表題がうっかり広大すぎるんだが、まあ聞いてくださいな。
いまやってるNHK朝ドラ「あんぱん」ってのは。
タイトルどおり、『アンパンマン』の作者やなせたかし夫妻の物語。
聞きかじったところによると。
それこそ表題「正義とは?」はやなせたかしの生涯のテーマで。
たとえば『アンパンマン』って、一見、勧善懲悪でありながら。
悪役であるはずのばいきんまんさえ絶対死なないじゃん?
それは「ばいきんまんにはばいきんまんなりの正義があるから」らしくって。
では『アンパンマン』を通じてやなせたかしが言いたかった究極の正義とは。
「お腹がすいてるひとに食べものを分けてあげること」と。
こんなキクチの説明じゃ舌足らずすぎかもしれないが、まさにそういうことだ。
は???
※以下、やたら長いので次に赤字が出てくるまでスワイプに次ぐスワイプも推奨
*
ことほどさように朝ドラ「あんぱん」でもおそらく「正義とは何ぞや?」が大きなテーマになっておる。
きのうなんかまさにど真ん中の豪速球で。
ネタバレ&またもやへたっぴいでわかりづれえ説明になっちゃうかもだけど。
ヒロインのぶ(今田美桜:のちのやなせたかしの妻)は小学校の先生。
師範学校時代に厳しい教育を受け、「お国のためになる子弟を育てる」「女性は元気な男の子をいっぱい産むべし」みたいな思想?を叩き込まれる。
そんで出征する兵隊さんのために慰問袋(持ち物を入れるずた袋のようなものに千人針?的なほどこしをしたやつ?)をつくることを思いつき。
その取り組みが学校中に広がり、新聞記事にもなったりして。
なんつうか、有頂天になるっていうか忠君愛国思想にどんどんハマってゆく。
で、卒業後、じぶんの母校に就職が決まり。
子どもたちにもそういう教育をする。
幼なじみのたかし(北村匠海:やなせたかし、な)はそれに疑義を唱え、ちょっと決定的な決裂をする。
あ、たかしは東京の美術学校に進んでおり。
銀座でのぶのために真っ赤なバッグを買い、プレゼントしようとするが。
「兵隊さんがお国のために戦ってるのに、なんだこのクソ贅沢は!」的なことを言っておもくそ拒否っちゃうのね。
時あたかも日中戦争がはじまり泥沼化するちょい前だから、昭和10年代初頭かな?
*
冗長だけど、もうちょい聞いてくれい!
*
のぶの実家は石材店なんだが。
ある日、そこに勤めてる豪(細田佳央太)に赤紙がくる。
豪は丁稚奉公?で朝田家(のぶの実家な)に昔からいる石工。
家族みたいなもん。
のぶの妹・蘭子(河合優実)と両想いで。
出征する直前にやっと2人の想いが通じ合い。
除隊になって帰ってきたら結婚することを約束し、豪は出征していった。
除隊まで指折り数える蘭子あんどのぶの家族。
しかしして豪戦死の報が入る。
のがおとといのラスト。
そんできのう、豪の葬式。
「豪はお国のために立派に散った」だの「本望だったろう」だの「英霊になったのだ」だの、みんながいわゆる当時の定型文じみたことを言ってるのを聞いたり。
のぶの教え子の小学生がやってきて「ぼくもお国のために立派な兵隊さんになってご奉公したい」的なことを言ってるのを聞いて、蘭子はいたたまれなくなってその場を立ち去る。
追いかけてきたのぶに、蘭子は吐露する。
「必ず生きて帰ってきて結婚するって言ったのにそれが叶わなかった。そのなにが立派なんだぜ?」
「あいつが本望なわけねえじゃねーか!」
「もうさ、戦争がらみのやつって」
「ぜーんぶ、うそっぱちじゃんか!!!」
。。。すんません、長くなりすぎた。
(し、やっぱ説明がへたっぴいだ)
*
朝ドラで戦時が描かれると。
ヒロインはだいたい、戦争に反対ながらも時流に翻弄されざれるをえないっていう感じになるなか。
(それは現代の目から俯瞰した「正義」らしきものなんだろうね)
のぶみたく戦時の教育や思想にハマっちゃった「お国のために散ることこそ男児の本懐」「銃後を守るのが女性の勤め」という考えのヒロインって珍しくって。
つまり、のぶの「正義」はいまそこにあって。
でいて、言っちゃえばそんなん机上の空論みたいなもんで。
豪というきわめて身近な人の戦死の報に触れ、おそらく初めて「(「兵隊さん」っていう塊じゃなく)肌触りのある人ひとりの命の重さ」に気づいてちょっと揺れ動いてる。
で、これはたぶんなんだけど。
これから戦局がどんどん悲惨なことになり。
おのれの教え子も兵隊に取られてじゃんじゃん亡くなったり。
