また、レベルの低い語学の話なんすけどね。
語学習得に素質・才能ってもんがあるとするならば、「耳の良さ」がいちばんだとおもうの。
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大学1年生でおなじクラスになった♂が。
最初っからずば抜けてフランス語の発音がよくて。
「おめえホントは既習者なんじゃねーの?」
「あるいはものすげー闇練してるとか?」
言われてて。
担任の教授やフランス人講師からも一目置かれてて。
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あ、学科は1、2年の下級生のころは4クラスに分かれてて。
いや、3クラスだったかな? まあいいや。
1クラスは既習者クラス。
帰国子女とか、高校でフランス語やってたとか、受験科目の外国語がフランス語とか。
ほかの3クラス(2クラス?)はゼロスタート。
ABCとか123から始める平民。
キクチはロンのモチ、後者。
ということは、同級生の彼も未習者なことは間違いなくって。
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昭和とか平成初期のド日本人の高校生なんて。
極論すると英語なんか喋れなくてもいいわけじゃん?
カタカナ英語を読めて書ければテストはできる。
そのころもヒアリングとかディクテーションとかあったけど。
簡単だし配点が高くなかったので、よしんばできなくてもほかでカバーできる的な。
それが大学生になったら、喋る&聴くのウェイトが爆上がりして。
キクチなんかは慣れと反復で何とかしようとしたものの、やはり壁があって。
でいて、その彼はしっかり対応しておって。
「この闇練ヤローが!」おもってたんだが。
よくよく接してるうち。
彼がずば抜けてフランス語の発音がいいのは。
闇練してるかどうかはよくわからないけど、そもそも彼の耳がずば抜けていいからじゃないかって気づいた。
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英語でもあるじゃないすか?
LとRとかBとVの発音の違いは、カタカナ英語ではなかなかわからない的な。
しかしして、フランス語が英語と違うのは、
1つのアルファベットは読み方が1つしかないってことで。
(英語だとケースバイケースで、Aをアって読んだりエイって読んだり、アとエの間みたいな読み方したりすんじゃん? でもフラ語はAはアとしか読まない)
なので大まかな音がわかれば、単語のスペルもだいたいわかりる。
とくにフランス語のRって、ラリルレロじゃなくって痰を吐くみたいな発声(!)をするから、日本人懸案のLとRの違いがわかんねえ! って事態は回避でける。
とか。
GとかJのジャジジュジェジョは。。。
ってどうでもいい隘路だな。措きまする。
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何を言いたいかというと。
あ、耳の良さってのはただ「よく聴こえる」ではなく。
(サンコンで言う「視力5.0」的な)
耳の運動神経がいいっつえばいいのかな?
そういう聴き分ける力っていうか、音楽で言うと絶対音感とか。
あんど、それを発音するときの再現力とのセットっていうか。
そういうこと。
語学習得力って文脈では。
こちとら、視覚(読む)と触覚(書く)の2つを駆使してんのに。
彼は聴覚(聞き分ける)も武器になってるってんだから。
単純に通常装備から1.5倍の火力差で、かなうわけねえっていう。
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ま、これは今のてめえに言ってるわけだが。
そんなん感じでてめえは耳がさほどよくない(悪くはないがせいぜいパンピーレベル)ってことはたっぷり理解しておき。
身につけたきゃ泥臭く反復してとにかく耳と舌に叩き込みなさいねって、逆に励みにもしてるわけで。
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。。。
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さて、こっからデュアルエンディング。
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その1。
先週、いっちさんとサシ飲みするという超絶ラッキーな機会に恵まれた。
うっひょー!!!!!
楽しくお酒を飲みながらいろんなお話しをさせてもらうなか。
なんつうか、いっちさんって。
そういう場にいっぱい人がいると、あえてやや一歩退いてらっさるスタンスで。
とはいえ、たまにとんでもねえ毒を投下なさったりもすんだけど。
ゆっくり静かに、少人数でお話しすると。
たとえばある対象があったとして、それに対して独自の視点で歯切れよく言い切りなさることがよくあって。
それがキクチ的にはすげえwktkというか、内容の納得度もあいまってよけいああやっぱ楽しいなあっておもったりするんだが。
これはこの話の流れとは関係ねえので、そのうちあらためてどっかで触れるとして(やんねえフラグぇ。。。)。
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いっちさんがスペイン語のお勉強をはじめたとおっさる。
あまつさえ、そのウタゲの前日からw
「キクチよか全然おもくそニワカじゃねーか!」は、どうでもいいとしても。
それってのは去年?おととし?スペインにいらして。
その巡礼コース?にまた行きたいとおもってるんだけど、もっとスペイン語ができたらより楽しめるんじゃねえの? っていうちゃんとした目的があってのことで。
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かたや、クソキクチがフランス語をやってみようとおもったのは、そういう具体的な用途があるわけじゃないし。
よしんば、一生フランスに行くことはねえであろうし行く気もビタ一文ねえインドア派だから。
「えっ? じゃあおれは何のためにフラ語やんの? 意味なくね?」
とつじょ原初的な自問自答が始まりそうになって。
「そういう、数学苦手なド文系がテスト前に『微積分なんかふだんの生活に何の役にも立たないよね!』って言い訳し出す」みたいなのってどうでもよくね? と振り払い。
「いいんだよ、楽しけりゃ!」
「よけいなこと考えずどんどんやろうぜっ!」
って、なおさらおもうことにした。
のであった。
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その2。
上記、耳がずば抜けていい大学の同級生の彼は。
独特な価値観を持ってて。
新卒で専攻とはあさっての方向なケミストリー方面のなんたら研究所から内定をもらってたものの、まさかの卒業判定でひっかかって留年し、オジャンになり。
1年後。何のスポーツ経験もねえ(日頃からカラダを鍛えてるわけでもねえし、ザ・文学部オトコって感じのひょろひょろ)くせに、2次元でミリタリー好きという理由だけで自衛隊に入ったという報告を受け。
つづかねえだろうなあっておもってたら、案の定、数年でやめ。
それからもいくつかの職を転々として。
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15年ぐらい前かな? 10年ぐらい前だったかな?
ひょんなことから再会して、じゃあ飲もうぜってことになって。
新宿の焼鳥屋さんで近況を報告しあったら、いまは音楽プロデューサーをやってるって話になり。
なんだか忙しそうで、飲んでる間にも仕事の電話がジャンジャンかかってくる鼻持ちならねえ感じなんだけど、本人はすげえ充実してる風で。
でも知るかぎり、とりわけ音楽好きでもなかったし、楽器をやってたって話も聞いたことなかったんだよな。(実際、ピアノとかギターをやったことはまったくないって言ってた)
ただ、「あ、耳の良さ!」
って一点で、ものすげえ肚に落ちた。
未習者にもかかわらず、教授やフランス人講師から一目置かれてたように。
適切な音を聴き分ける力、彼だからこそできるイカした音をその天賦の才でもってつむぎ出しておるんであろう。
なお彼は、いまもそのフィールドで活躍しておる。
天職、なんだろうね。