キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

駆け引きボッチ

「いやあ、すんません。
初めてのランステだったんで
すっかり迷っちゃいました~」

ピンクのTシャツ、一糸のピンTをまとった
全裸ドライヤーボッチが現れた。
ありゃあ、ピンTボッチなんて、なまやさしいもんじゃねえ。

ゼンラぼっちだ。


あれっ?
さっき、走り出してったひとは?
影武者?
影ぼっち?
影全裸?



2人で、もとい
独りと独りで走ることは
アタマのかたすみで想定していた。
ちょっとだけ。

それにそなえて、アレを用意していた。



ともあれ
おれにはひとつ、気がかりなことがあった。

ゼンラぼっちは前日
こんなことをぬかしていた。
明日は30キロ走りたいなぁー。
明確な目的意識。
ベクトルがマラソンに向かってる
明確で健全な、目的意識。



前回のぼっち練inJIMBA。

あっ、なんか
「ゲレンデでシュプールinNAEBA」
みたいなシャレオツにしようとしたケド
様相がぜんぜん違うな。

陣馬山のぼっちトレイル。
おれの目的は、
「後世のゼンラぼっち、にお会いすること」
ただ一点だった。

あとはみんなになんとなく合わせて
ナアナアに山上って下りゃいいんでしょ。
だった。

ところが、上りぼっちってのがいた。

急登をキュートにピャーって上ってった。
遅れて坂の頂点にたどり着くと
「きょうの目的は
上り坂をちゃんと追い込むことだったんす」

度肝を抜かれるとともに
こういうひとがマラソン速くなるんだろうなあ
とおもった。



ネタバレになっちゃうんだケド
まあいいや。

このあと、東のムキムキぼっちってのが
登場しまーす。

なんだが、東ムキぼっち。
「きょうはキロ5の30kmをやりに来まして」
なんていう。

それでピャーって駆けってった。
目的意識。

度肝を抜かれるとともに
こういうひとがマラソン速くなるんだろうなあ
とおもった。

そして、今回のゼンラぼっち。



ちなみに、おれの今回の目的は
「とりあえず走っとくこと」。

9月も半ばになったというのに
月間走行距離は驚がくの3.5km。
しかもウタゲからの帰り道、酔いどれゆるゆるジョグだ。

それからすら、一週間のブランク。

ボッチ練をきっかけにちゃんと走ろう。
きょうはきっかけになりさえすりゃ、いい。
走るのイヤんなっちゃわない程度に
ユルユル行こう。と。



「30キロ走りたいなぁー。」

おれのタスクは
それに巻き込まれないようにする。
一点だった。

とりあえずけん制球を投げてみる。
モチ、独り言で。
「どんくらいのペースで行きます?
ゼンラボッチさんに合わせますよ」

おれの独り言は中2、いや宙に浮いたまま
なんとなく、走り出す。



わりと和気あいあいと、走り出す。
「いやあ、ガチボッチになったかもって、アセりましたよ~」
「後輩は、そういう事情ならおれは行くわけにはいかないっすよねえって」
独り言をとばしあう。

ピコッ。
1km経過をガーミンヌが知らせる。
6分ぐらい。

よーし、これならなんとかイケそうだ。
おれは心のなかで拳を握りしめた。

「なかなかいいペースっすよ!
このまま行きましょう。こ・の・ま・ま」

もっとも聞いてもらいたい
独り言を、漏らす。



こんなこともあった。

そのまま、独り言に花が咲き
2周目の後半。
桜田門をくぐったあたりで。
「おれ、持ちタイムだとだいたいいつもCゾーンとかからスタートなんすケド。。。」
ゼンラぼっちはおれの独り言を傍受した。

「えっ、陸連登録してないんすか?」
おれはゼンラぼっちの独り言を傍受した。

えっ? えっ?
おれはパニクった。

「村びとって、陸連登録がデフォルトなの?」



ブログ村のマラソンカテゴリーのひとたち。
たしかに、変態さんばっかりだ。
福岡とか別大をターゲットにする異次元のひともいる。
でも、それは一握りのはず。

月に300kmとか400kmとか
走ってる、おれからみれば変態さんは
アタリマエのようにいるものの
「ゆるく楽しく走ってまーす」
みたいなひともいっぱいいる。

全裸で髪を乾かすばかりか
それを自撮りして、ブログにアップするひともいる。

ひょっとして、ああいうひとも
そういうひとも、
おれの横で独り言をとばしてるひとも
みーんな、陸連登録?



