横浜の全力中年さんの豪邸にうかがった話のつづき。
丘の上に全力豪邸が見つけるやいなや。
最後尾をあるいてたキクチが俄然活気づき。
先頭に躍り出て、全力家のチャイムをプッシュ。
ピンポンピンポンチンポーン♪
*
やっと着いたでござる。
*
ドアを開けてくだすった横浜の全力中年さん。
の後ろに、奥様と娘さん3人。
ザ・リア充なまばゆい光景にたじろぎ。
キクチはそっと最後尾に身をひそめた。。。
*
夜な夜な掃除をがんばったんだか知んねえケド。
それじゃ隠し切れない、おうちのキレイさとか庭の植木の手入れのゆきとどき具合を目の当たりにして。
ビビりすぎて、最後尾に身をひそめつづけた。
奥様と娘さんたちは気を遣ってくだすって、
あたしたちぼくたちの来訪とともにお出かけして。
夕方、しかるべき時間に帰ってくるので、
それまでがウタゲの時間ってことになってるらしくて。
*
けっきょく、さんざん盛り上がって。
奥様と娘さんたちが帰ってきてから
あわてて中途半端にお片付けをして辞去したわけだが。
痛烈におもったのは。
奥様が駅までクルマで送ってくだすって。
申し訳ないより
「コレ、全力にはもったいなくね?」
であった。
とかは措きまするね。
*
一行が全力豪邸に着いたときと帰るとき、
ほんの一瞬しか顔を合わせてないんだけど。
奥様は気立てのいい美人さんだし、
娘さん3人の仲がむちゃくちゃよくって。
「コレ、全力にはもったいなくね?」
ってこの日はずっと進次郎構文してた。
*
ウタゲが始まったころ。
「全力さんの奥さん、むちゃくちゃ美人さんじゃないすか!」コクったら。
「キクチさんの奥さんだって」とか全力さんが話を合わせてくだすって。
「おめえ全力、知らねえくせにテキトーなこと言ってんじゃねえぞ!」っつったら。
「いや、おととしのOTTにいらしてましたよね?」おっさって。
ああ、そうだったそうだったって。
キクチの記憶力のなさを嘆くとともに。
ナニこの、クソ不毛なほめ殺し合い???
(いやマジ、全力さんの奥様のほうはちゃんとむちゃくちゃ美人なんすよ)
*
かたや。
匿名と非日常とハンドルネームにまみれた?
マラソン×ブログつながりのひとのお宅にお邪魔すんのって。
なんつうの?
ふだん本名とはちがう世界での交わりだから。
そういうリアルな風景を見せつけられると
逆にリアルっぽさを感じられないというか。
何がリアルで何がリアルじゃないのか
こんがらがって戸惑う
みたいな新鮮な?心持ちになるってことってあるじゃないすか?
(会社の厳格な部長の家にお呼ばれしたら)
(家庭での部長の顔は全然ちがってたみたいな)
(あっ、これ)
(脳内妄想でわかりやすくたとえようとしただけな)
(よけいわかりづれえかな? そういうの)
*
「おれ、マラソンつながりのひとのお宅にお邪魔すんの初めてで浮足立ってます」こぼしたら。
「は? おめえ何度も『コッコさん家でごちそうになった』ほざいてるじゃねーかよ!」
いっせいにツッコまれて。
おのれの記憶力のなさに絶望しかできなかったなり。
*
キクチの記憶力が乏しいのは百歩ゆずってしようがないにしても。
これって、コッコさんに失礼だよな。
(やっと全力さん家に着いたよ!)