マンガ『巨人の星』で
金田正一投手(カネヤン)の
占める位置は大きくって。
物語的には
主人公の星飛雄馬が、かの
大リーグボールを編み出す
そのきっかけを与えたのは、カネヤンで。
*
キクチはカネヤンの現役時代も
『巨人の星』もリアルタイムではないが
そんなナウなヤングなんだが。
週刊連載の少年マガジン。
その1話まるまる、カネヤンの引退
について語っちゃうところに
当時の球界において、
あるいは『巨人の星』において、
カネヤンがどんだけグレートだったか
が、このうえなく雄弁に語られとる。
*
あ、ひとつ気づいたんだけど。
正しい?表記は「カネやん」らしいね。
でも、前エントリーもオールカタカナだったので
「カネヤン」でつづける。
なんか、むかしの世界的な指揮者っぽいじゃん?
なんか、ウルトラQに出てきそうじゃん?
なんか、毛生え薬っぽくもあるじゃん?
どうっでも、いいな。
*
さらにひとつ、脇道にそれる。
上記、このシーン。
(「球質が致命的に軽い」
という事実に直面して行きづまった飛雄馬が
カネヤンにカーブを教えてもらいにいく)
(のに対する、カネヤンの返答)
(これをきっかけに、
巨人の星の代名詞「大リーグボール」
が生まれることになる)
*
バブルのころ「テレビ探偵団」って
番組があったじゃないすか。
ゲストとともに
むかしのテレビ番組をふり返るやつ。
三宅裕司とか山瀬まみとか泉麻人が出てたよね。
あるとき、ゲストがカネヤンで。
アニメのこのシーンはロンのモチ、
まったくのフィクションなんだけど。
「もしモノホンのカネヤンだったら
飛雄馬に何て言う?」
ってことになって。
アニメの動画(音なし)に合わせて
カネヤンが何か言ってくださいよ
って、なった。
*
記憶があいまいだから
まったく正確かわかんないが。
カネヤンは、アニメのこのセリフの
喋ってる尺をはるかに超えて
あたかもガチで飛雄馬が後輩の投手
で、あるかのように。
専門的なアドバイスをしてるのね。
滔々と。
その本職の熱さと
エンターテインメントでそれ出ちゃう?
ってギャップで、番組は盛り上がった。
ツッコミどころ満載、って感じで。
*
んだけど、それって
カネヤンの野球やピッチャーや投球や野球界
への真摯さや情熱がすげえ伝わってきて
裏っ返すと幼な心に
「カネヤン、(よくわかんねえけど)
この梅酒のオジサン、すげえ」
おもったおもいましたとさ。
は、措いても。
*
あ、今回のカネヤンの訃報に触れて。
ネットニュースにもよく出てきたエピソード。
フィクションのなかのノンフィクション。
(ヒジがまっすぐ伸びない)
そんだけ、ピッチャーとして燃焼し尽くした。
梶原一騎的にいえば
「真っ白な灰になった」(あしたのジョー)
ってことで。
ちなみに、この直後のコマで飛雄馬は
「これぞ黄金の左腕だ!」叫ぶ。
このへんの梶原一騎のバランスとか、もうね。
*
。。。
*
さて。
こっから独りよがりな本題に入る。
カネヤンが残した記録は
まさに「不世出の大投手」というに
あたいするもの。
○400勝
○945試合登板
○4490奪三振(5526回2/3投球)
○現役生活20年間
いずれも、超絶すごい。
勝ち星と奪三振は日本記録。
登板試合数は歴代2位。
*
たとえば単純に「400勝」って
20年連続で20勝してやっと届く記録。
(なお、今年の最多勝はセパとも15勝)
(なお、カネヤンは14年連続20勝以上
っていう記録のホルダーでもある)
(いや、だから現代がどうのって
言いたいわけじゃなく。な)
*
むかしはいまとシステムが違って。
エース級のピッチャーは
まさに大黒柱として酷使されまくって。
中3日で先発完投があたりまえ、なうえ
先発しない試合でもリードしてたら
後ろの3〜4イニングをリリーフしたり。
ダブルヘッダーに2試合とも先発完投したり。
まあ、ひどい時代で。
*
「権藤、権藤、雨、権藤」
って言われたぐらい酷使された
中日の権藤投手は。
ガチで酷使されすぎて2年か3年でつぶれた。
1年目35勝、2年目30勝、3勝目10勝。
ベイスターズが優勝した時の監督、ね。
だからこそ(?)
