1ヶ月ほど七転八倒した仕事も明日で校了。
仕上げをかっちりせねば、
と集中しているところで、電話が鳴る。
出るなり、主題の言葉。
電話の主は、その雑誌の編集長。
「あー、なんかやっちゃったかなあ」
瞳孔が半開き状態のおれ。
*
編集長。出し抜けに
「キクチさん、日本酒って好きですか?」
好きかどうかは知らんが、
キライなもの以外はだいたい好きなんで、
「ええ」
と、相手の出方はうかがいつつ答える。
*
「実は日本酒が手に入ったんですけど」
ふむふむ。
「ウチの編集部の人間はみんな焼酎党で」
ほう。
「日本酒は飲まないもんで」
へえ。
「よろしければ明日、入稿データをお持ちの際に
いただいてくださらないかと」
ほほう!
*
絶対に売れる雑誌をつくってやるぜ!
と、闘志がむくむく沸き起こる。
校了の1日前。