しみうま
夕方、ボスが帰り際、さりげなくおれのデスクに置いてった。
ん? 何かメッセージでも込められてんのか?
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帰りの電車と帰宅してから、1回ずつ計2回読んだが
どうやらボス→おれのメッセージ性はない。らしい。
ということはわかった。
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主人公は漫画家。
厳密にいうと、連載マンガをわりと早めに打ち切られ、
アシスタントから再デビューをめざす35歳、男。
ブサイク。
なんつうか、
オタク蔑視的な視点でいえば、
「絵に描いたようなキモデブオタクオトコを地でいってる」てい。
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表題しみうまは、そんなクソ冴えない主人公にもカノジョがいて、
カノジョが用意してくれたおでんを食って放った主人公、
ペンネーム「鼻糞林檎」のひとこと。
これ、単行本がいまのとこ6巻まで出てるらしい。
1巻しか読んでないので先のことはわからんが、
おれがこの作品を読んで感じたことは「しみうま」のひと言に集約されてる。
勝手にそんな感想をもっちったんである。
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つまり、
そんな「クソ冴えない」主人公の物語で、
登場人物もだいたい「キモくて」、
とはいえ「カノジョがコタツに潜って口で抜いてもらう」とかいう
ゲッヒーンな下ネタがあって、
「クルマに轢かれて首の骨を折った人が首をだらーんとしたまま血だらけで歩く」とかいう
オカルトがある、にもかかわらず、
さほどオタクのキモさも下ネタのエグさも
オカルトのおぞましさも感じられない、
あとにストーリーやギミックの緻密さだけが頭に残る、とかいう
ビミョーなバランス感覚のうえに成り立っているオハナシ、なんである。
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たぶん、自分からすすんでこのマンガを読むことはけしてない。
だけど、なんでかはわからないけどおもわず読み進めちゃうし、
先も読みたくなる。
「おのれの足の親指の爪の垢の臭いを嗅がずにはいられなくなる」
そんな感覚。
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よしんば、ボスがこの作品でおれに何らかのメッセージを託したとしても
おれはそんなこと知るひつようはないんである。
たぶん。