22年前のきょうは天安門事件が起きた日、らしい。
いやはや勉強不足、勉強不足。
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この本は草ランナーにとっては神様みたいなもんだ
でおなじみの、マラソンコーチ・金哲彦による自叙伝。
いきなり金哲彦ったって、マラソンとかに興味がなければ
誰だそりゃ、かもしれん。
マラソンや駅伝のテレビ中継で解説者として、たまに出てる人。
ワセダの先輩である瀬古によく
「金くん、金くん」などと呼びかけられたりしてる。。。
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在日韓国人である彼にとって、
国籍のもんだいが彼の人生に大きく影響している。
そして天安門事件が大きなターニングポイントとなっている。
在日韓国人なのに、なぜに中国の天安門事件。
に対する答えは以下。
こんなあらすじ。だったとおもう。
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高校時代、インターハイにも全国高校駅伝にも出場できなかった彼は、
猛勉強の末、名門・早稲田大学に合格。競走部に入部する。
ワセダの監督は瀬古利彦などを育てたことで有名な、アノ中村清。
あることをきっかけに中村監督の目にとまり、
1年生からレギュラーとして待遇される。
そんなある日、監督から呼び出し。
「韓国籍を取得して、ソウル五輪(88年)のマラソンで韓国代表を目指せ」
(※ 朝鮮戦争以前から日本にいた金氏の国籍はなんと「朝鮮」。北朝鮮ではない。
だから韓国の戸籍上、存在してないことになっていたんだって)
ところが、金氏は
「国籍というものは、人から言われて簡単に変えていいものなのか」
と疑問を抱く。
そして中村監督の命令に反してしまう。
けっか、中村門下から破門される。
ときが流れる。中村監督もロス五輪後の85年に鬼籍に入っていた。
89年、天安門事件。
・・・抗議活動をしていた私たちと同世代の普通の若者が、今まさに戦車に轢かれて殺されているのです。テレビカメラの前で実際に起きた若者たちの殺戮に戦慄が走りました。
それまで、人が人を故意に殺すのは、(やくざの抗争事件も含めて)個人的な殺人、あるいは国と国が争う戦争しかないと思っていました。しかし、テレビ画面の向こうで行われているのは、国が治安維持のために国民を殺している事実です。
(中略)
・・・所詮国や国籍は、そういうものだ。意固地になって固執するようなものではない。むしろ個人の夢に向かって、それがたとえ便宜上でも国籍を変える選択もあるのだと思えるようになったのです。急激に起きたその思いはかなり強いものでした。そして、悶々としていた私の心は一瞬にして大きく変わりました。
戦争の歴史に翻弄された複雑な事情から、在日として生まれた私のアイデンティティなど、もともとかなり曖昧だったはずです。しかし、頑固で妙なこだわりもありました。歴史に翻弄されてきた心の呪縛が一気に解かれた気分でした。(p.197~198。原文ママ)
韓国籍を取得した金氏は以後、バルセロナ五輪(92年)の韓国代表を目指すことになる。
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引用が長えんだよはさておき、
こういう国籍、アイデンティティーに対する考え方は、
けして「金哲彦が在日だからこその特殊な例」ではない。
ような気がする。
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ちなみにこの本、そーとーおもしろい。
なんつうかこの人、いろんな意味で
ザ・リクルート出身という感じなんですわ。
こういうキャラだからリクルートに入るのか、
リクルートにいたからこういうキャラになったのかは、知らん。
帯のキャッチに
「タマゴが先か、ニワトリが先か。
リクルートが先か、金哲彦が先か。」
ってつけたいぐらいなんだが、
おのれのセンスのなさ満点ぐあいにひくわ。。。
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ちなみに2。
大東大で活躍した只隈伸也は高校の同級生。
オールド箱根駅伝ファンにとっては唸らずにはいられないビッグネーム。
中学時代からライバルで、
福岡県では1位と2位。
地元には大牟田高校っていう
駅伝の超名門校があるんだが、
2人で「おれらの力で無名校を強くしようぜ」って話し合って
いまの九州国際大付属高校にともに進んだ、とか。
只隈選手は高校卒業後いったん就職したんだが、
「山上りの木下(金の通名)」が活躍してるのをみて、
よしおれもって箱根をめざしたんだと。
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ちなみに3。
在日がらみでいうと、だいぶ前に読んだこれ(↓)がおもしろかった。
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キクチ家は生粋のウォーター・ドリンク・ドン・ファーマー家系。
伯父貴の話によると、
むかーし九州から茨城に渡り、
祖父の代で瀬田に土地を買って東京に出てきた。
ということらしい。
んなわけで最近、
熊本県の菊池市にめきめき興味がわいている。
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おまけ。
祖父の代で買った瀬田の土地は当時、二束三文。
「砧の200坪と迷ってこっちにした」とのこと。
もちろん、砧の200坪も当時は二束三文だったんだと。
おれが小さいころに瀬田も手放してしまったが、
いまや、いずれ劣らぬチョーコーキュージュータクガイ。
とりあえずでも持っておきゃよかったのに、ねえ。