結婚したときに買ってもらった
父親の形見のようなものだったので、
なかなか捨てづらかったものの、仕方なく。
乗らなくなって３年も経つし、
自宅には置き場所がないゆえ。
長らく奥さんの実家に放置しておいたのだが、
まあ、思い入れもある。
結婚直後の交通費もない極貧時代に
練馬から千代田までの貴重な足となってくれた恩もある。
当時はガソリンがリッター80円台で、5L入れれば一週間はもった。
というわけで、バイク引取り屋さんが来るちょっと前に
洗車道具一式を携え、杉並へ。
錆びはあるていどしようがないにしても、
ドロやらカビやらは楽しいくらい落ちる。
水洗いをし、からぶきをした。
それなりにピッカピカになった。
洗車後、雄姿をとどめておこうと、写真を何枚か撮った。
最後の１枚がこれ。
うっかり見落とすところだった。
ランプのへりから水がしたたるさまは、
ヤツが涙を流しているようで、
なんだかちょっと切なくなった。
ヤツが流している涙は、
別れのつらさを表しているようでもあり、
最後にピカピカにしてくれてアリガトウと
言ってくれているようでもあった。
とんでもない、こちらこそアリガトウ。なんである。
