キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

ワンプッシュ、しに来てよ、大沢くん、女子の部屋に(金鳥少年シリーズその4)

金鳥のラジオCM「少年シリーズ」のラスト。

⇒その1私が蚊に刺されてないか明日も見てて。大沢くん
⇒その2今度の日曜、ウチの親、組合の旅行でいないねん
⇒その3ひざまずいたほうが、かけやすいよ

ココで音声が聴ける。



起こし(↓)。
その4 蚊がいなくなるスプレー

高「大沢くん」
大「あ、高山さん」
高「今度の林間合宿、何班?」
大「おれ、5班」
高「わたし、6班!」
大「そうなんや」

高「2班の男子が、夜中に女子の部屋来る。とか言うてるらしくてさ、むっちゃいややわ」
大「ふーん……」

高「どうしよっかなあ。2班の後藤くんが部屋に来たら」
大「後藤な。かっこいいよな」
高「大沢くん」
大「ん?」
高「大沢くんが教えてくれた、蚊がいなくなるスプレー、わたしいま、毎晩つかってるんよ」
大「うん……」

高「ワンプッシュ、しに来てよ、大沢くん。女子の部屋に」
大「えええっ!?」
高「あかん?」
大「そんなん、行かれへんよ」
高「大沢くんに、ワンプッシュしてほしいねん」
大「そんなん、もし先生にみつかったら」

高「いいの? 後藤くんに頼んでも?」
大「えっ!!!」

――金鳥の蚊がいなくなるスプレーだよ、青少年!
使用上の注意をよく読んで、正しくお使いください。


このシリーズ。ラジオで最初に
「その1」を聴いたとき、おもった。
「これは、淡いまま終わらなくちゃいけないよね」

「その4」を聴いてある意味、安心した。
「これはちゃんと、淡いまま終わるな」



林間合宿。
大沢くんはけっきょく、女子の部屋に
ワンプッシュ、しに行かなかった。
なんとなく、しに行けなかった。

そのまま林間合宿が終わり
長い長い夏休みが、終わる。


2学期の始業式。
ひさびさの教室。
「おはよう、大沢くん」
「おはよう、高山さん」

いままでとおんなじようなふう。
ああ、よかった。
大沢くんの胸はふたたび、高鳴る。



ふたたび、というか、
夏休みの間じゅう、いろんなものを抱えて
モンモンモンモンしてた。

メールをよこす勇気も、出なかった。
下書きボックスには
未送信が30件、たまっていた。

でも、ああ、よかった。



高山さんとなかよしグループの女子。
キャピキャピした会話が聞こえてくる。
キャピキャピだけどじゃっかん、ひそひそ。

「○○(高山さんの名前)ー、きいたわよー」
「何を?」
「何をじゃないわよー、後藤くんと2人で海に行ったって!」

「ふふふ」


「えっ……!?」



明日があるさ、青少年!
キャピキャピって昭和かよ、キ・ク・チ!