まあオチは
「いやあ、キクチさんは当然
陸連登録してるもんだとおもって」
って。

書き出すとそうでもないんだが。
心底、ビビりましたとさ。



こんなこともあった。

きのうのエントリー
あれはキメのほう、すか?
テキトーのほう、すか?」
独り言を、傍受した。

「あ、あれは、い、いちおう
キ、キメキメのつもりで。。。」
独り言、傍受された。

やべえ、ゼンラぼっち、
ものごとの本質とおれの恥部を
えぐってきやがる。



まずいな。

このエントリーとあと1回ぐらいで
ぼっち練at皇居
シメようとおもったんだケド。

ビッグサプライズ、登場してねえ。
駆け引きも、まだまだ終わってねえ。

じゃっかん、あわててみる。

上でちょっと伏線を張った「アレ」は
このエントリーでは藪の中方面で。



2周目が終わるころ
「給水、いいすか?」
とゼンラぼっちが独り言。

「いいっすよ」
と、おれライオン独り言。

ゼンラぼっち。
清麻呂の足下にある、
ペットボトルを取りに向かう。

あと、4周もあんのかあ。
まあ、ペースもそこそこだし
いろいろ話ができて
もとい、いろいろ独り言をとばせて
楽しいし、いいかな。

ぼやっと待ってると、
「あ、どうも~、おつかれさまです!」
とゼンラぼっち。

男性に挨拶してる。



ひょっとして、噂の後輩さん?
それにしては、ゼンラぼっち敬語?

ゼンラぼっちが挨拶してるひとは
筋肉でシャツがはちきれんばかりだった。

パッツンパッツンボッチ?
ピッチピチぼっち?

「東のムキムキぼっちさんです。
こちらはキクチさんです」

ゼンラボッチが間に立ち、
ムキムキぼっちにおれを紹介し
おれにムキムキぼっちを紹介してくれた。

「いやあ、時間に来たら誰もいなくて。
そのうち誰か見つかるかなあって
ピンクのシャツ見つけて追いかけまくりましたよ。

それでも見つからなくて
でもとりあえず走ってたら、
ゼンラぼっちさんのピンTが見えたので、
よかったー、と。

おれ、やっと、30kmのはんぶん終わりましたよー」

おっとっと、周回遅れ。



ムキムキぼっち。
これがまいんちのように
オニのようなペースで
バーチーのビーチーを走ってるひとか!

ブログは以前から拝見していた。
プロフィ写真の後ろ姿。

おれの義弟はずっとアメフトをやってた。
身内を、こんなふうに言うのヘンだけど
大学時代はスター選手としてならしてた。

にょうぼうの実家に帰ると
よく、ニクタイを誇示するかのように
上半身ダーハダカで、家の中をウロウロしてる。
その後ろ姿がムキムキぼっちさんと
勝手にダブっていた。

なので、義弟のようなキレナガ眼を
想像してたんだが。

生ムキムキぼっちさんは
後ろからアタマをぶっ叩いたら
こぼれ落ちそうなくらい、

ジョグしててヤブ蚊の大群に遭遇したら
おれの5兆倍ぐらいヤブ蚊が入って
うひょひょひょ、やーめーろーよー
ってなるぐらい、

まんまるなおめめをした、
さわやかハンサムさんだった。



初期のドラクエ。
毒の沼地でラーの鏡をあてたら
新しい仲間がみつかって、ウヒョー!

そんな感じで、3人で走り出した。



なんだが、ムキムキぼっち。
ミョーにペースが速い。

チラチラ後ろをふりかえり
こっちのぼっち2人、いや
独りのぼっちと独りのぼっちを
気にしてくれてるようだが
徐々に間隔が空いてく。

最初はいままでよりちょっとペースを上げ
ムキムキについてこうとした
ゼンラと、おれ。

でも、これはマズイ!
速すぎる。キロ5ぐらいだ。



(ここはガチで言葉を交わすこともなく。
って、いままでがやらせみたいじゃないすか)

まさしく阿吽の呼吸で
元のキロ6ぐらいのペースに戻し、
安定の変わらぬ、並走。

それを確認して
ますますペースアップするムキムキぼっち。
どんどん遠ざかるムキムキぼっち。

「見えなくなっちゃいましたね」
ある意味、安堵の息を漏らす、ゼンラぼっち。
「ほんと、見えなくなっちゃいましたね」
ある意味、安堵の息を漏らす、おれ。



こうして3人のぼっち練。
いや、独りと独りと独りのぼっち練。
後半に突入したんであった。
つづく。