きょうはパラリンピックの開会式。
それがらみで、東京上空をブルーインパルスが飛ぶって話があった。
そりゃ、観たいじゃないすか。
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飛行機にとくだん興味があるわけじゃないけど。
コロナ禍で、地元でやってることを実感しにくい今回のオリンピック・パラリンピック。
たぶん絶対、もう生きてるうちに地元で五輪をやることはないわけで。
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オリンピックのときも。
通勤でまいにち国立競技場の脇を通ってたが。
たとえそのとき田中希実が走っていようと。
電車の車窓から見える国立競技場は、まだコロナの影も見えないころに「ここで来年、オリンピックやるのかあ」っておもってた国立競技場とおんなじ外観だけで。
ただの見慣れた風景。
けっきょく、東京五輪を実感でけたのって。
夜、おうちに帰るときこれも電車の車窓からやや遠くに。
いつも闇にまみれてるところが一点、異常に照明明るくて。
「あ、あれ馬事公苑かあ」
っておもったぐらいのもんだったんで。
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話がややそれたから戻すと。
きょう、ブルーインパルスが飛ぶってんで。
数少ない、生涯たぶん最後の地元でのオリ・パラを、ちょっとぐらい実感しときたかったのだ。
話は戻したが、話は最初からビタ一文進んでねえくせえぇ。
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。。。
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「ブルーインパルスは都内には14時ごろクル」
という情報がまわってきたので。
おしごとも甲子園も放り出して、しらっと独りで外に出た。
少しでも空の面積が大きく見えるところを探してあるきまわったが。
空の面積が大きく見えるところは見つけたが、ブルーインパルスの到来にはちと早かったようだ。
おしごともあったので職場に戻りかけたとき。
道端でボスと出くわした。
ボスもキクチとおんなじ心持ちだったらしい。
いてもたってもいられず、的な?
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そんで、スマホで情報を入れつつ空を見上げつつしてたら。
だんだん人が集まってきて。
荷台を押しながら宅配便のおにいさんがおれらに話しかけてくる。
「何かあったんですか?」
あ、ブルーインパルスが飛ぶらしいんすよ。
ははーん。けっこう薄い反応でおしごとに戻っていった。
ほどなく、女性がおれらに話しかけてくる。
「あのう、ブルーインパルス、ですよね!?」
「え。ええ!」などとほざきつつ。
3人でスマホをシュッシュしつつ空を見上げつつ、いろんな情報交換をする。
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去年の春。
都内をブルーインパルスが飛んだことがあったが。
www.kikuchiroshi.com今回はそれとはコースが違うらしいですよ、と。
ですよね、と。
西のほうから新宿を抜け、東京駅のほうを回って、国立競技場のある千駄ヶ谷?神宮外苑?のあたりまで南下してくらしい。
ということがわかったが。
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それ、ホントなの?
とにかく見逃したらやじゃん?
って野性のカン的なもののほうがまさって。
南から来ても北から来ても、西から来てもいいように、見える空はわりと全網羅する感じで、スタンバってた。
ブルーインパルスは爆音だからそれでわかるって話もあるが。
音が聴こえてからじゃ遅いし。
なんつうか、そこらじゅうの空にメディア各社?のヘリコプターがいっぱいブンブン飛んでて。
どの音が何の音だか、シロートにはなかなかわかりづらい感じだった。
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そろそろ来る時間だろうってんで。
空を見上げる人もますます多くなってきた。
(ただのオフィス街の片隅である)
その絶妙なタイミングで。
とつじょ一人の女性が駆け込んできて、誰にともなく言う。
本日の主役登場であるw
「ヘリがあすこに飛んでるから、あっちから来るのよ!」
西の空を指さす。
仲間がいるようすでもなかったが。
やけに声がデカいし、何にも増して自信満々なようす。
誰に言ってんだかわからない。
どでかい独り言なのかもしれないが。
その声が確信に満ちあふれてる。
「あっちの空を見てればいいのよ!あっち!」
「だって、あすこにヘリが飛んでるじゃない!」
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その情報の信憑性はどうあれ。
場にいたひとたちはみな、その女性が指さすほうに気を取られる。
キクチはあまのじゃく気味なところがあるから。
そういうのをまに受けちゃいけないなっていうのと
このオンナ、ちょっとうっせーぞっておもったのとでちょっと距離を置くことにして。
別の空も眺めてるようにした。
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ところが。
その場にいるほとんどみんなが。
その女性に引っぱられる感じの空気だったので。
キクチもちょっと気をとられた、刹那。
反対側(東側)の空を爆音が切り裂き。
あわてて振り返ったときには、カラフルな雲がたなびいてるだけ。
ブルーインパルスはすでに、赤プリのムダにデカいたてものの影に隠れてしまっていたでござった。
これをもって。
キクチが地元で開催されるオリ・パラを生で感じられるイベント、終了である。
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帰り道、ボスと。
「あのBBAにゃ、すっかりしてやられましたねw」
みたいなことを話してて。
結末はちょっとガッカリだったけど、ネタ的にはだいぶオイシかったからそれでよかったんじゃん?みたいな結論に至った。
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何を言いたいかというと。
デマってのはまさに、このように広がるんだってことで。
デマにかぎらずかもだけど、情報ってこういうふうに拡散されてくんだねってことで。
要するに、内容より声の大小でもって。
どうしても声の大きい方を信じちゃうし。
同調圧力?多勢に不勢?じゃないけど。
一人だけ真逆の方向を見続けるってのはなんとむつかしいことか。
ってことが、よおくわかった。
いや、ホントむつかしい。
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ひとつ学んだとすれば。
声のデカさにしろ引っ張られる力にしろ。
「圧」なわけで。
それをいかにはねのけられるか。
もっと言うと、いかにおのれの冷静さを保ちつづけられるか。
って話で。
キクチにそんなつおさしなやかさはないから。
いざとなったら、引っ張られちゃうから。
つおく、しなやかなひとは、
くれぐれも、肝に銘じておいてほしいw
他力本願寺!
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帰り道、ボスに。
「でもキクチくん。あんとき向こうに離れたよね?」言われて。
「あの女性の情報を鵜呑みにしたらやられるかもっておもったんすよ」ほざいて。
「たしかに! キクチくん、やるね!」
「最初にカラフルな雲みつけたの、キクチくんだったじゃん!?」なだめられたんだけど。
キクチ、何もやってねえわぇ。。。
キクチが見たかったのはカラフルな雲じゃなく、機体本体だったんだぜ?