キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

ワシにはこの作品を審査することはできんのじゃ


1巻からとおして、いちばん共感できる巻。
主題は三浦清風という大御所書道家のセリフ。

こうしてブログに起こすと、
ブログを書いたオレ自体の説教くささが際立つんだが、
なんか肚に落ちちゃったんだから、しようがない。


年内にアップしたいし、何度かブログで取り上げてるので、
コンテクストの説明は最低限にカツアイ。



鈴里高校書道部の1年生部員、島奏恵は
前衛書というジャンルを志していた。

書道展にはその前衛書と、顧問が本人にナイショで出した
臨書(お手本通り書くってジャンルらしい)の2点が出品された。

臨書では秀作賞を獲った。
が、前衛書はその下の入選どまり。
ブチ切れる島奏恵。
審査委員長の三浦清風に食ってかかる。

表題も含めた三浦清風のセリフはこんな感じ。

(島)はなしてください!
私にも理由を聞く権利があるはずです!

(三浦)ほう!
おぬしか、この「前衛書」を書いたのは。

すまんのう。
ワシにはこの作品を審査することはできんのじゃ。

(島)はっ?

(三浦)「漢字の書」も「かなの書」も
「漢字かな交じり」も「篆刻」も「刻字」も審査するワシが
「前衛書」だけは自分で書いてみたことがない。
だから、審査することができん。

この作品についてワシが解ることは、
ただデタラメに紙の上に墨を撒き散らしたものではなく、
意図を持ってコントロールされた線で書かれたものである、
ということだけ。

だから、線そのものだけを見て入選の評価はした。
しかし、それより先は「前衛書」が解る人間でないと
審査はできんじゃろう。

というわけじゃ。
せっかく書いたのにすまんのう。

・・・中略

(三浦)おぬしは「前衛書」が好きなのかね?

(島)えっ?
あ、あの…はい。
好きです。

(三浦)そうか、それは良いことじゃ。
これに懲りず、これからも「前衛書」に取り組んでほしいのう。

特に「書の甲子園」では、「前衛書」をキチンと評価できる
審査員も何人かいるはずじゃ。
挑戦しがいがあるというもの。

今では「前衛書」を書く者はかなり少なくなってしまったが、
無くなってしまうには真に惜しいジャンルだと思うのでな。

(島)わかりました!
今年の「書の甲子園」は「前衛書」を出します。

(三浦)良い返事じゃ!
がんばんなさい。(原文ママ)