50代後半。男性。
ITにまつわることはまったく分からない。
打合せ中にいねむり。
的のはずれた質問をする。
そのくせスチャラカした雑談では、やたらイキイキしてる。
そんな、先方の担当者。
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世の中には、「コイツ、これでよくクビにならねえな」
と感心してしまうほど、仕事できない人っている。
それもあんがい、けっこうな確率でいる。
それも大企業だったりするほど、いる。
大企業になど、箸にも棒にもかからないおれにしてみれば、
信じられないことなんだが、ビックリするくらい、多かったりする。
確率のもんだい。
働きアリの法則やらで、分母がデカいぶん、分子もデカくなる。
んだろう。
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冒頭の担当者がいる案件は、春先から何度かボスと出かけていったんだが、
ある日、驚愕の事実に気づく。
何度目かの打合せが終わり、外に出たところで
ボスとおれの口から同時に出たのが、表題。
「あの人、バカのフリをしてるだけなんじゃないすかね」
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思い返してみると。
打合せはいつもダンドリよく進められ、
毎回、確実に何らかの進展を見せてきた。
打合せではあいかわらず、「舟を漕いで」るんだが、
打合せに登場する他部署の人の手配もぬかりなく、
事前の根まわし抜きには考えられないほど、
スムーズに彼らのコンセンサスを得られてきた。
ITの話題も、わからないていだが、トンチンカンではない。
質問の的の外し方もなんというか、まったく外してるのではなく、ある意図が感じられる。
たぶん、オレラ、タメサレテタ。
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以後、違う案件で
実際に「コイツ、これでよくクビにならねえな」モンスターが出現したときも、
「あの人もきっとバカのフリっすよ」
などと、
頬を半分ゆがめてイヤ~な顔をしながら、
ボスに話しかけるようになった。
すっかり、黒い流行語なんであるが、まあいい。
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話を元に戻す。
おそらくなんだが。
本家「バカのフリ」な人は、
おれらが「バカのフリしてる」と見破ったのを、見破ったんだろう。
その次の打合せから、いきなり本気を出しはじめた。
いままでどおり舟を漕いでいたかとおもえば、
いきなり、ズバッと核心をついた発言をしだすようになった。
けっか、場が収まる。
次のステップへ進む。
でも、打合せ後はあいかわらず、
スチャラカ発言しかしない。
逆に、こわい。。。
*
第一印象で明らかにデキるとわかる人は、さておき。
「コイツ、これでよく」があんがい多いように、
「バカのフリしてる」もあんがい、多いようにおもう。
まあ、それら以上に多いのが
「デキるとおもったけど、そうでもなかった」
だったりもするんだが。