部言う」
的な独りよがり、してるしてる。

他人のアラが見えたとき、じゃあオノレはどうかと振り返る。
最近、意識してそれをするようにしている。

とまあ、
オチもないまま、終わるんだがな。