キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

誰も気付かないように気を遣うぼっちもいれば、トリカラ定食をたのんでも誰にも気付かれないぼっちもいる

ぼっち練のラスト。
格差社会ってあるんだねってハナシ。
そんなのぶち上げて、社会派気どりたいんだねってハナシ。

ただの出オチで、格差社会を語る気はビタ一文ないんだね
でおなじみの、ハナシ。


走り終わり、キヨマロに集結するていで
なんとなくいるボッチども。

コイツらみんなたぶん、ドトール行きたいんだぜ。
帰りたがるひといねえし、とか、おもう。



とりあえず、ランクラへ向かう。

アズ・スーン・アズ
ランクラに到着するやいなや。

さいきん「大将」って呼ばれてるケド
おめえは欽ちゃんじゃねえ、デンママンだ!
でおなじみのカレが、言う。

「きょうはシャワー浴びてから飯食いましょー」



すべてじぶんが主役であると疑わない
でおなじみのおれは、穴があったら入りたい気分になった。

穴とユキちゃんがあったら、
女王に、おれは、なる
って気分になった。



ここ何回かの皇居ボッチ練後。
シャワーなど浴びることもなく、ドトールに向かった。

みんな、そんなにフカキョンとミルクレープが食いたいんだ
っておもってた。

真実は、そんなメルヘンではなかった。

ランクラのスポット利用。
500円という大金が払えないくせに
お墓なんかではついつい
「ここからここまで」
って1区画オトナ買いしちゃう
年収3京円の超絶ビンボーなおれ。

に対して、気を遣ってくれてたんだ。
と気づいた。



シャワー阻害要因でおなじみのおれは
この日すっかり
「シャワー、きもてぃー!」を堪能した。



シャワーを浴びて、受付横のベンチに座ってると。
テレビでは大学駅伝をやってた。

「大学駅伝って院生も出場OKなんすね」
と、誰かが独りごちた。

その誰かは筋繊維が太すぎるので
院生のインセイって、
てっきりドーピング検査でどうかなったとか、ならなかったとか
ってのを指してるんだとおもった。

陰性、セーフ。
おれ、アウトー。



めいめいシャワーを浴び終え、何か食いに行くことになった。
おれのアタマはニクになってた。

というのも。先月のボッチ練。
ドトールがやってなくて、代わりに入ったベローチェ。

「ハムサンドなんか足りなすぎるぜ!」
「おれを兵糧攻めする気か!」
「おれは鳥取城か!」
「もしくは三木城か!」
ごおおおおっ! って感じで、
一食で米を2合食うでおなじみの、ムキムキ食いしん坊が言った。

「今度は焼肉、行きません?」

だがそれは、その場にいた3人。
もとい、独りと独りと独り、しか知らない。



ドトールなんか眼中ねえよ。
アウト・オブ・眼中だぜ
オレ・オブ・真冬のダウン着てるぜ、きょうは20℃以上あんのに。
って感じで、神田の商店街を進みつつ、食いものやを探す。