自身がコーチ・監督になったとき
中継ぎやリリーフへの継投を重視する
采配をした。
ジャイアンツの監督をしてた藤田投手も
おんなじような酷使のされかたで。
1年目17勝、2年目29勝、3勝目27勝。
*
なにを言いたいかというと。
そういう時代にカネヤンは
現役で20年、主戦としてマウンドに立ち続け
勝ち続けたのね。
その、頑丈さ。
*
で、もっと何が言いたいかというと。
たしかに生来の頑丈なカラダ
ってのはあったのかもしんないけど。
そういう、酷使・根性・使い捨て
みたいな時代に
時代を先取ったケアをしてた。
ってのが、ほんとうのカネヤンのすごみで。
*
たとえば、よけいな神経を使いたくないから
じぶんでクルマを運転しない。
プライベートで運転手を雇って
後部座席でカラダを休める。
あまつさえ、でっかい外車に乗る。
いつでも横たわれるように。
*
たとえば、朝からステーキとかすき焼きを
食いまくる。
良質なタンパク質を摂って
いい筋肉をつくる。
*
たとえば、キャンプや遠征のときは。
自室に炊飯器を持ち込み。
ミネラルウォーターで飯を炊き、
それを食ってた。
「ミネラルウォーター」って。
キクチが中学か高校のとき
(カネヤンが引退して30年後ぐらい)
やっと市販されるようになって。
中高生にして水道水世代なキクチは
「コンビニで金を出して水を買うwww」
とか言ってたのに、である。
*
とか、猛練習と試合での酷使のB面で
徹底的なケアと栄養補給をしてた。
これって、すげくね?
部活で猛暑でも水飲んじゃダメ
が、あたりまえな昭和30〜40年代の
根性一辺倒な時代で、だぜ?
*
とか、つたない記憶を頼りに
さも知ったようなクチで
ドヤ顔でカマしてきたけど。
ふとウィキペディアで「金田正一」をみたら
もっとすげえエピソードが死ぬほどあって
これがもう、すごい。
ドヤ顔、はずいw
*
どうせ長くなっちゃったから
話がそれちゃうけど。
ウィキペディアに負けてるけど。
キクチが大すきな高校野球の
なかでも大すきな池田高校、蔦監督。
やっぱ、根性一辺倒な
1970〜80年代において。
池田高校では、
「筋肉が硬くなるからダメ」
が世間の常識だった筋トレを取り入れ
圧倒的なパワーをつけ。
「疲れるから水を飲んじゃいけない」
が常識だった時代に。
地元・徳島の大塚製薬が開発した
ポカリスエットという新商品を飲み放題。
後援会長がお肉屋さんってんで
夕飯はステーキ食い放題。
で、もって、良質なタンパク質を補給。
と、時代を先取りしまくった。
*
池田高校が高校野球で一時代を築いたのは
そういう先進的な取り組みの積み重ねで。
カネヤンは、池田高校の
さらに20〜30年前に
やはり時代を先取りしてたってわけで。
そのプロ根性っていうか
意識のとてつもない高さこそがすごくって。
「400勝」「20年の現役生活」
ってわかりやすい記録よりむしろ、
その取り組みのいろんな意味でのすごさ
がホント、すげえとおもうわけで。
(すげえすげえとか、語彙が貧弱すぎぇ)
*
なんで池田高校の例を出したかっていうと
カネヤンも池田高校も
当時の常識を打ち破ったわけで。
じぶんが正しいとおもうことを
パねえ柔軟性でもって、取り入れたわけで。
その、おのれとの対話の仕方って
(そこまで徹底はできないかもだけど)
エッセンスのひとつだけでも
取り入れられるもんなら取り入れたい
じゃないすか。
これは市民ランナーにおけるマラソン
と通じるとこが多いような気がする。
。。。
と、むりくり
ランニングをがんばってる的なほうに
ランニングをがんばってないひとが
つなげてみようとしてみたw
*
。。。
*
カネヤンは目に見える記録がすごすぎる
ってのは、あんだけど。
それを下支えしてた上記みたいなことって
むかし書いた杉山愛のすごさ
とおんなじたぐいのもので。
なんつうか、とりとめがなくなってきたが
カネヤンって「太く、長い」んだよね。
*
いや、杉山愛だって「太く、長い」んだが
やっぱちょっと、過小評価されてて。
グランドスラム連続出場記録もつくったし
シングルスもダブルスもトップ10入りした。
これってホント、超絶すごいの。
少なくとも日本人では唯一無二。
これもきのうだったかな。
大坂なおみのニュースに杉山愛が出てて
「私と大坂さんとはまたレベルが違う」
って言ってて。
確かに大坂なおみはナンバーワンになったし
グランドスラムも2つ制したケド。
それは超絶すごいんだケド。
杉山愛って、
それにおもねるレベルの実績じゃない。
まあ、これは完全にいいや。
*
『巨人の星』のカネヤン。
引退会見のあと、
カネヤンが引退するとは知らない
寄ってきたこどもたちにサインをしてやり。
かぶってた帽子をこどもにかぶせ
こうして粋に去ってゆく。
カネヤン、さよならや ひとまず・・・
*
。。。
*
金田投手、ようやった!
ありがとう!
「さよならは別れの言葉じゃなくて
ふたたびあうまでの遠い約束」や!
ありがとうございます。
あなたがプロ野球を盛り上げてくれたせいで
おれは子どものころからずっと
野球というスポーツが大すきだ。
という結果論的に、ぽえむ。