キクチヒロシ ブログ

絶滅寸前の辺境クソブログ。妄想やあまのじゃく。じゃっかんのマラソン。

印税がいくら上がったとて

Kindleで自費出版をすると、条件をクリアすれば印税が7割になるんだそうな。アメリカで6月末から。

最近、Kindleの存在が気になっている。
和書対応版が出てそれなりにコンテンツがそろったら
持っててもいいかなとおもっている。

でも。
なんかこのニュースを読んでたら、
小学生のころ文房具屋の軒先にあった
「ゲームウォッチも当たる」的な自販機(ガチャガチャ?)
を思い出してしまった。

みんなゲームウォッチを当てようとチャレンジするけど、
けっきょく出てくるのはワケワカランおもちゃ。
ゲームウォッチの形をした消しゴムが関の山。
的な。

けしてゲームウォッチは当たらない。



あと、あくまでオレの妄想なんだけど、
こういうニュースが出ると、
「もう出版社や編集者はいらないじゃん」とか、
「これからは電子書籍の時代だ」とか、
「ワタシも印税でウハウハだぜ」
という声が聞こえてきそう。

というわけで、どこからツッコミましょうか。



えっとまずは、電子書籍自体から。
電子書籍の端末って、10年以上前からいろいろ出ては消えしている。
でも、電池がすぐ切れちゃうとか、重いとかっていう言い訳でけっきょく普及しなかった。

リリースなどを見ると、Kindleはバッテリーや重量などのもんだいをクリアしているそうだが、そもそも電子書籍が普及してない原因はハードの充実ですべて解決できるかというと、そんなわけない。

たとえばむしろ、自分自身がそうなんだけど、
「本ってやっぱ紙(実物)なんだよなあ」なんである。

電子書籍って普及するのかギロンになるとき、おれがいつもつかうのは、
「ウェブとかメールで重要なモノって、
じっくり読んだり、モノとして手元に置いておくために
けっきょくプリントアウトするでしょ」
というたとえ。

このエラソーな感じはなんなんだ、なんだが、
けっきょくはそういうことだ。



ただ、いつの間にかみんなウザいほど、電車でケータイやケータイのゲーム機をピコピコやる時代になったように、なんか起爆剤があれば普及するかもしれない。

あるいは「未知との出会いはリアル本」、「内容がわかっているものや定期購読ものは電子書籍」みたいな使い分けは、大いにアリだとおもう。



2つめ。
自費出版。
自費出版という言葉自体、色がついちゃってるので、
置き換えてたとえてみましょう。
(なぜここだけこんな文体?)

ブログ。ありますね。
けっこうな数の人がやっていますが、
芸能人とか有名人のブログ、アルファブロガーとかのブログ、知り合いのブログ、
以外の知らない人のブログなんて、そんなに見ますか?

ムジュンするようですが、
「電子書籍」という言葉で検索して、ブログ記事がヒットしても
オレは見ません。



どうしてかというと、ブログというものはぬるくてタルいから。
あとキホン、情報の信ぴょう性が担保できないから。
当ブログと同じように、しょせん独りよがりにすぎないものがほとんどだからです。
ごくまれにすげえとおもうブログがありますが、ごくまれ。

しょせん「日記」なわけです。

ただ、そういったぬるさ、ダルさ、信ぴょう性をさておいた
「独りよがり」
こそが、ブログというもののいいところでもあるわけです。

話がややそれましたが
自費出版でおもしろいとおもえる本にめぐり合う確率も、
「ごくまれにすげえとおもうブログ」に出合える確率と
だいたい同じようなもんでしょう。

(この文体、感じが悪いので、やめ)



自費出版はそもそも、商業出版とは目的が違う。
学校の卒業文集と同じく、自分の「なんらか」をまとめるのが自費出版。
半生だったり、旅行記録だったり。

同級生に有名人がいるとか、ごく特殊なケースはさておき、
「自分の母校の卒業文集を売ってバリバリ稼ぐぜ」
なんてことはふつう考えない。

なぜなら、そんなもの一般的に売れるはずないから。
そんなわけで「売りたい」というスケベ心を抱くのであれば、ほかの方法を採るべきだとおもう。



3つめ。
印税。

国内で印税生活ができる作家ってほんの一握り。
誰でも知ってる大センセイだけ。
印税だけでは生活の足しにもならん、というプロの作家が大多数。

プロでさえそうなのだから、シロートのみなさんは。。。
推して知るべし。



おまけの4つめ。

つくるということ。
仕事にはかならず経費が発生する。

印税7割とすると、
残り3割で自費本制作ソフトの開発&維持費やら店賃やらをまかなうことになる。

ただちょっと待て。
高機能のソフトがあれば、商品として足るものがつくれるか?

すげえ高いデジカメとフォトショップを持ってたって、篠山紀信以外誰も、篠山紀信みたいな写真は撮れないように、
ソフトの性能と、商品のクオリティーはまったく別物だし、
クオリティーを上げるためには、出版社(のようなもの)や編集者(のようなもの)といったプロが欠かせない。



紙の書籍の場合、だいたい著者印税の相場は1割とされている。
なんでそうなるか。
本を1冊つくるには著者だけでなく、それだけ多くのプロがかかわっているから。



まずい。このネタ、長くなりすぎるおそれがあるので、とりあえずやめ。
そのうち気が向いたら場所を変えて、あらためて。

むかし、ほんの一瞬だけ電子書籍の現場の
はしくれの端っこ(けっきょくどこだそれ?)にいたこともあり、
ついつい熱くなっちまった。

ただ一方で、こういう、既存の価値観をすべてひっくり返すようなものの出現って、ワクワクするのは確か。ムジュンしてるケド。