キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

君は君らしさを見つけて強くならなければ駄目だ

海峡の光海峡の光
著者:辻 仁成
販売元:新潮社
(1997-02)
販売元:Amazon.co.jp
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自分の意見に
「正義」だの「関係者の総意」だの
というヨロイをまとわせると、もっともらしくなる。

もっともらしくはなるんだが、
ヨロイをまとえばまとうほど、底の浅さが見えちゃうよねえ
というハナシ。
きのう、知人からある話を聞いてて、
「それって『海峡の光』の花井じゃね?」
とおもったので、表題に花井のセリフ。

おれは直接的にはまったくからんでないんだが、
進行形な事象で知人にメーワクをかけるとイカンので、
ふわっと。



いちおう『海峡の光』のエピソードの1つを、以下。
10何年も前に読んだ本なので、記憶がえらくあやふやなんだが。

読んでない人はググるか、せっかくだから読むといい。
文庫で200ページだし。



○「私」(主人公)と花井とは小学校の同級生。
○花井は優等生で人望も厚い。
○ある日、「私」は花井のある姿を目撃する。
○「私」が目撃した姿こそが花井の本性。

○翌日からクラスメートによる「私」へのいじめがスタート!
○「私」は徹底的にいじめ抜かれ、完全に孤立。
○まあいじめの黒幕は、明らかに花井なわけで。
○ウラで花井がクラスメートを操っていたわけで。
○でも花井が操っていることは、担任もクラスメートも気づかないわけで。

○ある日、そんな花井が転校することに。
○あいかわらず花井は優等生で、担任やクラスメートからの人望も厚い。
○花井が旅立つ日。クラス全員で見送りに。
○クラスのヒーローの旅立ちに、泣いちゃったりなんかする女生徒もいたりして。
○ふと花井が「私」の前へ。表題のセリフを吐く。
○それは聞きようによっては、いじめられていた「私」を思いやったコトバであるわけで。。。



真実はともかく、
「私」がいじめられたのは、
「私が私らしさを見つけられず」「弱かった」ゆえの、
クラスメートの「正義」であり「総意」な行動であると。

正義でも総意でもなんでもいいんだけど、
パフォーマンスがトゥーマッチすぎるんだよね、
花井、余分なことしちゃったねえ、逆に、という。



なんというか、正義ぽいことを笠に着て
ことあるごとにこれでもかと「おれって優秀でしょ」をアピールする、
そういう人、たまにいる。

こっちからすりゃ、
「あんたが優秀なのは、もうわかったからさあ」という。
ユーコアンドー現象。。。



こわいのは、花井のターゲットがたまたま「私」だっただけ、ということ。
目撃うんぬんとか、きっかけはたぶん、ほんとうはどうでもよくって。

おのれの優秀さを際立たせるために
劣ってる(とおぼしき)人物をイケニエにするのが、
花井の手法なわけだから、
けっきょく無限にイケニエがつくり出されることになるわけで。

カンペキに無視をするか、
カンペキに理論武装をして叩きのめすのがイチバンなわけで。