チョーテー
なんか、マラソンのことばかり書いてると、興味ない人はどんどん離れちゃう気がする。
それはそれで別にいいんだけど、よくもないゾ。
というツンデレっぷりで、違うネタでも。
『信長協奏曲』の存在を知ったのはごく最近と、
例によってトレンドにまったく疎いわけだが、おれにとってはフレッシュだったので。
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信長モノ。
現代のチャラい高校生サブローが、ひょんなことから戦国時代にタイムスリップ。
織田信長に出会い、ホンモノは出奔。サブローと入れ替わる。
ありがちなトンデモ設定。
なんだが、ついつい読み進めてしまう。
というもの。
現在、単行本は7巻まで出てる。
それ以上の設定だの展開は、言わない。
気になる人は読んだほうがいい。ソンはない、はず。
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サブローはとにかく、勉強が嫌いなタイプ。
本能寺の変で誰に殺されたかもわからないほどなんだが、
「織田信長っていう人は天下をとった」
という断片的すぎる記憶をもとに、ゴンゴン突き進む。
とにかく、軽くて、チャラくて、行動がすばやい。
帰蝶(濃姫)と「でえと」をしたりする。
この帰蝶がまた、ジョーダマなんである。
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なんてことはさておき、
このマンガでおれが一気に引き込まれたのが、表題のセリフ。
詳しいことは忘れてしまったが、
天下をとるには、天皇に会ってお墨付きをもらわなくてはならない。
じゃあ会いに行かねばみたいなくだりで、わけもわからず
「行こう」「どこ行くんですか?」「チョーテー」
などという会話がなされる。
チョーテー。
サブローの、軽くてチャラくて行動がすばやいというキャラが
このひと言で全部わかっちゃう秀逸さ。
あらゆるカタカナ表記史上でも、屈指だとおもう。
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さて。
読んで感じたことが2つある。
なんか最近、おれんなかで「○つある」っていうの、流行ってんの?
あんまよくないな。
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1つは、あれれ部門。
序盤、「じゃあ、ホンモノの信長がどう登場するか、ちょっと楽しみだな」
と、けっこうひっぱった上にすげえサプライズとして中~終盤に出てくるのかとおもったら、
わりと最初のほうで出てきちゃった。
以後、それ以上のすげえサプライズが用意されてるんだろうな、
と、前向きな解釈をしながら、やさし~く読み進めてる。
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もう1つは、ストーリーの展開。
これは、まったくの推測。あれれ部門、ではない。
基本的にこのハナシは、実際の信長のできごとを
結果としてだが、忠実になぞっていっている。
現代と戦国時代で異なる価値観のできごとなども、
サブローがごく自然に受け入れ、話が流れてゆく。
amazonの感想をみると、それがつまらんと言ってる人もいる。
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確かに、サブローが疑問を抱かなさすぎる。
わからんでもないんだが、それはこの作者がねらってやっているんではないか。
そこのディテールは、あえて端折ってんじゃないか。
それはそれで、いいじゃんか。
おれはなんとなく、そうおもっている。
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つまり、本来的にこの人は、信長版の『あさきゆめみし』をやりたいんではないか、と。
高校生が『あさきゆめみし』で源氏物語のストーリーをつかむように、
「高校生あたりが織田信長の足跡を知るなら、コレ!」
というスタンダードの決定版をつくりたいんではないか、と。
横山光輝が山岡荘八の原作をマンガ化したのとは、違うアプローチで。
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買いかぶりすぎかもしれないが、
おもっちゃったんだから、しようがない。
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とりあえず、松永久秀と森可成(蘭丸のオヤジ)はカッコいい。
信長の野望をやりたくなっちゃったな。