「もういいよ。疲れるから。」
『タッチ』の上杉達也のピッチングフォームって、
江川卓と荒木大輔がモデルだった。とは初耳。
あだち充作品はひととおり読んでいて、
言いたいことはけっこうあるし、
じっさい書いたこともある(→2010/04/16よろしく頼むってどんなサインだよ)。
この正月には、『タッチ』を読み返したりもした。
なあんて、エラソーにいうほどのこともないな。
「趣味は読書です!」
「どんな本読んでんの?」
「村上春樹とか好きです!」
とかいう面接的な。。。
ともかくそんな折に、本屋をつれづれしていて見つけた本。
大部分が作品の最終話再録だし、
1つ1つのテーマを語り尽くしていない感もあるので、満足度はけして高くない。
が、いっぽう、あだち充の最終話に対する思い入れにフィーチャーしており、
コンセプトの明快さは伝わってきた。
善意の解釈にすぎるかな。
。。。
作品の終わらせかたってムズカシイ。
始めかたのほうがもっとうんとムズカシイんだが、まあいい。
こと爆発的にヒットしたマンガとなると、
さまざまな思惑や政治がからんだりもして、作者の随意にはいかなかったりする。
ドラゴンボールしかり、スラムダンクしかり、ワンピースだってそうだろう。みたいな。
以下は、『タッチ』大詰めにまつわるインタビュー記事から。
原文ママ。
--試合は地区大会予選の決勝までしか描かれていませんでしたが、このまま甲子園まで連載を続けるという考えはなかったんですか?
あだち なかったですね。終わらすなという意見は多かったんですが。まぁ、このマンガは告白しちゃえば終わりだろうってことで(笑)、あの河原の告白シーンになったわけです。(後略)
--それぐらい、『タッチ』が巨大な作品になったということなんでしょうね。
あだち 吃驚しましたよ。なんでそんなにウケるんだろうって。もう少し観客が少なかったらごまかせたのに、下手に注目され過ぎたので追いつめられた感じがありますね。だから、最後の方は苦しかった。
(略)
あえて、コミックの売り上げも、アニメの視聴率も無視して描きたいように描いてましたからね。告白のシーンはサービスですけど、最終回に関しては自分らしさが出ていると思います。
主題は『タッチ』最終話で、ライバルの新田に放った達也の言葉。
野球マンガ史つう、あるんだかないんだかもわからん世界で、
いまだに物議を醸し続けているらしいひと言。
主題にした意味は、キャッチーな記号として使い勝手がよかったから、というだけ。
たしかに歴史のターニングポイントになったセリフだとはおもう。
ただ、おれは『タッチ』はきわめて野球純度の高い作品と解釈している。