今年のはじめだったか。
「2月の20日なんだケド、ダイジョブ?」
ふいに、にょうぼうが訊いてきた。
「まさかの下ネタ的なことか?」
と、いっしゅんアタマをよぎり
全力で逃走をキメようかとおもったが
どうやら、そうではないらしい。
*
話を聞くだに。
ユネスコのプロジェクトかなんかで
韓国の教職員のひとが日本に来るらしくて。
そのひとつに、一般家庭を訪問するってのがあるらしくて。
超絶ビッグシティー・狛江がイッチョカミしてるらしくて。
それに応募してみようか、とのこと。
そんなこんなできのう、
韓国のかたが2名
超絶ビッグシティーにある
ドーム0.00001個分の広さを誇る
3京円のジャクリーヌ御殿にいらした。
キクチ家の一大事。
*
にょうぼうはこの2年ぐらい
韓国語の習得に熱心だ。
韓流ドラマがすきなわけでも
韓流アイドルにハマってるわけでもない。
ムロンオムロン
仕事でひつように迫られてるわけでも
なんらかの意識が高いわけでもない。
おれの仕事つながりで
たまたま韓国のひとがいて
1年半ぐらい前から個人レッスンを受けてる。
たまたま先週、そのひとと飲んだら
おれの動静やうちんちのことを
おれよりずっとよく知ってた。
ぐらい、熱心に学んでる。
目的があるわけじゃないのに
楽しそうにつづけてる。
そういうのって、ダイジなことだとおもう。
*
今回の一大事は。
にょうぼうにしてみれば。
ベンキョーの成果を発揮する絶好の機会。
提出書類には
家族の名前と年齢、語学力を記入する。
おれはテキトーに「日常会話ていどの英語」
って書いといた。
まったくの、ハッタリ。
韓国語なんて、知ってるのは
○アンニョンハセヨ(こんにちは)
○サランヘヨ(あいらぶゆー)
○ヨクチョンギレルハサミダ(このハサミの切れ味はゴイスー)
ぐらい。
あと、にょうぼうになんかあったら
「カムサハムニダ」
っていっときゃ何とかなる。
とも、訊いてた。
*
おれは語学にはビタ一文、キョーミねえ。
語学力があろうとなかろうと、
人見知りはまず、コミュニケーションがとれない。
穴を掘ってそこに叫んでるだけだし。
なので、世界がどうグローバル化しようと
とことんドメスティックに、生きる。
「ぜってー世界に羽ばたかねえ、おれ」
って、ずいぶん前にキメた。
*
。。。
*
きのう、当日。
16時に市役所にご対面にいく。
タスクは20時までの4時間。
どういうひとがわが家に来るか。
事前には名前と性別しか、わからない。
語学力も、わからない。
ただでさえ人見知りなのに。
準備のしようがない。
受付にいったら
成田空港でウエルカム的な
KIKUCHIって書いてあるA4の紙を持たせられる。
ご対面会場の会議室で頭上に掲げる。
*
現れたのは
おれらよりちょっと齢上っぽい男性と女性。
まったくの妄想で。
わりと若めの教員の「研修」かとおもってたが
それなりの役職のひとの「視察」って感じだった。
無意味に、緊張感が高まる。
*
対面してから家に着くまで。
おれはドライバーとして、寡黙をキメこんだ。
後部座席では
にょうぼうがありったけの韓国語を駆使して
会話してるが、さっぱりわからねえ。
外国語ったっって。
たとえば英語なら、たまに単語が聞き取れて
それを糸口にニュアンスをつかむ
ということがでける。
でも、言語体系とか文字が違うと糸口がまったくねえ。
10年ぐらい前、
単身でインドネシアに乗り込んだときとおんなじ感じだ。
アレト、オンナジカンジダ。
*
わが家に到着する。
おれは対面したときに
お辞儀をしてニコニコした以外
まだ、ノーコミュニケーション。
こういうのって、出だしが肝心で
時間が経てば経つほど
切り出しにくい空気が醸成されるもんなのに
まだ、ノーコミュニケーション。
会話を切り出しにくい空気がますます醸成されてく。
家にあがってもらい、リビングのテーブルに招く。
茶を淹れる。
「茶より酒のほうがいいすかね?」
なんて独りごちながら、酒も出す。
ひととおりの用意をして、席に着く。
やべえやべえ。
でもせっかくだから、会話してえ。
あわてて、スマホの翻訳アプリをダウンロードする。
つづく。。。
1回読みきりでもいいんだが、つづく。
ただでさえつまんないクソ辺境、
あんまり長いと
ようしゃなくすっとばされるらしいじゃん。
だからだ。
ロンのモチ、ジョークだ。
でもつづくのは、ホント。
ツヅクノハホントダ。
*
まったくの蛇足。
きょうはレースや練習会、練習など
とある村で、たくさんの速報があがった。
でも、おれはそこから目をそむけよう
そむけよう、とした。
どうも足の状態がよくなくって、
ヒトサマががんばってるさまを目のあたりにすっと
じぶんだけがとてつもなく置いてかれてる
気分になる。ゆえ。
*
とはいえ、気になって。
ちらっと拝見しにいく。
すばらしい結果の数々。
じぶんがふつうであれば、
こんぐらっちゅれーしょんなコメント
さしてもらいてえ。
のに、ほぼスルーした。
こういうのってホント、やだやだ。
にんげんが、小せえ小せえ。