ある社長の言葉。
この人は先日、村上龍と小池栄子のやってる番組に出ていた。
弟も社長。
*
番組は
「兄=エリート、弟=ヤンチャからの叩き上げ」
という、わかりやすいコントラスト設定で話を進めていた。
おれがした取材とはまったくの別件だったし、
俗っぽい話でおもねるのは嫌なので、取材時
その番組の話題は決してすまいと思っていた。
ところが同行したA氏が、業を煮やして言っちまう。
「ガイアの夜明け、観ましたよ!」
「カンブリア宮殿」だっつーの。。。
表題は、そんな流れで出たひと言。
*
変に冷めても、斜に構えてもいない、ごく冷静な現状観察。
アーンド役割分担に対する理解度の高さ。
テレビ番組をめぐる役割分担には
「つくる人」、「見る人」、そして「出る人」がいる。
この人は「出る人」として
何を期待されているかをつかみ取り、
すべて飲み込んで、あえてそれを演じきってる。
んだ、とわかって
ハッと目が覚めた。
*
おれが「話に出すまい」と思ったのの
根っこにあるのは、
マスコミに出る人への過剰な色めがね。
それも無意識での。
「知る人ぞ知る時代の寵児っぽい人」は
おしなべてゴーマンだったり
鼻持ちならんに違いないと、
勝手に決めつけていた。
ほんと、勝手だ。
「これがこうだから、こうすればこうなるでしょ。
そんな感じでよろしくやっちゃって○○ちゃん」的な。
ほんと、勝手だ。
*
でも、この人は毎日こうやって
地に足をつけて過ごしている。
取材が終わったあと、
フツーの会社に行ったときと同じように、
エレベーターホールで扉が閉じるまでしっかり見送られた。
エレベーターがなかなか来ないビミョーな時間には、そのスキマを埋めるどーでもいい話で、間をつながれた。
そういうごくフツーの光景が、あの会社でふつうに見られるというのがけっこう衝撃的だったし、そりゃあそうだよねそういうもんだよね、とミョーに納得した。