デンママン。
シルベスタローン風に言えば
でおなじみのデンマン、が、ぽつり、こぼす。

「おれ、きょう、ニク、食いたいっす」



何だコイツは。
先月食いしん坊が何か言ったからとかそういうこと、
一切言わねえでやんの。

じぶんが食いたいってこと表明して
何事もなかったように、収めようとしてやがんの。

何だコイツは。
もう一度言う。

コイツ。
おれらがコイツすげえと思ってるのの
数段、すげえところにいるぞ。おい。

柏葉英二郎が上杉達也に
須見工の新田のすごさについて諭したように
おれわば英二郎がおれ杉断つやに、諭す。



土曜の昼。
ビジネス街、神田の西口商店街。

いくら居酒屋だらけとはいえ
休日昼の商店街は、彦根駅の北口ぐらい、シャッター街だ。

焼肉屋なんてとんでもないハナシで
ふつうの飯屋もそうそう開いてねえ。
ほぼ一択な感じで、かろうじて開いてる日高屋に入る。



おれは日高屋に行くとき、かならず、ビールとギョウザを食う。
でも、一昔前に流行りかけた「立ち位置」ってもんが、ある。

そんなものを勝手にわきまえた気になって
ほんとうは食いたいんだかすらわからない、トリカラ定食を頼むことにした。

表明せず、決断した。
おれもかっけくなりたくて。



そこにいたのは7人だっけな、8人だっけな。
順番にオーダーしてく。

「あら、あら、あら」
スプーンおばさんなていで、おれはどんどん小さくなってく。
みんな、飯しか頼まない。

ここは、寺か。

ビールを頼んじゃいけなけりゃ
ピクッとでも動いたら、でっかいガリガリ君の棒みたいのでビシーッて肩叩かれたりもするのか。



デンマンが
「・・・とビール」とオーダー。
きょうの「・」の数は3つらしい。

「ああ、ここは飲んじゃいけない場なのかとおもいましたよお」

マラソン大会のスタート前にこういうヤツいるよね
ってぐらいのお追従笑いをかます。

安心してビール、とトリカラ定食をオーダー。
オーダーもビリッケツだ。



ビールが運ばれてくる。
水と水と水とビールと水と水と、乾杯する。

もう、申しわけない気持ちで
あっぱい、いっぱい、うっぱい、えっぱい、だ。
その先は、けしていっちゃならねえ。
長老がおれを引きとめる。



恥ずかしいときー。
恥ずかしいときー。

ネタをかましたのにみんなスルーで
いてもたってもいられなくて、ネタを講義しちゃうときー。

「いまのはですねっ
【レモン】ってのと、【いレモン】ってのが
オモローポイントでしてね」
みたいな。



ぜんっぜん関係ないケド。
むかーし。クライアントに「世界」が口ぐせのひとがいた。

なんか、どんな無謀なことでも
「世界」をかますとぜんぶ許されるとおもってるし
じっさい、許しちゃったりする。

「すんませんキクチさん、
コレ、1週間でなんとかって世界で
アポも取材もこれからって世界で
ホントはじぶんがそれする世界なんすけど
できればそれもお願いしたいって世界で
3000字って世界で
チャチャチャーっとまとめてほしいなって世界なんすけどね」

もう。どんだけパラレルワールド存在セリなんだよ、っていう。



「あれですよね。やっぱりこういうバヤイ、トリカラは義務ですっていうか」
誰も触れてくれないので
おれ、トリカラ定食、頼んだんだよーアピール。

「あ、なるほどー」
って、関心ありませんありありな、棒読み反応。

スルー、講義、薄いレスポンス
3拍子そろった現役時代の秋山監督。
ホームラン打って、バク宙なんかキメたりして。

おれは、女王に、なる。
ふたたび。



酒の一杯も飲まねえくせに、ぼっちどものトークは弾む。

「親指の爪がムラサキに内出血しちゃうんす」
ってハナシになった。

「シューズって大きさも大切ですけど
幅がフィットしてるほうがもっと大事なんですよね」
たのとくるが融合した勇者の言うことは、きょうも正しすぎる。



勇者はこのあと、呪宴もといジュエン
って激安ショップに行くって言う。
「ガレッジセールに出てるシューズ、すげえ安いですよね。
きょうは買わないですけど」

って言う。

誰かが
「でも、あんまデカイサイズだとガレッジセールには出てないですよね」
って言う。



コレは、どう考えても、クル展開だ。

おれ太郎くんは、そっと目くばせする。
「行けっ、鉄人!」と。
ムキ人28号は即座に察する。
いっしゅんコッチ見てニヤッとして、動き出した。

「大将は28.5っすよ! ないんじゃないすか?」
鉄人はこうして、いつもぼくらの期待にこたえてくれる。

「8っすよーーーーーっ!」

おれは心のなかで応答しようとした。
「コロ・・・」
いやいやいや。

蜂須賀じゃないと小六じゃないでしょ。
蜂っすよじゃ、ナニ六なんすか!?



ああ、もうなんかね。
ぼっち練とか
こういうスルドイ洞察力
を見せつけるひともいるっていうのに。

なんだこのおれの。
「ネタになりさえすりゃ、よしんば走らなくてもいい」
みたいな感じ。



まあ、おなかがイカンガーだったことをすっかり忘れて
トリカラ定食を食って、ビールを2杯飲んだ。

おれはイカンガーを忘れてたが
イカンガーはおれを忘れてなかった
片時も、ってわけで。

解散して中央線に乗って、四ツ谷で下りたあと、
アイツも下りてきて。

ギザギザハートの子守唄かってぐらい
触るものみな傷つけるいきおいで
目につくトイレみな、駆け込んだんだけどね。



そんなわけで。
11月のボッチ練。おしまい。