教師だからそれこそ戦後、教科書の軍事思想的な部分を墨で塗りつぶさされるわけじゃないすか。児童生徒の目の前で。
それはつまり、それまでののぶにとっての「正義」の全否定であり。
じぶんが子どもたちに伝えてたことはぜーんぶ嘘っぱちだったという新しい「正義」に直面しなきゃなんなくなる。
って、のぶのメンタルを考えただけでもなかなか、なかなかだよな。
*
いらねえ情報をぶちこむと。
あ、これ前にも言ったかもだが。
小学生のとき、夏休みの宿題でじいちゃんに戦争のときの話を聞いてみましょうってのがあって。
ひととおり話してもらったあと「じいちゃんはほんとうに日本が勝つっておもってたの?」って、聞いたことがある。
だって、教科書で学んだ特に太平洋戦争の後半終盤は日本が負け一直線で。
玉砕(全滅)だの転回(撤退)だの、本土空襲だの特攻だの、あげくのはてに原爆投下だの、客観的に明らかにこりゃダメだろ! だし。
客観的に明らかにそうなら、当事者たち、あまつさえ南方の激戦地インドネシアまで行ったじいちゃんはもっと悲惨な「いくらなんでもこりゃダメだろ」を肌で感じてたはずで。
そのちょっと「裏話っていうか現場のホンネのホンネを訊きてえ」的な好奇心で振ってみたんだけど。
「最後の最後まで日本が勝つと信じてた」って言ったのね。
それがいちばんの衝撃で。
うちのじいちゃんは後世接したかぎり、わりと頭がやわらかいひとで。
高等小学校、いまでいう中卒なんだが。家が裕福でもないド田舎の、あまつさえ後に職人になるような「学なんていらねえんだ」とされてた層としては、むしろふつうにちゃんと教育を受けてたほうのひとで。
何を言いたいかというと。
あの状況でさえふつうに「でも日本は勝つ」って考えるよう洗脳?されてたってのが、おそらく当時の庶民のリアルのリアルだったのかなと。
いらねえ情報ココマデ。
*
あ、ドラマのへたっぴいなネタバレあらすじと安い感想に終始しちゃったが。
ここからが言いたかったことで。
しかも、ここまでクソ長くなったうえにアレなんだが2つあって。
*
1つは、これはキクチがバカなだけかもしんないが。
(上記、ばいきんまんは決して死なない設定にしたように)
「正義」って絶対的に正しいってことじゃないんだな! って世紀の大発見をしたこと。
「正義の味方」なあんてよく言うけど。
それはじぶんが正義とおもってることに対して従順という意味で。
立場によって、何を正義と据えるかによって変わる。
だからたとえばウルトラマンっていう。
「地球の平和を守ることを使命とする正義の味方」にとって。
地球外生命体(怪獣)の来襲は地球の平和を脅かす「悪」で。
ウルトラマンに出てくる怪獣、みんながみんな地球を侵略しにきてるわけじゃないのに、「悪」とみなしてやっつけちゃう。
要するに、「正義⇄悪」ってのは「善⇄悪」とはかぎらないし。
その「正義」ってのはあくまで「ウルトラマンにとっての正義」で。
よしんばそれは「地球にとっての正義」とイコールかどうかすらわかんない。
クドいかもだが、分解すると。
「(ウルトラマンにとっての)正義」の「味方」。
ってことなんだよな。
善悪、いいわるいじゃなく、「正義」ってのはそもそもそういうもんなんだよな。
解釈違いしておったでござる。
言ってること、クソ浅い????
*
さらにクソ浅いことほざくと、2つめ。
我田引水でしかないんだが。
「正義」ってえと広大に聞こえちゃうケド。
このクソ辺境でも折に触れて「てめえはそれでほんとうにいいのか?」を立ち止まってちゃんと考えてみる。みたいなことをほざいてきた。
それって「正義探し(あるいは遂行)」にほかならない。
対義語が「悪」じゃない正義。
てめえとその周辺半径2メートルがハッピーでいる(になる)ためのもの。
たとえば。
キクチがリコーブラックラムズ東京を応援するスタンスは。
(それについては前にちょっと触れたが、近々もう少し掘りたいっておもってはいる)
しょせんじぶんがハッピーでいるためのものでしかなくって。
この文脈に沿うと、てめえと違うスタンスの応援の仕方は、「正義」ではないがけして「悪」であるはずもない。
。。。って、なんか言葉遊びみたくなっちゃうな。
*
まあ、そんなんようなことで。(←やっぱしいきなり雑になる!)
「正義」を、信じる・突きつめるのとおんなじくらい。
たまには疑う・まっこうから反論してみようとする
のも欠かせないことなのかもねん。
アタマふにゃふにゃじいさんでありたい。
なんだそれ!!!