『ゼッケン67』っていうのを知った。
1964年東京五輪、男子10000m。
1971年度と74~76年度の
小学校4年生の国語の教科書に
載ってたとかいう、物語。
なので、おれよか10コぐらい上のひととか
リアルタイムで前の東京五輪をみてたひとは
覚えているのかもしれない。
*
こんなんような話。
ネットを検索して、かいつまんだだけなので。
あまつさえ、フインキをかいつまんだのを
感じだけで乗せてみるだけなので
細部は、知らん。
*
1964年の東京オリンピック。
男子10000m決勝。
いまのスリランカ、当時のセイロンから
たった1人の陸上選手として参加してた青年。
ラナトゥンゲ・カルナナンダ。28歳。
レース後、カルナナンダが英雄になったのは
なにも彼が金メダルを獲ったからでも
世界新記録を打ち立てたからでも、ない。
どころか、5000m地点で
先頭から2分半のビハインド。
先頭がゴールした時、
なんと3周遅れだった。
*
カルナナンダは
カルナナンダ以外の全選手がゴールしたあとも
レースをやめなかった。
走り続けた。
「周回遅れかよ」
「まだ走ってるよ」
嘲笑しながら冷ややかにそれを眺めていた
国立霞ヶ丘競技場の観客たち。
でもなおも、
ひたむきに前を向いて走る
カルナナンダ。
観客の嘲笑はやがて拍手に
そしてゴールするころには
満場の大声援に変わっていった。
*
。。。
ってまあ、ふつうにいい話っすよね。
最後の部分だけ、孫引きだけど引用すっと。
ゴール後、カルナナンダは言う。
国には、小さなむすめがひとりいる。そのむすめが大きくなったら、おとうさんは、東京オリンピック大会で、負けても最後までがんばって走ったと、教えてやるんだ
ってまあ、ふつうにいい話っすよね。
いい話だなあって、おもった。
話がいい話だなあから
一歩も進んでねえじゃねーかw
*
。。。
*
いや、なんというか、ですね。
たしかに、いい話ではある。
不思議な温かい気持ちにもなった。
でも、でも。
あえてこういう言い方をすれば
「どこがそんなにいいんだ?」
*
たしかにかに。
国語の教科書に載るだけあって。
「最後まで諦めないすばらしさ」
みたいな教訓は含まれてるのかもしれないが。
ソレ、小4への説教としては使えても。
43歳には、通じねえよ。
逆に変に人生ズレしちゃって
「早めに諦めちゃうことの適切さ」
ってのも、ある程度味わってきてるしさ。
こちとらは。
*
っていうか。
なんなら金メダルを獲ったひとって
少なくともカルナナンダとおんなじ以上は
最後まで諦めずにがんばってたはずだし。
がんばりと速さは
かならずしも比例しないかもしんないケド。
ほかの28選手は、
もっと歯くいしばってがんばったからこそ
カルナナンダより速くゴールしたんだろうし。
*
最後の部分にしたって。
まあ、いい話っすよ。
ふつうにいい話っすよ。
じぶんにも娘がいるから
気持ちは、よおおおく、わかりる。
でもまあ、よくあるいい話のたぐいで。
*
それは、後日談の。
「東京オリンピックから10年後。
ボート事故でカルナナンダは亡くなってる」
って情報が入ったにしても。
そこにある種の
あるていどのセンチメンタリズム
みたいなものは掻き立てられるが。
その程度のもので。
*
けどけどやっぱり、
いい話だとはおもってるわけで。
こう、ブログに書きたいなとおもうぐらいには
じゅうぶん、心を揺り動かされたわけで。
*
おれが「じゅうぶん心を揺り動かされた」のは。
「どこかの部分が刺さった」のか
「全体的によかった」のか
「余韻がなんともいえなかった」のか
はたまた、もしかすると、
「いい話っぽいから合わせたほうがいい」
って、擬似的におもいこんでるのか。
もしくは。
オリンピックムードってそういうもんなのか。
じぶんの「走る」について、刺激したのか。
どういうことなんだろう?
*
だからといって、上記してきた
「どこがそんなにいいんだ?」とて。
アマノジャクをカマしたわけでも
「そういうふうに言うおれってかっけえ」
をアッピールしたいわけでもけしてなく。
たんじゅんに、どこなんだろう?
カルナナンダが
ぼくらに遺してくれたものはなんだろう?
おもったおもいましたとさ。
ってだけのことで。
*
ここまでほざいてきたのなんか
しょせん、個人の感想なわけだし
「おめえがどうおもってるかなんか
どうでもいいし、知らねえよ」
って、ド正論なんだケド。
そのてめえの機微は
いったいどこから来たんだろうって
ちょっとは気になるし。
*
たとえば。
この話をいいなっておもったひとって
じゃあどこでいいとおもったのか
訊いてみたい気も、する。
酒場でのひとネタにはなると、おもう。
おれのかいつまんだ語り口が
ヘッタクソすぎて、ってのは措いても。
*
そろそろ、静岡マラソンの始末。
走るか走らないか。
本気で決断を下さなきゃいけない
タイムリミットが迫り来てるきょうび。
あ、これこそどうでもいいな。
ヒトサマにとって。