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(2011-11-22)
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最近のスポーツ中継は、実況アナウンサーが露骨に勉強不足なことが多い。
なあんてことをいいはじめたら、
もう完全にこうるさいオジサンなんである。
ケンノン・マイ・セルフ。
ただ、実況がうるさすぎたり的外れすぎたりすると、
そのスポーツの面白さも半減どころじゃなくなるのは確か。
スポーツ実況ってそんくらい、すげえ大切なやくわりだとおもう。
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表題は、「ランナーズ」2012年1月号での羽佐間正雄さんのコラム。
元NHKで、ロス五輪の男子マラソンなどを実況した名アナウンサーらしいんだが、
申しわけないことに、おれはよく知らない。
ただ、言ってることには首肯しまくった。
聴く側でなんとなく感じていたイワカンが、
伝える側のフィルターをとおすと、明確になる。
該当部はこんな感じ。
昨今のアナウンサーは、自分が取材して得た情報を、とにかく披露したがる。実況とは文字通り「実際の状況」を伝える仕事であり、予習の成果を発表する場ではありません。TPOによるものです。10個つかんだ情報のうち、2~3個出せれば上等。それも、レース展開に則した内容でなければ、無用のものと考えるべきですね。
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まあ、線引きが難しいもんだいではある。
受け取る側の好みといっちゃえばハイソレマデヨ、なわけだ。
例えば、アテネ五輪の男子体操での実況。
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」
は、おれはすばらしいとおもってる。
ただ同時に、「これ、あざといと感じる人もいるだろうなあ」
とおもったのも確か。
みたいな。
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「打ったー」だの「ゴ~~~ル」だのといったムダな絶叫というか、
騒音。なぞは、語るに値しないので、措く。
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ゴルフ中継で「入れ~」とかいうギャラリーとか
大相撲で「カ・イ・オー」なんていう客もどきは、
もう腹立たしさしか覚えないが、このコンテキストとはまったく関係ないので、措く。
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おれが、上の引用箇所を読んでて頭に浮かんだのは、
サッカーの実況でよく見かけるある場面。
出どころは同一人物だとおもうんだが、
パスを受けた選手の名前を全部呼ぶ、あれ。
小さなパスをつないでいる、その選手の名前をいちいち出す必要性は、
サッカー音痴なのかもしれないが、まったくわからない。
たんじゅんに
「耳ざわりきわまりねえ」
「アナウンサーの公開オナニーじゃん」
とおもいつづけてるんだが、
オトナなニホンゴでいい換えると、引用部になる。
予習の成果を発表する場ではありません。
マジ秀逸。
一部の隙もない正論。
*
なんつうか、たぶんにキレイゴトなんだが、
シゴトって相手に喜んでもらうためにやるもの。
自分の存在感をアピールしなければならない局面も、確かにある。
それは否定できない。
でも、
「存在感アピール」が「相手喜ばす」に一歩でも先行しちゃうと、
もうサービスが成り立たなくなっちゃう。
というシーンが、わりと少なくないような気がする。
*
ジブンの胸に手を当てると、なんだかチクチクする。
おれだって、
「細かいパス受けた選手の名前全部言う」
的な独りよがり、してるしてる。
他人のアラが見えたとき、じゃあオノレはどうかと振り返る。
最近、意識してそれをするようにしている。
とまあ、
オチもないまま、終わるんだがな。