キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

暗いと不平を言うよりも、すすんであかりをつけましょう

最近、仕事で「きわめて論理的な構成」の「資料」ばかり読んでいたので、揺り戻しで購入。

というか、ホントは資料を探しがてら立ち寄った地元の書店で見つけ、
脊髄反射的に購入しただけなんだけどね。
ひっさびさに荻原浩。




文庫本を買うと、オレはまず解説から読む。
そいで本編を読んで、最後にまた解説を読む。

荻原浩にかんしては、内容を吟味せずともおもしろいに決まっているので、
表4(裏表紙ね)の紹介文をざっとみて、
ふむふむ今度はそういう話なのね、と確認だけしてレジに走る。



文庫本は、解説がよくできていると「1粒で2度おいしい」満足感に浸れる。
この本の解説は書評家の吉田伸子さん。
表題は、解説冒頭にあった言葉。

う~む。この小説のキモをグワシとつかんでる。
まだ読んでないから知んないケド、解説文での紹介の仕方を読んだかぎり、たぶんそうなんであろう。



○(実際はありえないシチュエーションでの)あるある感。
○説教を説教とおもわせず読者に考えさせる筆力&展開力。
それと、
○(広告のキャッチコピーとか、固有名詞とか、登場人物のしぐさ、行動、反応といった)小道具のバカバカしさ。

オレは荻原浩の魅力は、この3つだとおもう。
初めて荻原浩の作品を読む人のためか、
解説中ではそれらはもちろん、押さえられている。



1つ、惜しむらくは、表題の言葉の説明がwikipediaの引用であったこと。
そして、その旨をどうどうと表記してあること。

大手出版社の編集者も
「校正者が平気で『ウェブにこう載ってました』って赤を入れてくるんですよ~」
と嘆く声を聞いて久しい。

ネットでアウトラインをつかむにはいいんだろうが、
信憑性を求めるなんて、ヤバい。

現にこのブログだって
情報を提供しようなんてクソほどもおもったことはない。
ただの感想文であり、
ドロドロの自己満足をさらに煮つめた
みたいなものでしかない。

ほかの人のブログだって、
おんなしようなもんだろう。
さておき。



まあ、小説(フィクション)の解説文なんて、
だいたいの意味するところが書いてあればいい。
言葉の出典や正確な意味なんてどうでもいい。

でも、だからこそ、
どうどうと「wikipediaから引用した」なんて書かず、
筆者がかみ砕いて説明すりゃいいんじゃね、とおもうんである。



なんか重箱の隅をつついちまったが、この解説文はすばらしい。
解説文だけで、ちゃんとした1篇のテキストを読んだ気になれる。

だから、
本編はまだ50ページぐらいしか読んでないけど、
もうこの本を買ってよかったとおもえている。