キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

七五三もやってないですもん

じぶんと異なる価値観に出くわしたときにってハナシ。

3連休。草野球チームの合宿で長野へ。
ほぼ新潟との県境。ナウマン象で有名な野尻湖畔に泊まった。
台風が日本を直撃したため、野球はけっきょく1日目しかできなかった。

おれが「中学時代、試合のときはほぼ全部雨でおなじみの」
なことは、まだチームメイトにはナイショだ。

ということはどうでもいいので、措く。




合宿の2日目。
そんなわけで野球をやらずに、長野でいちばん有名な寺に詣でた。
牛に引かれてく、あすこ。



駅から参道を歩き、阿吽の像なんかがあるあたりまでは
「おお、すげえ」
なんて言いながら調子よく歩いてたんだが。

途中でミョーに引いて
テンションががた落ちとなった。



テンションがた落ち事件は、本堂にて。

本堂に入ると、真ん中ぐらいまではフリーパスだが、
さらに中に入ってお参りをするには、入場料がかかるらしい。

おれは有料なところには入らずに、
入口にある賽銭箱に1億万円硬貨1枚を投げ入れて
お参りしていた。

すると、坊主だか職員だかが
シラっとこんなようなことを言いながら歩いていく。
「このお寺は(信仰にかかわらず)すべての神仏を受け入れます。
ぜひここではなく、中に入って拝みましょう」



うん。あからさま過ぎる商魂。

ふつうそういうのって、言わずに言うよね。
もしくはゼニ取るんなら、ハナっから取るよね。

なにその、安いフーゾクみたいなやり口。
牛に引かれずに、商魂に引いちゃった。



ひょっとしておれ。
うまいこと言ったとおもってねえ?



気を取り直して寺のほかの見世物に向かって歩いてると、
チームメイトの中に1人、あきらかにテンションがた落ちな人がいる。

話しかけると、
「何かいまの、品がなさすぎません?」と。
「燃える商魂。ですな」と。



厄払いコーナーに着く。
彼はおれの1コ上。
つまり、今年が前厄だ。

「厄払いしました?」と訊くと、
「してません」と。
「そんなの関係ねえ」と。
何をヘンクツ言ってんだろうとおもった。



彼は、「神仏のたぐいを一切信じてない」という。

おれも彼とおなじく神仏のたぐいを信じてない派だが、
正月は初詣に行き、
喜んでムスメの七五三をやり、
クリスマスにはケーキを買い、
チャンネーと神社に行ったらおみくじ引いてキャッキャキャッキャ言い、
チャンネーにフラれたらヤケ酒を飲む。
来年はたぶん、厄除けだか厄払いだかしに行く。

という、言ってみればごく一般的な日本人。
じっさい多数派なんだろう、おれみたいのが。



ヤケ酒のくだりはシカトしてくれ。頼む!



よくよく訊いてみると、彼は
「子どものころ、七五三もやってないですもん」と言う。

おっと。

「神仏のたぐいを信じてない」的には
そっちのがスジが一本とおってる。

こりゃホンモノだ。
ミョーにナットクした。



やっと本題。



世の中には
彼のような、スジがとおった「一切信じてない」も
おれのような、じぶんに都合よく「一切信じてない」も
はたまた「がっつり信じてる」もいる。

神仏にかぎらず、
じぶんと違う考えを否定したり攻撃したりせず、
かといってタブーのように避けるでもなく、
「じぶんと異なる価値観の人も当然いる」ということだけを認識しておく。

このスタンスを続けるって、なんかカッコイイ。

彼の「七五三もやってない」から妄想を広げて、
うすぼんやりとそんなことを考えてしまった。



でも。
このスタンスを続けるって、ムズカしい。

とかく、
「○○教を信じないと地獄に落ちる」とか、
「犬が好きじゃないなんて、シンジラレナーイ」とか、
「喫煙者は人間に非ず」とか。
やりたがる。ヤリタガール。

ふだんは温厚ないい人なのに、
どういうわけか、いきなり猛然とケンカを売りはじめる。
あるいは、見たこともないようなイヤーな顔をする。

なんて場面に出くわす。
あれ、何なんだろう。



ツレアイの嫌いなところは
いくらでも言えるしじっさい言ってるくせに、
好きなところは
よく考えないと見つけられないし、まず言わない。
みたいなことがある。

あれ、何なんだろう。
もともとホレテハレテ、結婚したのに。

いやこれ、あくまでただの一般論として。



ニンゲンだもの、
好き嫌いや合う合わないは、ある。

じぶんと相容れないものを攻撃したい、やっつけたい
という気持ちがあっても、仕方ない。

それを
みんな、やめようぜ。やめりゃ、世界が平和になるぜ。
なんて言う気はさらさらない。

じぶんと違う価値観に出くわしたとき、
否定したり攻撃するでもなく、
タブーのように話題を避けるでもない。
ただ、いろんな価値観の人がいると認識だけしておく。

それってなんか、カッコよくね。
と。