秋から冬にかけて、いつも強烈に
学歴コンプレックスを抱く。
なんつうかもう、炎が燃えさかっちゃうんである。
＊
いや、ベンキョーのことをいいたいんではない。
たしかに自分の出た学校は、
「ぬぐい去れない早慶コンプレックス」
みたいのを帯びている。
実際、早慶落ちの人もけっこういるし。
んだが、ただ、なんつうか、
ベンキョーにかんしていえば、
おれは学歴コンプレックスはない。
そもそも、がんらい早慶コンプレックス
みたいのも持ち合わせてない。
いや、カッコつけてるわけでも、
アマノジャクってるわけでもなく。
＊
いや、だいいち
学校を降りて15年以上経ってるわけで、
いまさらそれがどうだからどうなのよ、っていう。
10代の時点で足りなかったなとか、
やっぱベンキョー苦手だぜ、とかはある。
でも、いまそれをどうにかすればどうにかなる。
というもんでもないし。
要約すっと「どうでもいい」。
＊
いま、評価の基準のひとつが「仕事」だったりするんだが、
たとえば、
おれがいい仕事したとして、
「やっぱりナンタラ大学だから」
って評価を受けたこともないし、
おれがいい仕事できなかったとして
「やっぱりナンタラ大学だから」
って評価を受けたことも、ない。
あるわけない。
逆はちょっとはある。かもしれないけど。
「むちゃくちゃすげえけどアイツ、中卒らしいじゃん」
みたいな。
「ワセダで電通なのに、まったく仕事できねえなコイツ」
みたいな。
＊
あのう、たまにいるじゃないすか。
いつまでも出身校の名門っぷりが拠りどころな人。
「長い人生で、コイツが誇れるの大学受験だけ？」
という。
いや、実際にある一定の割合でいるから、
ビビる。
＊
けっこうむかし、こんなことがあった。
まったくのプライベートで、
初対面なオジイサンに、会うなりだしぬけに、
「ボクはワセダの理工なんだが、キミはどこ？」
って聞かれた。
会って５秒ぐらいで。だぜ。
よっぽど、
「いちおう東大です」
って言おうかとおもった。
＊
なぜか東大の人って、きかれると
「いちおう東大」って言うらしい。
「いちおう」っていう矜持とかナンラカのないまぜ感が
ちょっとイカス。
東大と何の関係もないけど、
おれもどっかで使いたいなあとおもってた。
＊
んだけど、
そのオジイと同じ土俵に乗るのもバカバカしいし、
そもそもウソつきになっちゃうので、
「理工だけに、さすがリコウなんですねえ」と、
やっとベホイミを覚えたぐらいの低レベルな
アンクルなウィットをかえした。
口の端をゆがめながら。
ただ、そういうたぐいの人って、
そういうビミョーな機微を汲みとれない。
見事なほど。測ったよに。
「バカにしてんのか」などと
逆ギレしてくれたら、
それはそれでおもしろくなるんだが、
それすらできずに真に受けちゃうバカなんだよな。
真バカって略しちゃう。
そういう人にかぎって。測ったよに。
次におなじ機会があったら、
こんどこそ「いちおう」を使うんだ。ぜってー。
＊
というのは、
このエントリーとは何の関係もない。
という、いつもどおりのムダかつ長すぎる前フリ。
＊
秋から冬にかけて、大学スポーツが真っ盛りとなる。
野球はちょっとはずれるかもしれんが、
ラグビー、アメフト、駅伝と。
くりかえすが、
もう、学歴コンプレックスの炎が
燃えさかっちゃうんである。
＊
「もう」
というか、
「んもう」
そんな感じ。
＊
愛校心
なんてものは、おれは
たぶんどの学校を出ていようと
持ち合わせてないんだろうが、
それでも母校の名前を耳にすれば、
多からずとも、なんか反応はする。
よくわからない地元意識みたいなもの。
を感じたりする。
＊
スポーツを観るのは大好き、なんである。
大学スポーツはどれも興味シンシン、なんである。
なのに、自分の出た学校は
そういう場には出てきっこない感じ、
なんである。
10代のおれったら
なんていう学校選びをしたんだ。
と、毎年おもう。
だから
ベンキョー、ではなく、受験。
もしタイムトリップできたら、
せめてテストで１点上積みする、
くらいの労力をかけて
「つおいスポーツがある学校にいく」
を考えとけって、当時のおれに進言しちゃう。
と、この時期、毎年おもう。
＊
まあ仮に、10代のおれが、
30代のおれにそんなこと言われても、
言われただけよけい
アマノジャクるんだろうな。
なんだが。
＊
スポーツ観戦って、
個人なりチームにものすごいおもい入れがあるかないか、
で、おもしろさがぜんぜん変わってくるもの。
仕方がないから、
大学スポーツ真っ盛りの時期は
こじつけでもなんでも、ムリヤリどこかに肩入れして
勝手に盛り上がる。
多摩川をジョギングをしてるとよくすれ違うし、
礼儀正しく感じがいいから、駅伝は駒大。
義弟がいたから、アメフトは日大。
といったぐあいで。
＊
でもホントは、自分が出た学校を
こじつけなしに肩入れして、
勝手に盛り上がりたいんである。
いつかそんな日が来ないかな
と、ずっとおもってる。
そういう、
学歴コンプレックス。
