そんなこんなでミュージカルは終わり。
場の雰囲気からどうやらカミさんとはお会いできなさそうなので。
キクチはそそくさと会場をあとにした。
それは、公演が休憩なしだったので。
トイレが近いキクチはとてもトイレに行きたかったし。
会場のトイレはたぶん行列だから。
歩いて5分ぐらいの大雄山駅のトイレに行ったほうが安心して入れるはずだ。
という野心もあって。
(安村の余韻ぇ)
*
そんで、大雄山駅が近づいてきたころ、
「キクチは帰りも開成駅まで歩くんですか?」
いっちさんがおっさる。
は????
*
いっちさんがどうお考えかは存じ上げんが。
キクチはきょう観劇のあと。
いっちさんと小田原で一杯飲ることを楽しみにしてて。
よしんば、そのためにココに来た!
と言っても過言ではない感じで臨んだので。
(カミさんゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ!)
勝手に、そう思い込んでたので。
「開成駅まで歩いて帰るんですか?」
いっちさんが何でそうおっさるのか、意味がいっしゅんまったくよくわかんなかった。
*
ただ、それはいっちさんに言ってない、
キクチのまったくの独りよがり・妄想であることに即座に気づいて。
「いや、大雄山駅から電車に乗ろうと。。。」
「大雄山線に乗ったことないですし。。。」
蚊の鳴くような声でほざいた。
まわりくどいな!!!!
*
ちょっとだけ間を置いて、いっちさん。
「じゃあ、小田原で一杯だけ飲みませんか?」
うっひょー!!!!!
じゃなくてな。
それは本来、キクチが奏上しなくちゃいけなかったことなんだよ。
いっちさんに言わせちゃダメなんだよ。
キクチ、キモいうえにダメすぎる。。。
*
ともあれ、そんなん感じで。
大雄山駅のトイレにピットインして安心したあと。
(安村の余韻ぇ)
大雄山線に乗って、小田原に向かう。
キクチはそもそも、ものごとの趣とか風情ってのを感じ取れない無粋にんげんなんだが。
車窓に広がる味のある景色。
いい感じでローカル感満載な車内のアナウンス。
そして、目の前にいっちさん。
平常心を保ちきれなくて。
口数が多いおのれに「キクチ、口数多くね?」
頭上左斜め上ぐらいのところからじぶんを眺めてる感じで、「いいから落ち着け!」おもいつつ。
生身のキクチは、うれしくて何かずっと喋ってんのな。
「あ、五百羅漢駅っすよ!」とか。
マジ、くそうぜえ!
*
そんなん感じで、大雄山線は小田原駅に着いた。
もう少しつづく。