そんで、ok狛江店から帰路につくとちゅう、ハタと気づいた。
「ここまで、キクチ、パーフェクトじゃね?」
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気づいたのは、狛江通りっていう。
狛江の中心街を東西に貫く、狛江的にはそれなりに目抜き通りな、路線バスも走ってる道なんだけど。
「狛江的目抜き通り」だから、しょせん片側一車線の渋滞起こりまくり道なんだけど。
その狛江通りが(狛江目線的に)大幹線な、小田急線に何となく沿って走る世田谷通りと交わるでっけえ交差点。
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そこまでで、2kぐらいかな?
狛江比そこそこ大きな交差点から、「小学生が安全に登校できるために、むりやりしつらえました」的な小さい路地の信号まで、すべて赤信号で。
(前エントリーでほざいたokの500円玉モヤモヤも相まって、ちょっと焦れてたから)ショージキ、「何でこんなに赤信号ばっか引っかかるんだよ!」おもってたんだが。
「ここまですべての信号に赤で止まってる!」
気づいた時点で、キクチ内で超絶パラダイムシフト(?)が起きた。
「このままおうちに帰るまですべての信号に引っかかったら、おれちょっとすげくね?」
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都市伝説で、皇族が乗ってるクルマはすべて青信号になるってのがある。
権力ズブズブの権化みたいな話だし、そもそもホントかどうかは知らないケド、警備などのセキュリティ面でコスパとかいろいろ考えれば、一理あるような気がするやつ。
いま、キクチが直面してるのは、その正反対。
いわば逆皇族っていうか、雑に略すと「逆賊」みたいなもんだ。
むろん、そういう系の思想をビタ一文もちあわせていないキクチは。
思想をビタ一文もちあわせていないからこそ、ぐんぐん盛り上がる。
「われこそは、逆賊じゃ!」
うっほ、おれいま、すんげえ楽しい!
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さて。
そうすっと、いきなし、へんてこなプレッシャーがキクチの双肩にのしかかり始めて、おのれを信じることができなくなってくる。
ふだんは遭遇したくない赤信号。
今回にかぎっては赤信号であってくれとおもえばおもうほど、万が一を考えるようになる。
*
あまつさえ。
その、狛江通りと世田谷通りが交わる「狛江三叉路」は、最大の難関で。
あるじゃないすか?
ソーシャルパワーってえの?
何だかんだいってこの世の中、パワーに屈するみたいな自然になってる的な流れがあって。
たとえばクルマって、そういうのがいまだに色濃く出る世界で。
「ハスラーになんかぜってー譲らねえけど、ベントレーだったらむしろ『どうぞどうぞ』ぐらいなる」(あくまでたとえ、な)みたいなやつ。
道路もいっしょで。
極端に言えば、路地から環八に出る青信号なんて歩行者が渡りきれないうちに瞬時に点滅すっけど、環八側の青信号は半永久的につづく、とかあんじゃん?
狛江通りと世田谷通りなんて、その格の違いを誇示する絶好の場で。
狛江通り側は、どうしても立場(青信号の時間配分)が弱くなる。
ひいきめに狛江側に立つと割合は4:6ぐらいだけど、客観的に実際のところ、2:8なのをめいっぱいミエを張って3:7、って言い張る感じ。
あ、どんどん話がそれてったから戻す。
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でも、言っても、中ボスとラスボスの対戦だから、弱者?のほうの青信号もそれなりには長くて。
きょうのケースで言えば、連続赤信号が途切れる最大のピンチであるとも言える。
のを、余裕しゃくしゃくでクリア(赤信号ストップ)した。
うっし!
*
見た目上、最難関であるはずの狛江三叉路をクリアしたキクチであったが。
実は、ほんとうの最難関はこのあとで。
残り約1.5k。
世田谷通りを渡って東側には、ごく小さい信号が2つしかない。
住宅街のなかにある、
中学校の脇と、小学校の向こうのバス通りの2つ。
その2つの信号は、イメージ的にはだいたい青なんだけど。
ドラマの時間に何とか間に合いたいときとか、トイレをガマンしてきたような大事なときにかぎって赤になったりするイメージもある。
「高速道路で渋滞にハマると、てめえの車線だけ全然進んでねえように感じられる」的なやつなのかな?
のの逆バージョン。
おのれの進む道を、もっと言えばおのれ自身を信じられなくなった。
*
「宝くじ」ってさ。
そもそも誰も、ガチで当たるとはおもってなくて買うわけじゃん?
ガチで当たるとはおもってないんだけど。
ある意味その、「当たるわけねえじゃん」と「でも、万が一ワンチャン6億?」ってののはざまで、ドキドキする時間を買ってる。
基本的に、サマージャンボと年末ジャンボをバラと連番の10枚セットずつしか買わないキクチなんか、よけい当たるわけねえわけですよ。
*
でももし、「今回、ジャンボ宝くじで1等を獲ったら」
「キクチの一族郎党、皆殺しだからな!」
ぐらいの条件をつきつけられたら。
急に「どうにか、1等だけは外れてくれ」って心理になる。
6億が当たる気がして当たる気がしてしようがなくなり。
「頼む! 外れてくれ!」って神に祈りさえする。
まあ、超絶大げさに盛ってるケド。
おのれを信じることができなくなるのね。
言ってること、わかりる?
*
イメージ的にほぼ青信号な、残り2つ。
キミたちにキクチの人生を賭けた戦いがゆだねられているのだ。
てめえでてめえをどんどん追い込む。
そして、この2つの信号は。
200mぐらい手前から直線だから。
200m手前で信号が見えたしゅんかんに。
間合いとか経験値で、てめえが交差点に差し掛かってたときどうなってるかの予想はだいたいついちゃう。
ってのが、恐怖なんだけど。
そこで、スピードを変えたりだの小賢しい帳尻は合わせない。
ということを、てめえに掟として課した。
ここまで自然の流れに沿って、神の配剤で連ねてきた連続無失点記録(!)だから。
もし人為的を入れて達成しても、意味はないとおもった。
(「おめえキクチ、よけいなことすんじゃねえ!」)
(記録は記録として残すことも一面ではすげえ重要なんだよ!)
(おもいつつ)
*
しかしして。
中学校の脇。
何なくクリア!
そして、ラストの小学校の向こう側。
直線に出たとき青信号でヒヤヒヤしたが。
もし、それが青に変わった直後だったらそのまま渡れちまうが。
間もなく黄色に変わり、赤に変わった。
パンパカパーン!
*
あらためて、グーグルマップで信号を数えたら、
ok狛江店から超絶豪邸までの道のりには信号が10ケあった。
そしてこの日のキクチは、okからおうちに帰るまで、10回、チャリを停止した。
すんげえ地味だけど、ちょっとすげくね?
ねらってできることじゃないし、たぶん後にも先にも、もうできないことであろう。
*
ここから学んだのは、
一つ事を成し遂げるのになにより大切なのは、
地の縁に感謝し、時の運に乗っかり。
おのれがいままであゆんできた道を信じることである。
ナドト。
さももっともらしく格言のようにほざいてみたものの。
いま、お酒を飲みながらクソテキトーに思いついただけで。
こんなん、何の裏づけもありゃしないわけよ。
結果論に次ぐ結果論。
小さすぎてビビるし、これにこんな文字数費やしてるおのれにビビる。